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恋人ごっこまでの経緯
忘却の言葉は今もここに眠っている
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君がこの手紙――いや、文章を読んだと言うことは、僕はもうこの世に居ないのかもしれないね。
まず先にお礼を言おう。
ここに隠した僕の気持ちを見つけてくれてありがとう。
実は君なら絶対見つけてくれると信じていたよ。
聡明な君なら、僕の残した言葉だけで此処にたどり着くはずだから。
いつもどこに居ても、僕は君の事を思っている。
ちゃんとご飯食べているか、勉強しているか、友達と仲良くしているか……少しの間でも僕の事を思ってくれているか、なんてね。
あの晩の出来事は一体なんだったのか。
結局、聞きそびれたままになっているね。
あの時まで僕の事を君はただの幼馴染くらいしか思っていなかったんだろう?
君に向ける愛情が友情と変わらないと純粋に信じていた期待を裏切って悪かった。
君に出会った日から、友達だの幼馴染だの、関係性に自分から名前を付けて置いて一度もそう思ったことはなかったよ。
幼い少女だったころから、今や美しい女性になった君を、ずっと傍で見ていられたのは、その嘘のおかげかな? なんて考えている。
ずっと見ていたんだよ。
素晴らしい、愛しい時間だった。
本当はちゃんとした時に、僕の気持ちを伝えて、君を生涯一番近くで見守りたかったんだ。
それはもう、叶いそうにないね。
君は最後に、あの夜に、唇が触れるか触れないかのキスをくれたね。
あれだけで、もう十分悔いはないよ。
それ以上知ってしまったら、もう君を置いて戦地などいけないだろう。
離れがたくなってしまうからね。
長くなってしまったけど、僕は君の事がずっと好きだった。
瞼を閉じれば、淡い金髪の君が悪戯っぽく僕に微笑んでいる。
やさしくしてくれてありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。
今、僕は君に魔法をかけようと思う。
この手紙を最後まで、読んだら君は綺麗に僕を忘れるんだ。
僕は君を思って死ぬけど、君は死んだやつをいつまでも思い続ける必要なんてない。
僕よりも優しい男を見つけて、素敵な恋をして、幸せな家庭を、生涯を送って欲しい。
それが僕の願いだ。
大丈夫、君の先は希望に照らされている。
最後に。
いま、ただ無性に、
君にもう一度だけ、会いたい。
君の良く響く、透き通るような歌声を思い出して逝くとしよう。
********
「なに、これ……」
マリーはリシャールと気まずくなって、教会から逃げ出すように帰ったあの日から3日後の昼下がり。
マリーはまた街外れの古ぼけた教会にいた。
やはりなんとなく教会に足が向いて来てしまったのだ。
マリーは逃げるようにリシャールと別れてしまったから、彼にどういう顔をして会えばいいかわからなかった。
別にマリーはリシャールを嫌いになったわけではない。
ただ、あの日は二人の間にとっても不思議な空気が流れていて、なんというか居ても立っても居られなかったのだ。
動揺とも気恥ずかしさとも違う、怖さがあった。
それはリシャールに対してではない。
マリーは、彼の深い色の瞳を見ていると、自分が深海に引きずり込まれるような気がしたのだ。
それ以上、近づくと戻ってこれないような。なんといっていいかわからないけど。
でも、自然と教会に足が向いてしまうから自分でも困る。どうしようもない。呆れてしまう。
マリーは自分でも、リシャールに近づきたいのか、逃げたいのか分からなかった。
意を決して、マリーは教会の扉を開けたのだが、今日は珍しくリシャールの姿が無かった。
マリーは壁際に備え付けられているパイプオルガンの椅子に座り、まじまじと鍵盤を眺めたりして時間をつぶしていた。
マリーはこの前の事を思いだし、リシャールにもらった指輪を見ていた。
そして不意に手が滑って、指輪が鍵盤の下、マリーの足元に転がったのだ。
マリーがそれを拾おうとしたところ、パイプオルガンに隠れる様に、壁に文字が刻まれているのを発見したのである。
「愛の言葉?……年季が入っているなぁ」
その文書には、長年思いを寄せていた女性への別れと愛がつづられている。
宛名はナイフで削られていて、誰に書かれたものかわからない。
(これ、戦争が激しかった時代の話かな? 今も小競り合いはあるけど、昔は死者が多かったというし)
かの戦争を大部分鎮火させたのはあの恐れ多い氷華殿下だ。つまり、リシャールだ。
巷で語られる氷華殿下伝説(まだ生きてるけど)によれば、一人で国を滅ぼしたとか。
彼の魔法は、すべてを凍らし、あっという間に砕け、空気中の塵と化す。
そこには死体も何も残らない、世界で一番美しく、残酷な殺し方と有名だった。
化け物のような強さの彼を恐れた周辺諸国は、それからずっと小さな戦を仕掛けつつ、王子の暗殺を狙っているらしいことは皆知っている。
しかし、自国民はリシャールに守られている立場にありながらも従来の教会信者や貴族は戦いを好まず、彼と対象的な聖人殿下であるテオフィルを強く推しているらしい。
ちなみに、テオフィルは国民の事をよく考え、他国とも話し合いやお互い理がある交換条件で解決しようと奔走しており、そちらも国を守るやり方だ。
よって、氷華殿下は他国からも自国からも批判の対象になっている。
ここ数日で調べた内容であった。
少し不思議だったのは、やけに氷華殿下の記事が多い事だ。
テオフィル殿下の結婚式の時は連日その話題だったし、その他はふたりの政治的な記事とかばかり。
まるでなにかを隠しているかのように。
(それにしてもこの文章……ちゃんと相手の女性に届いたのかな?)
その内容は相手に自分の事を忘れてほしいと言いながら、未練がつづられている。
手紙の主の生死は不明だが、長期間戦で離ればなれになれば、無事に帰還しても恋人は新しい人生を歩んでいるかもしれない。
戦が終わってみたものの、好きな人や妻がほかの者と結婚しているなんてことはよくある。
それも時代のせいだから仕方ない。女性も家を守るために結婚を強要されるのだから。
誰も責める事が出来ないのだ。
好きな人と共に生きれない苦悩。
自分は覚えているけど、君は新しい人生を。
なんて優しくて悲しくて残酷な話だろうとマリーは思った。
(もし、叶わない恋をしたら私も――)
愛しい人に忘れてなどと容易にいえるんだろうか?
まず先にお礼を言おう。
ここに隠した僕の気持ちを見つけてくれてありがとう。
実は君なら絶対見つけてくれると信じていたよ。
聡明な君なら、僕の残した言葉だけで此処にたどり着くはずだから。
いつもどこに居ても、僕は君の事を思っている。
ちゃんとご飯食べているか、勉強しているか、友達と仲良くしているか……少しの間でも僕の事を思ってくれているか、なんてね。
あの晩の出来事は一体なんだったのか。
結局、聞きそびれたままになっているね。
あの時まで僕の事を君はただの幼馴染くらいしか思っていなかったんだろう?
君に向ける愛情が友情と変わらないと純粋に信じていた期待を裏切って悪かった。
君に出会った日から、友達だの幼馴染だの、関係性に自分から名前を付けて置いて一度もそう思ったことはなかったよ。
幼い少女だったころから、今や美しい女性になった君を、ずっと傍で見ていられたのは、その嘘のおかげかな? なんて考えている。
ずっと見ていたんだよ。
素晴らしい、愛しい時間だった。
本当はちゃんとした時に、僕の気持ちを伝えて、君を生涯一番近くで見守りたかったんだ。
それはもう、叶いそうにないね。
君は最後に、あの夜に、唇が触れるか触れないかのキスをくれたね。
あれだけで、もう十分悔いはないよ。
それ以上知ってしまったら、もう君を置いて戦地などいけないだろう。
離れがたくなってしまうからね。
長くなってしまったけど、僕は君の事がずっと好きだった。
瞼を閉じれば、淡い金髪の君が悪戯っぽく僕に微笑んでいる。
やさしくしてくれてありがとう。
一緒にいてくれてありがとう。
今、僕は君に魔法をかけようと思う。
この手紙を最後まで、読んだら君は綺麗に僕を忘れるんだ。
僕は君を思って死ぬけど、君は死んだやつをいつまでも思い続ける必要なんてない。
僕よりも優しい男を見つけて、素敵な恋をして、幸せな家庭を、生涯を送って欲しい。
それが僕の願いだ。
大丈夫、君の先は希望に照らされている。
最後に。
いま、ただ無性に、
君にもう一度だけ、会いたい。
君の良く響く、透き通るような歌声を思い出して逝くとしよう。
********
「なに、これ……」
マリーはリシャールと気まずくなって、教会から逃げ出すように帰ったあの日から3日後の昼下がり。
マリーはまた街外れの古ぼけた教会にいた。
やはりなんとなく教会に足が向いて来てしまったのだ。
マリーは逃げるようにリシャールと別れてしまったから、彼にどういう顔をして会えばいいかわからなかった。
別にマリーはリシャールを嫌いになったわけではない。
ただ、あの日は二人の間にとっても不思議な空気が流れていて、なんというか居ても立っても居られなかったのだ。
動揺とも気恥ずかしさとも違う、怖さがあった。
それはリシャールに対してではない。
マリーは、彼の深い色の瞳を見ていると、自分が深海に引きずり込まれるような気がしたのだ。
それ以上、近づくと戻ってこれないような。なんといっていいかわからないけど。
でも、自然と教会に足が向いてしまうから自分でも困る。どうしようもない。呆れてしまう。
マリーは自分でも、リシャールに近づきたいのか、逃げたいのか分からなかった。
意を決して、マリーは教会の扉を開けたのだが、今日は珍しくリシャールの姿が無かった。
マリーは壁際に備え付けられているパイプオルガンの椅子に座り、まじまじと鍵盤を眺めたりして時間をつぶしていた。
マリーはこの前の事を思いだし、リシャールにもらった指輪を見ていた。
そして不意に手が滑って、指輪が鍵盤の下、マリーの足元に転がったのだ。
マリーがそれを拾おうとしたところ、パイプオルガンに隠れる様に、壁に文字が刻まれているのを発見したのである。
「愛の言葉?……年季が入っているなぁ」
その文書には、長年思いを寄せていた女性への別れと愛がつづられている。
宛名はナイフで削られていて、誰に書かれたものかわからない。
(これ、戦争が激しかった時代の話かな? 今も小競り合いはあるけど、昔は死者が多かったというし)
かの戦争を大部分鎮火させたのはあの恐れ多い氷華殿下だ。つまり、リシャールだ。
巷で語られる氷華殿下伝説(まだ生きてるけど)によれば、一人で国を滅ぼしたとか。
彼の魔法は、すべてを凍らし、あっという間に砕け、空気中の塵と化す。
そこには死体も何も残らない、世界で一番美しく、残酷な殺し方と有名だった。
化け物のような強さの彼を恐れた周辺諸国は、それからずっと小さな戦を仕掛けつつ、王子の暗殺を狙っているらしいことは皆知っている。
しかし、自国民はリシャールに守られている立場にありながらも従来の教会信者や貴族は戦いを好まず、彼と対象的な聖人殿下であるテオフィルを強く推しているらしい。
ちなみに、テオフィルは国民の事をよく考え、他国とも話し合いやお互い理がある交換条件で解決しようと奔走しており、そちらも国を守るやり方だ。
よって、氷華殿下は他国からも自国からも批判の対象になっている。
ここ数日で調べた内容であった。
少し不思議だったのは、やけに氷華殿下の記事が多い事だ。
テオフィル殿下の結婚式の時は連日その話題だったし、その他はふたりの政治的な記事とかばかり。
まるでなにかを隠しているかのように。
(それにしてもこの文章……ちゃんと相手の女性に届いたのかな?)
その内容は相手に自分の事を忘れてほしいと言いながら、未練がつづられている。
手紙の主の生死は不明だが、長期間戦で離ればなれになれば、無事に帰還しても恋人は新しい人生を歩んでいるかもしれない。
戦が終わってみたものの、好きな人や妻がほかの者と結婚しているなんてことはよくある。
それも時代のせいだから仕方ない。女性も家を守るために結婚を強要されるのだから。
誰も責める事が出来ないのだ。
好きな人と共に生きれない苦悩。
自分は覚えているけど、君は新しい人生を。
なんて優しくて悲しくて残酷な話だろうとマリーは思った。
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