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4. ヒンス中尉
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「すると西方国境付近はしばらくは安泰ですね」
「それがまだ油断ならない…….私も休暇が開ければ、すぐに警備に就く予定ですよ」
「そうですか。でも、中尉のような方がいてくれれば心強い」
晩餐を共にしながら、男達が話題にしていたのはヒンスの今回の任務についてだった。
シューベルグ伯爵はやはり誠実な人のようで、ヒンスはもうフィオナへの思いを断ち切る事へ注力しはじめていた。
「あのおかしな幽霊のお姫さまも中尉に倒してもらいたいね」
「何です?」
「そうそう、ヒンス聞いて頂戴」
夫婦は自分達の城で起こった不思議な現象についてヒンスに話してやった。ヒンスもおかしな顔をしながら、興味深げに話に耳を傾ける。
「バンフィールド子爵家と言うのを中尉も知らないかい?バンフィールド子爵家のアンネース姫というらしいのだが」
「あくまで夢の話よ」
「私も聞いた事がないが……でもいやに具体的で不気味な話だね」
何だか引っかかりの残る話だ。
ヒンスは何か分かれば手紙を書こうと言って、伯爵の私書箱を教えてもらった。
「しかしね伯爵、この城の外見はお化けが出たって仕方ないくらいだと私は思うよ」
「ちょっとヒンス!失礼だわ」
「……あははっ!確かにそうかもしれない」
出された酒に気分の乗ったヒンスの冗談に、あの大人しいシノムも思いのほか上機嫌に笑う。フィオナはシノムの珍しい様子に少し驚く。
「金があるなら、なぜ外も中のように綺麗に飾らないんだい?」
「そうだな……僕は強いて見た目が綺麗だとか、そう言う事にあまり頓着したくないのだ。大切なのは中身だと……この城でいうなら暮らしやすさと、フィオナの存在だよ」
大事なものはねと少し頬の赤いシノムが言うので、フィオナは赤面し、ヒンスはだいぶあてられた。
「すると西方国境付近はしばらくは安泰ですね」
「それがまだ油断ならない…….私も休暇が開ければ、すぐに警備に就く予定ですよ」
「そうですか。でも、中尉のような方がいてくれれば心強い」
晩餐を共にしながら、男達が話題にしていたのはヒンスの今回の任務についてだった。
シューベルグ伯爵はやはり誠実な人のようで、ヒンスはもうフィオナへの思いを断ち切る事へ注力しはじめていた。
「あのおかしな幽霊のお姫さまも中尉に倒してもらいたいね」
「何です?」
「そうそう、ヒンス聞いて頂戴」
夫婦は自分達の城で起こった不思議な現象についてヒンスに話してやった。ヒンスもおかしな顔をしながら、興味深げに話に耳を傾ける。
「バンフィールド子爵家と言うのを中尉も知らないかい?バンフィールド子爵家のアンネース姫というらしいのだが」
「あくまで夢の話よ」
「私も聞いた事がないが……でもいやに具体的で不気味な話だね」
何だか引っかかりの残る話だ。
ヒンスは何か分かれば手紙を書こうと言って、伯爵の私書箱を教えてもらった。
「しかしね伯爵、この城の外見はお化けが出たって仕方ないくらいだと私は思うよ」
「ちょっとヒンス!失礼だわ」
「……あははっ!確かにそうかもしれない」
出された酒に気分の乗ったヒンスの冗談に、あの大人しいシノムも思いのほか上機嫌に笑う。フィオナはシノムの珍しい様子に少し驚く。
「金があるなら、なぜ外も中のように綺麗に飾らないんだい?」
「そうだな……僕は強いて見た目が綺麗だとか、そう言う事にあまり頓着したくないのだ。大切なのは中身だと……この城でいうなら暮らしやすさと、フィオナの存在だよ」
大事なものはねと少し頬の赤いシノムが言うので、フィオナは赤面し、ヒンスはだいぶあてられた。
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