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修道女、平民街で暮らす
金髪碧眼王子様の依頼は断れない①
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テオフィルは封筒を開けて、マリーたちに中身を見せた。
(何、これ……)
手紙の内容はサラの面識がない男から寄せられたもので、幾度も愛してると呪いのように綴られている。
しかも血文字で。
まるで、サラとその男が両思いのような口ぶりで、
『本当に君の事がわかるのは私だけ。心の底を知るのは私だけ』
『君はいつも一人でかわいそう。妃殿下なのに、蔑ろに扱われて、どこにも馴染めなくて、せっかく遠いところからお嫁に来たのに殿下にも相手にされなくてつらいね。今すぐ抱きしめて、君のさみしい心を癒やしてあげたいけど、ちょっと待って。邪魔な王子がいるからもう少しだけ、待ってね』
『今日も本を熱心に読んでいたね。ずっと見ていたよ。驚いた? ずっと守ってあげるから安心して』
『早く君とひとつになりたい。もう少しだけ待って』
『早く私を見つけて。愛しているとその薔薇色の唇で囁いて』などと永遠に書かれている。
偏った愛の言葉だった。
テオフィル曰く、つい1ヶ月ほど前から不定期に届くようになり、どの手紙も内容は似たようなものらしい。
サラは『宝石姫』と呼ばれるくらい絶世の美女。
だからサラに男性のファンが居てもおかしくないが、これは酷すぎた。
しかしながら、何故こんな怪しい手紙が届けられたのだろう。
そして、問題なのは、封筒が発見された場所だ。
はじめは郵送で届き、あまりの怪しさから手紙を取り締まったのは言うまでもない。2通目は、護衛が部屋の前で見つけ、3通目はサラの寝室のサイドテーブルにあったものを侍女が発見。
あまりの変質な内容からサラには手紙の事は言っていないらしい。
気を利かせた侍女がサラに見せる事なく、テオフィルに連絡しているそうだ。
嫌なことに、手紙はすべてテオフィル、つまり旦那が外出時に届いている。
まるで不在ということを知っているかのように。
女性だったら、こんな怖いものが自分宛に届いたら正気ではいられない。
気の弱いサラは耐えられないかもしれない。
ちなみに、この手紙は一番最新のもので、サラと側付きの侍女しか入れない寝室のテーブルに置いてあった読みかけの本に挟んであったらしい。栞代わりに。
差出人の名前はなく、文面の最後にいつも『君を今度こそ助ける』と書いてあるのが気味が悪い。
ある種の妄想と勘違いを強く感じる。
しかも、血文字を不思議に思ったテオフィルがその文字を鑑定すると『血抜かれ殺人事件』の被害者のものと一致。さらに血文字に触れると古代魔法が発動し、この手紙の主に好意を持つような魔法がかけられていたそうだ。
「ローゼちゃん、お願いがある。サラと寝てくれないか」
マリーはテオフィルに真剣な顔で見つめられる。
はて。これはこれは。
寝る、とはどんな意味だろう?
この単語、簡単なようで実は色んな意味がありまして、奥が深いのだ。
単にごろんとなって横になるだけ? それなら問題ない。
それとも。いや、しかし。まさか。
「寝る? ですか」
「そう。寝るだけ。サラの事は嫌いかい?」
嫌いも何も友人の旦那に『友人と寝ろ』と言われたら困惑する。
小説で知ったのだが、同性間もそういう関係の人もいるらしいのだ。
しかも友人の旦那直々に懇願。この手の話、この前読んだぞ。えっと……。
これは、いわゆる寝とられ希望……。
いや、まさか。でも。
この状況はそういう趣味と思っていいのかな、王子様?!
(やっぱりあなたもそういう変態?)
サラの夫で、リシャールの弟なら有り得るかもしれない。
失礼極まりないが、それが本心だ。
最近、出会う人にまともな人がいなかったから、つい疑いの目を向けてしまう。
ここは無礼が無いよう丁寧にさりげなく聞いてみるのが一番だ。
マリーは意を決したように唾を飲み込む。
「えっと、寝るだけ? ですよね」
「そう、寝るだけ。……寝る以外で、ベッドで何をするつもりかな?」
「いや、その……」
変な沈黙が流れる。フレッドが口を押えて小刻みに震えているから腹が立つ。こっちは真剣だったんだ。
そして、何故かテオフィルの目はぞっとするぐらい冷ややかだった。
口元は笑っているのに。
「サラには僕という夫がいるのに、君と夜な夜な何をするんだい? いくら彼女に同性も魅了するような、魅力があるからってその一線はだめだよ。ゆるさないからね、絶対ダメ。わかった?」
「もちろんです、念のため聞いただけです。最近ちょっといろいろありまして、私も疑い深くなっちゃって、すいません」
そんなつもりはないと素直に謝ると、テオフィルはまたいつも通りの人が好さそうな微笑みを浮かべた。よかった。
というか、この人。いつも老若男女にサラを奪われると思って生きているのだろうか。
恋は盲目。疑っても疑ってもきりがないのだろう。
なんだか、生きるのが辛い気がした。恋ってつらいな。
「いや、いいよ。僕の言い方が悪かったよね。こちらこそ、ごめんね」
「そもそも、私とサラとは友人ですし。女同士ですし、その点心配はないと思います」
「そうだよね。友人だしね。ありえないよね。だから君にしたんだから。ほら、だって、君の夜のお供には兄さんがいるだろう。欲張りは良くないよ。アレで我慢しなさい。アレで我慢すべきだ」
ああ、でも、やはりテオフィルの目が笑ってない気がする。
愛が重い。勘違いが激しい所はやっぱり兄弟だ。アレ呼ばわりの兄と似ている。
マリーとリシャールは夜な夜ないちゃつくような関係ではないが話が逸れるので否定しないでおく。
マリーは冷静だった。
「ローゼちゃんには僕が公務でいない日に、彼女と添い寝してほしい」
話はこうだ。
テオフィルは公務で泊まりがけの外出が多い。
もちろん、選りすぐりの護衛もいるが、男である護衛を寝室に入れるわけにはいかないし、かといって今から素性もしれぬ女の護衛も雇うつもりもないらしい(心配で雇えない)。彼はかなり慎重派で使用人1人雇うにも入念に調べるらしい。
でも、サラ1人の夜は危ない。
そこで所在の知れた友人であるマリーが無防備な寝室で夜を共に過ごす事を思いついたらしい。
要は夜の間見張ってほしいという依頼だった。
寝室の番だ。
怪しいものが来たら、連絡する。
それだけの仕事。
外には護衛もいるし、窓の外にも結界が張ってある。
サラが眠っている間、見守るだけの仕事だ。
さすがに誰かいるときには手紙が置かれることはないらしい。
「私でいいのでしょうか」
「僕は君を信用しているんだ。サラにもやんわり事を伝えて、君が一緒なら安心すると思う。気持ちの問題もあるしね。追加依頼だよ」
追加依頼ということは、やはり。
「テオ様は今回の潜入捜査依頼主ですか」
「そう。僕」
テオフィルはにこっと笑ってみせた。
「兄さんの日頃の名悪役ぶりは良いんだけど、この事件たち、ちょっと困ったことがあってね」
テオフィルはジャンに目配せして、ジャンがそれに応じて席を立った。しばらくして、革のトランクを持ってきて、その中から高価そうな薔薇の浮き彫り装飾が施された硝子ケースを取り出した。
テオフィルは開けてみせる。
「硝子製の注射器ですか?」
マリーは血液が入っていたであろう、どす黒く内筒が汚れた注射器を眺めた。
「そう。血抜き殺人事件はこの注射器で、首の太い血管から血を全て抜いているらしい」
注射器は3件目と6件目の事件で用いられたものを発見したらしい。凶器であるのに、死体のそばにわかりやすく転がっていたそうだ。
「見て。困った事に硝子製。きらきら七色に光るし、実によく出来ている」
七色に光る硝子のように見えるが、触ればそれが硬い水晶だと分かる。それはローズライン王国の王族に伝わる氷魔法で作った工芸品だ。
テオフィルはその注射器を床に投げつけた。
しかし割れることはない。
氷魔法で出来た製品は術者が割らない限り割れないくらい固い。
床に投げたくらいじゃ割れないし、どんな武器でも壊せない。
ジャンが何も言わずに壁に立てかけてあった彼の魔器である槍を手にして、準備体操がてら一振りした。そして躊躇なくジャンが槍で注射器を叩くと、いとも簡単にガシャンと割れた。
(何、これ……)
手紙の内容はサラの面識がない男から寄せられたもので、幾度も愛してると呪いのように綴られている。
しかも血文字で。
まるで、サラとその男が両思いのような口ぶりで、
『本当に君の事がわかるのは私だけ。心の底を知るのは私だけ』
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偏った愛の言葉だった。
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サラは『宝石姫』と呼ばれるくらい絶世の美女。
だからサラに男性のファンが居てもおかしくないが、これは酷すぎた。
しかしながら、何故こんな怪しい手紙が届けられたのだろう。
そして、問題なのは、封筒が発見された場所だ。
はじめは郵送で届き、あまりの怪しさから手紙を取り締まったのは言うまでもない。2通目は、護衛が部屋の前で見つけ、3通目はサラの寝室のサイドテーブルにあったものを侍女が発見。
あまりの変質な内容からサラには手紙の事は言っていないらしい。
気を利かせた侍女がサラに見せる事なく、テオフィルに連絡しているそうだ。
嫌なことに、手紙はすべてテオフィル、つまり旦那が外出時に届いている。
まるで不在ということを知っているかのように。
女性だったら、こんな怖いものが自分宛に届いたら正気ではいられない。
気の弱いサラは耐えられないかもしれない。
ちなみに、この手紙は一番最新のもので、サラと側付きの侍女しか入れない寝室のテーブルに置いてあった読みかけの本に挟んであったらしい。栞代わりに。
差出人の名前はなく、文面の最後にいつも『君を今度こそ助ける』と書いてあるのが気味が悪い。
ある種の妄想と勘違いを強く感じる。
しかも、血文字を不思議に思ったテオフィルがその文字を鑑定すると『血抜かれ殺人事件』の被害者のものと一致。さらに血文字に触れると古代魔法が発動し、この手紙の主に好意を持つような魔法がかけられていたそうだ。
「ローゼちゃん、お願いがある。サラと寝てくれないか」
マリーはテオフィルに真剣な顔で見つめられる。
はて。これはこれは。
寝る、とはどんな意味だろう?
この単語、簡単なようで実は色んな意味がありまして、奥が深いのだ。
単にごろんとなって横になるだけ? それなら問題ない。
それとも。いや、しかし。まさか。
「寝る? ですか」
「そう。寝るだけ。サラの事は嫌いかい?」
嫌いも何も友人の旦那に『友人と寝ろ』と言われたら困惑する。
小説で知ったのだが、同性間もそういう関係の人もいるらしいのだ。
しかも友人の旦那直々に懇願。この手の話、この前読んだぞ。えっと……。
これは、いわゆる寝とられ希望……。
いや、まさか。でも。
この状況はそういう趣味と思っていいのかな、王子様?!
(やっぱりあなたもそういう変態?)
サラの夫で、リシャールの弟なら有り得るかもしれない。
失礼極まりないが、それが本心だ。
最近、出会う人にまともな人がいなかったから、つい疑いの目を向けてしまう。
ここは無礼が無いよう丁寧にさりげなく聞いてみるのが一番だ。
マリーは意を決したように唾を飲み込む。
「えっと、寝るだけ? ですよね」
「そう、寝るだけ。……寝る以外で、ベッドで何をするつもりかな?」
「いや、その……」
変な沈黙が流れる。フレッドが口を押えて小刻みに震えているから腹が立つ。こっちは真剣だったんだ。
そして、何故かテオフィルの目はぞっとするぐらい冷ややかだった。
口元は笑っているのに。
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「もちろんです、念のため聞いただけです。最近ちょっといろいろありまして、私も疑い深くなっちゃって、すいません」
そんなつもりはないと素直に謝ると、テオフィルはまたいつも通りの人が好さそうな微笑みを浮かべた。よかった。
というか、この人。いつも老若男女にサラを奪われると思って生きているのだろうか。
恋は盲目。疑っても疑ってもきりがないのだろう。
なんだか、生きるのが辛い気がした。恋ってつらいな。
「いや、いいよ。僕の言い方が悪かったよね。こちらこそ、ごめんね」
「そもそも、私とサラとは友人ですし。女同士ですし、その点心配はないと思います」
「そうだよね。友人だしね。ありえないよね。だから君にしたんだから。ほら、だって、君の夜のお供には兄さんがいるだろう。欲張りは良くないよ。アレで我慢しなさい。アレで我慢すべきだ」
ああ、でも、やはりテオフィルの目が笑ってない気がする。
愛が重い。勘違いが激しい所はやっぱり兄弟だ。アレ呼ばわりの兄と似ている。
マリーとリシャールは夜な夜ないちゃつくような関係ではないが話が逸れるので否定しないでおく。
マリーは冷静だった。
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話はこうだ。
テオフィルは公務で泊まりがけの外出が多い。
もちろん、選りすぐりの護衛もいるが、男である護衛を寝室に入れるわけにはいかないし、かといって今から素性もしれぬ女の護衛も雇うつもりもないらしい(心配で雇えない)。彼はかなり慎重派で使用人1人雇うにも入念に調べるらしい。
でも、サラ1人の夜は危ない。
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追加依頼ということは、やはり。
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「そう。僕」
テオフィルはにこっと笑ってみせた。
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テオフィルはジャンに目配せして、ジャンがそれに応じて席を立った。しばらくして、革のトランクを持ってきて、その中から高価そうな薔薇の浮き彫り装飾が施された硝子ケースを取り出した。
テオフィルは開けてみせる。
「硝子製の注射器ですか?」
マリーは血液が入っていたであろう、どす黒く内筒が汚れた注射器を眺めた。
「そう。血抜き殺人事件はこの注射器で、首の太い血管から血を全て抜いているらしい」
注射器は3件目と6件目の事件で用いられたものを発見したらしい。凶器であるのに、死体のそばにわかりやすく転がっていたそうだ。
「見て。困った事に硝子製。きらきら七色に光るし、実によく出来ている」
七色に光る硝子のように見えるが、触ればそれが硬い水晶だと分かる。それはローズライン王国の王族に伝わる氷魔法で作った工芸品だ。
テオフィルはその注射器を床に投げつけた。
しかし割れることはない。
氷魔法で出来た製品は術者が割らない限り割れないくらい固い。
床に投げたくらいじゃ割れないし、どんな武器でも壊せない。
ジャンが何も言わずに壁に立てかけてあった彼の魔器である槍を手にして、準備体操がてら一振りした。そして躊躇なくジャンが槍で注射器を叩くと、いとも簡単にガシャンと割れた。
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