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恋人ごっこまでの経緯
気付いてくれないなら、早く言わせてくれないか?
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その日の午前中、マリーは画廊に行き、以前ブラン侯爵に紹介してもらったレオナルドの屋敷に訪問していた。
レオナルドは中年の線の細い男性で、甘いマスクの男だった。
彼は絵を売ることはもちろん、国立絵画会館員であり、自らも筆を取る現役の画家だ。
レオナルドのゆっくりとした口調は穏やかさと優美さを備えた育ちの良さを物語っていた。
マリーが今年もコンクールに応募する話をしたら、なんと彼は審査員だと言うことがわかった。
「まさか、うちのコンクールに毎年応募してくれていたとは。君の作品も中々素敵だったから、楽しみにしていたんだよ。修道院の暮らしが上手く描かれていて、毎年上達しているね」とマリーはレオナルドにお褒めの言葉を頂いた。
マリーが自分の作品がなかなか恋愛を物描いた作品には及ばない事、どうすれば惹きつけるような作品を描けるのかレオナルドに問うと、
「人は経験したことしか描けないよ。いくら君が甘美な作品を描こうと思っても、想像じゃ描けない。恋の真似事みたいなものだ。だから、君は、君が美しいと思った物を描けばいい。入賞するのはどうしても甘美な作品が多い気もするけど、問題は絵を見た人が何を想像するかが大事なんだ」と語っていた。
甘美な作品を見て何を想像する?
そのようなレオナルドの問いかけだった。
マリーには、それらの絵が夜の卑猥な情事にしか思えなかったので黙り込むと、レオナルドは付け加える様に、
「一般的にいやらしいと思う絵画でもそこには物語がある。好きな人に出会い、そこまで行きつく中のいくつもの場面があるんだ。一番なまめかしくて、衝撃的なワンシーンにいろいろな時代背景や思い、恋の行く末まで描かれている。それを見て、少なからず恋に落ちるような絵が評価されやすいんじゃないかな」と。
「レオナルドさんも、そんな自分の恋と重ねるのですか?」とマリーは失礼ながら聞いてしまった。
レオナルドはどこか懐かしむように「ああ、そうだね、君もそのうちわかるよ。もし、君がそんな恋をしたらまた絵を見せてくれないか?」優しく微笑んでいた。
その時、レオナルドは自身が手掛ける薔薇の凹凸の透かし模様が入ったレターセットをお土産にくれた。
「好きな人が出来たら、これに書いて出せばいい」と。
さすが画商。ロマンチックだった。
(私は何を描きたい?)
最近、マリーがもっぱら思い出すのは、教会にたたずむ美しい男性だ。
深い青緑の瞳、白い陶器の様な肌、形の良い薄い唇。
やけに響く低くて甘く気だるい声。
(ああ、どうしよう)
マリーの顔が彼を考えただけで少し熱った。
(今日もやっぱり、殿下を描きたいな)
******************
マリーが教会についたのは昼過ぎだった。
リシャールはいつものように壁際の机で書類にサインしていた。
マリーはリシャールの邪魔しないように静かに中に入り、隅の長椅子に腰かけた。
「今日は遅かったな」
書類に視線を落としながら、ぽつりと彼はつぶやいた。
「あ、はい。少し用がありまして」
思えば、マリーはここ最近あまり教会に行けてなかった。ましてや今までは朝イチにリシャールのいる教会に行っていたから、今日のような中途半端な昼下がりははじめてだった。
「来ないかと思った」
「いえ、その……最近、家の用事が立て込んでまして」
事実、マリーの社交界デビューまで10日を切っていた。
だからマリーの日々は、令嬢になりきるための習い事やマナーの勉強、ブラン侯爵のサロンなどで大忙しになっていた。
(来ないかと思った、って事は、まさか殿下は私を待っていたの?)
リシャールに靴をプレゼントされて以来、マリーは彼と会う機会がなかった。
これからマリーが社交界デビューすれば、リシャールと会う機会はもっと減るだろう。
社交界に滅多に顔を出さないリシャールと会う事はないかもしれない。
マリーの本来の仕事である潜入捜査も始まるし、偽の婚約者と過ごす時間が多くなるはずだ。
「殿下、あの、私」
マリーはリシャールの机に歩み寄り、彼の背後に立った。
「なんだ?」
「この前は靴を頂き、有難うございました」
ドレスは消えてしまったけど、硝子の靴はマリーの手元に残ったのだ。
「大切にします」
今まではリシャールが公務中に話しかけることはなかった。
だから、マリーは彼から話かかけてきた機会にお礼を言った。
実は今日もあと一時間ほどしかマリーは教会に居られないのだ。
予定がたくさん詰まっている。
楽しい休暇はもう終わりが近づいていた。
もしかしたら、今日で彼とお別れになるかもしれない。
マリーの婚約者がたとえ偽物でも、こんな風にリシャールとマリーが二人でいるのはどう考えてもおかしいし、未婚の王子であるリシャールにとってもこの状況は迷惑なはずだ。
マリーが社交界に出たら、リシャールとそういう仲だという噂が立てば、大変だった。
リシャールはゆっくり机から立ち上がり、マリーに向き合った。
彼は無表情でマリーを見下ろしていた。
「まるで、お別れの挨拶みたいだな」
「あ、いえ。お別れというか、これからはなかなか会えないかもしれないので、お礼を言っておきたかったんです」
「律儀だな」
「殿下にはお世話になりましたし」
「別に何もしてない。なぜ、かしこまる?」
「いえいえ! 家庭教師みたいなこともして頂いたり……とても勉強になりました」
マリーはお辞儀をした。
「できれば、もし、もし、殿下が迷惑でなければ――文通でもしませんか?」
「……」
リシャールは無言だった。
やはり一国の王子に文通して欲しいなどとおこがましかったか。
ちょっと仲良くなれたからって、調子に乗りすぎたか、とマリーは思った。
「あ、ごめんなさい。迷惑でしたね、殿下、戦とか公務とか大忙しですもんね」
言った後に急に恥ずかしくなって、マリーは踵を返した。
別に告白したわけじゃない。
よいお友達、そいうか子弟として、これからも交流があれば楽しい嬉しいみたいな感じだ。
「おい、待て、どこへ行く?」
マリーはリシャールにガシッと肩を掴まれた。
「今のは忘れてください! 無礼行為でした!」
「いや、そうではなく、こっちを向け。貴様に聞きたい事がある」
「ん? 何でしょう?」
マリーはリシャールに向き直ると、彼は真剣な顔をしていた。
「貴様、私と文通したいといったな」
「はい」
「何を書くんだ?」
文通――文章で通信すること。手紙のやり取り。
「何って、今日は天気が良かったとかおいしいケーキを食べたとか?」
「それは日記だろう」
「そうですね、じゃあ、今日も殿下の顔を思い出しました。やっぱり殿下の顔ほど描きたいものはありません」
「それは勧誘だ」
リシャールはため息をつく。
「貴様はもっと私に言うことはないのか?」
「私は――」
思考を巡らそうとする前にリシャールが、目を切なげに細めて言った。
「私は、貴様に言いたい事がたくさんあるが、聞きたいか?」
心臓がドクリ、と波打った。
マリーは聞いてみたい、と思った。
普段あまり考えを言わない殿下の心内を。
たぶん、自分に対しての批判とかお前もっとしっかりしろとかその程度の事だろうけど。
「聞いてみたいような、気がします」
「後悔しないか?」
後悔するような内容なんですか? と訊く前に、リシャールは言った。
「貴様は、聞いてしまったら、もう、後戻りできない」
マリーの耳元でひどく甘い声がした。
その瞬間。
リシャールはマリーを抱きしめ、床に組み敷いた。
「え、ちょっと……で、殿下?」
ぶすっと、さっきまでマリーの立っていた背後の壁に矢が突き刺さった。
レオナルドは中年の線の細い男性で、甘いマスクの男だった。
彼は絵を売ることはもちろん、国立絵画会館員であり、自らも筆を取る現役の画家だ。
レオナルドのゆっくりとした口調は穏やかさと優美さを備えた育ちの良さを物語っていた。
マリーが今年もコンクールに応募する話をしたら、なんと彼は審査員だと言うことがわかった。
「まさか、うちのコンクールに毎年応募してくれていたとは。君の作品も中々素敵だったから、楽しみにしていたんだよ。修道院の暮らしが上手く描かれていて、毎年上達しているね」とマリーはレオナルドにお褒めの言葉を頂いた。
マリーが自分の作品がなかなか恋愛を物描いた作品には及ばない事、どうすれば惹きつけるような作品を描けるのかレオナルドに問うと、
「人は経験したことしか描けないよ。いくら君が甘美な作品を描こうと思っても、想像じゃ描けない。恋の真似事みたいなものだ。だから、君は、君が美しいと思った物を描けばいい。入賞するのはどうしても甘美な作品が多い気もするけど、問題は絵を見た人が何を想像するかが大事なんだ」と語っていた。
甘美な作品を見て何を想像する?
そのようなレオナルドの問いかけだった。
マリーには、それらの絵が夜の卑猥な情事にしか思えなかったので黙り込むと、レオナルドは付け加える様に、
「一般的にいやらしいと思う絵画でもそこには物語がある。好きな人に出会い、そこまで行きつく中のいくつもの場面があるんだ。一番なまめかしくて、衝撃的なワンシーンにいろいろな時代背景や思い、恋の行く末まで描かれている。それを見て、少なからず恋に落ちるような絵が評価されやすいんじゃないかな」と。
「レオナルドさんも、そんな自分の恋と重ねるのですか?」とマリーは失礼ながら聞いてしまった。
レオナルドはどこか懐かしむように「ああ、そうだね、君もそのうちわかるよ。もし、君がそんな恋をしたらまた絵を見せてくれないか?」優しく微笑んでいた。
その時、レオナルドは自身が手掛ける薔薇の凹凸の透かし模様が入ったレターセットをお土産にくれた。
「好きな人が出来たら、これに書いて出せばいい」と。
さすが画商。ロマンチックだった。
(私は何を描きたい?)
最近、マリーがもっぱら思い出すのは、教会にたたずむ美しい男性だ。
深い青緑の瞳、白い陶器の様な肌、形の良い薄い唇。
やけに響く低くて甘く気だるい声。
(ああ、どうしよう)
マリーの顔が彼を考えただけで少し熱った。
(今日もやっぱり、殿下を描きたいな)
******************
マリーが教会についたのは昼過ぎだった。
リシャールはいつものように壁際の机で書類にサインしていた。
マリーはリシャールの邪魔しないように静かに中に入り、隅の長椅子に腰かけた。
「今日は遅かったな」
書類に視線を落としながら、ぽつりと彼はつぶやいた。
「あ、はい。少し用がありまして」
思えば、マリーはここ最近あまり教会に行けてなかった。ましてや今までは朝イチにリシャールのいる教会に行っていたから、今日のような中途半端な昼下がりははじめてだった。
「来ないかと思った」
「いえ、その……最近、家の用事が立て込んでまして」
事実、マリーの社交界デビューまで10日を切っていた。
だからマリーの日々は、令嬢になりきるための習い事やマナーの勉強、ブラン侯爵のサロンなどで大忙しになっていた。
(来ないかと思った、って事は、まさか殿下は私を待っていたの?)
リシャールに靴をプレゼントされて以来、マリーは彼と会う機会がなかった。
これからマリーが社交界デビューすれば、リシャールと会う機会はもっと減るだろう。
社交界に滅多に顔を出さないリシャールと会う事はないかもしれない。
マリーの本来の仕事である潜入捜査も始まるし、偽の婚約者と過ごす時間が多くなるはずだ。
「殿下、あの、私」
マリーはリシャールの机に歩み寄り、彼の背後に立った。
「なんだ?」
「この前は靴を頂き、有難うございました」
ドレスは消えてしまったけど、硝子の靴はマリーの手元に残ったのだ。
「大切にします」
今まではリシャールが公務中に話しかけることはなかった。
だから、マリーは彼から話かかけてきた機会にお礼を言った。
実は今日もあと一時間ほどしかマリーは教会に居られないのだ。
予定がたくさん詰まっている。
楽しい休暇はもう終わりが近づいていた。
もしかしたら、今日で彼とお別れになるかもしれない。
マリーの婚約者がたとえ偽物でも、こんな風にリシャールとマリーが二人でいるのはどう考えてもおかしいし、未婚の王子であるリシャールにとってもこの状況は迷惑なはずだ。
マリーが社交界に出たら、リシャールとそういう仲だという噂が立てば、大変だった。
リシャールはゆっくり机から立ち上がり、マリーに向き合った。
彼は無表情でマリーを見下ろしていた。
「まるで、お別れの挨拶みたいだな」
「あ、いえ。お別れというか、これからはなかなか会えないかもしれないので、お礼を言っておきたかったんです」
「律儀だな」
「殿下にはお世話になりましたし」
「別に何もしてない。なぜ、かしこまる?」
「いえいえ! 家庭教師みたいなこともして頂いたり……とても勉強になりました」
マリーはお辞儀をした。
「できれば、もし、もし、殿下が迷惑でなければ――文通でもしませんか?」
「……」
リシャールは無言だった。
やはり一国の王子に文通して欲しいなどとおこがましかったか。
ちょっと仲良くなれたからって、調子に乗りすぎたか、とマリーは思った。
「あ、ごめんなさい。迷惑でしたね、殿下、戦とか公務とか大忙しですもんね」
言った後に急に恥ずかしくなって、マリーは踵を返した。
別に告白したわけじゃない。
よいお友達、そいうか子弟として、これからも交流があれば楽しい嬉しいみたいな感じだ。
「おい、待て、どこへ行く?」
マリーはリシャールにガシッと肩を掴まれた。
「今のは忘れてください! 無礼行為でした!」
「いや、そうではなく、こっちを向け。貴様に聞きたい事がある」
「ん? 何でしょう?」
マリーはリシャールに向き直ると、彼は真剣な顔をしていた。
「貴様、私と文通したいといったな」
「はい」
「何を書くんだ?」
文通――文章で通信すること。手紙のやり取り。
「何って、今日は天気が良かったとかおいしいケーキを食べたとか?」
「それは日記だろう」
「そうですね、じゃあ、今日も殿下の顔を思い出しました。やっぱり殿下の顔ほど描きたいものはありません」
「それは勧誘だ」
リシャールはため息をつく。
「貴様はもっと私に言うことはないのか?」
「私は――」
思考を巡らそうとする前にリシャールが、目を切なげに細めて言った。
「私は、貴様に言いたい事がたくさんあるが、聞きたいか?」
心臓がドクリ、と波打った。
マリーは聞いてみたい、と思った。
普段あまり考えを言わない殿下の心内を。
たぶん、自分に対しての批判とかお前もっとしっかりしろとかその程度の事だろうけど。
「聞いてみたいような、気がします」
「後悔しないか?」
後悔するような内容なんですか? と訊く前に、リシャールは言った。
「貴様は、聞いてしまったら、もう、後戻りできない」
マリーの耳元でひどく甘い声がした。
その瞬間。
リシャールはマリーを抱きしめ、床に組み敷いた。
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