夢を紡ぐタイプライトな羊達
小説家を目指す、夏樹紗希(なつきさき)は、密かに恋焦れていた親友作家の小説をずっと読み続ける。……彼は風見詩経(かざみしきょう)というペンネームでネットの投稿小説で人気の上位を長年取り続けていた。ネットに投稿される圭介(風見詩経)の作品に耽溺する紗希。……ある日彼女が手に取った彼の小説はある時期からペンネームの被る別の作家の人物の作品とすり変わっていた。そしてペンネームを被らせる不穏な一人の小説家の存在とある事件に巻き込まれる事になるのだが……
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それは、才能があるものだけが罹患する《才咲き》という奇病であった。この病に侵されると、身体の一部に植物が根づき、花を咲かせる。それは桜や梅であったり、芭蕉であったりする。だが花が咲けば咲くほどに患者は衰えていき、やがては命を落とすのだ。
故に患者は、その花が咲かぬうちに莟を摘まねばならない。
雛牡丹の邸の下働きだった《僕》は、彼女の花を摘むことになる。
脚から梅のこぼれるその病を「美しい」といったことから、《僕》は雛牡丹に気にいられ、側務めに択ばれるが――――
これは驕慢に華であり続けた娘と、華に惚れた《僕》の物語である。
谷崎潤一郎さまの《春琴抄》のオマージュです。著作権保護期間が2016年に終了しているため、二次創作のタグはつけておりません。
素晴らしい小説に敬意を捧げて。
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* こちらはカクヨムさまにも投稿しています
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