10 / 10
エピローグ
しおりを挟む
「どうしてかしら」
月の光を浴びて金色に変化した髪の毛をつまみながら、ロイシュネリアが呟いた。
「私、もう処女じゃないのに……」
神々の愛し子の能力は、処女・童貞を失うと消えると聞いていたのだが。
「オレの愛が足りなかったのかな」
後ろからリフェウスが抱きしめてきて、首筋に顔を埋める。
あれから半年。季節はいつの間にか冬になっていた。
ロイシュネリアはシアの神官を辞め、今はリフェウスの屋敷で暮らしている。
「十分足りているわよ」
ロイシュネリアは微笑んで、リフェウスを振り返った。
実は今朝、リフェウスの腕の中で目が覚めた時に久々に視えてしまったのだ。
幼子の手を引いて歩くリフェウスの姿を。
リフェウスによく似ていた。幼子の髪の毛が淡い金色なのがちょっと気になったが……。
未来が視えるとはいえ、その未来は確定ではない。
でも、この未来は必ずやってくる。
その日が来るのが楽しみだ。
「そういえば、あなたの呼び名! 氷の宰相じゃなくなっているのね。今日、王宮に遊びに行って初めて知ったんだけど」
ふと思い出し、ロイシュネリアが首をひねって振り返る。
「へえ……?」
リフェウスが眉を寄せた。
「デレデレ宰相って言われていたわ。あなた、王宮で何をしたの?」
月の光を浴びて金色に変化した髪の毛をつまみながら、ロイシュネリアが呟いた。
「私、もう処女じゃないのに……」
神々の愛し子の能力は、処女・童貞を失うと消えると聞いていたのだが。
「オレの愛が足りなかったのかな」
後ろからリフェウスが抱きしめてきて、首筋に顔を埋める。
あれから半年。季節はいつの間にか冬になっていた。
ロイシュネリアはシアの神官を辞め、今はリフェウスの屋敷で暮らしている。
「十分足りているわよ」
ロイシュネリアは微笑んで、リフェウスを振り返った。
実は今朝、リフェウスの腕の中で目が覚めた時に久々に視えてしまったのだ。
幼子の手を引いて歩くリフェウスの姿を。
リフェウスによく似ていた。幼子の髪の毛が淡い金色なのがちょっと気になったが……。
未来が視えるとはいえ、その未来は確定ではない。
でも、この未来は必ずやってくる。
その日が来るのが楽しみだ。
「そういえば、あなたの呼び名! 氷の宰相じゃなくなっているのね。今日、王宮に遊びに行って初めて知ったんだけど」
ふと思い出し、ロイシュネリアが首をひねって振り返る。
「へえ……?」
リフェウスが眉を寄せた。
「デレデレ宰相って言われていたわ。あなた、王宮で何をしたの?」
70
お気に入りに追加
756
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。
しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。
そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。
王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。
断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。
閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で……
ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

独身皇帝は秘書を独占して溺愛したい
狭山雪菜
恋愛
ナンシー・ヤンは、ヤン侯爵家の令嬢で、行き遅れとして皇帝の専属秘書官として働いていた。
ある時、秘書長に独身の皇帝の花嫁候補を作るようにと言われ、直接令嬢と話すために舞踏会へと出ると、何故か皇帝の怒りを買ってしまい…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。

騎士団長のアレは誰が手に入れるのか!?
うさぎくま
恋愛
黄金のようだと言われるほどに濁りがない金色の瞳。肩より少し短いくらいの、いい塩梅で切り揃えられた柔らかく靡く金色の髪。甘やかな声で、誰もが振り返る美男子であり、屈強な肉体美、魔力、剣技、男の象徴も立派、全てが完璧な騎士団長ギルバルドが、遅い初恋に落ち、男心を振り回される物語。
濃厚で甘やかな『性』やり取りを楽しんで頂けたら幸いです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
すごく面白かったです✨言葉のセレクトが好きです\(^o^)/これからも楽しみにしています😊
こゆさま
感想ありがとうございます! 言葉選び、嬉しいです。設定が重たいので、あまり深刻にならないように気を付けました。
新作を近々アップしようと思っています。
よろしければお付き合いください!
面白かったです。
ありがとうございます!
01 咲見→先視では?