14 / 20
14.逃げるな 1
しおりを挟む
この宿は本館とは別に、独立した離れがいくつかある。他の客にわずらわされずゆっくり過ごしたい、という上流階級御用達の宿なのである。
ちなみにロイエンフェルト家の別荘はこの近くにあるが、短期間の滞在かつ一人なら、別荘に泊まるよりも宿を使ったほうが安上りなので今回は使わなかったという。
アルベルトの部屋は、予想通り広かった。居間に寝室にバスルームとトイレまでついている。居間だけでリズが一人暮らしをしているワンルームがすっぽり入ってしまいそうだ。
一通りざっと見てまわったあと、リズはちょこんと居間のソファーの隅っこに座った。
「暗いですね。明かり……つけましょうか」
部屋はランプが灯されているだけだ。
部屋の明かりは天井の照明器具にはめ込まれている魔法石に魔力を流せば灯る仕組みだ。リズのように魔力がない人間でも使えるように、スイッチを入れれば魔力発生装置から微弱な魔力が流れて魔法石が輝くようにできている。空調もそう。魔法によって室内は適温に保たれる。
「ランプの明かりも趣があると思いませんか。見てください、窓の外がよく見える」
アルベルトに言われて窓の外に目を向けると、ライトアップされた中庭の紅葉が幻想的な眺めを作り出していた。
「きれい……」
リズはソファーに座ったまま、目を細めた。
その時、コンコンと控えめなノック音が響いた。
アルベルトが大股でドアに近付き開く。静かな話し声。リズのもとまでは聞こえない。
会話はすぐに終わり、アルベルトがドアを閉める。
「食事はこちらに運んでもらうことにしました」
「え、食事?」
「リズの食事は、本館の食堂で出される予定でしたが、アロワ家の別グループが食堂で勝手にパーティーを始めたそうで」
どうやら訪問者は宿の人だったらしい。
アルベルトの言葉に、リズは言葉を失った。
別グループ?
アロワ家はいったい何人で来ているのだろう?
もしかして一族郎党全員?
それにしても傍若無人、もとい、自由な振る舞いである。これなら部屋も取られるし、それに対して宿の人が強く言えないのもわかるというか……いやそこはやっぱり強く出てほしかったけれど……。
「何から何までお世話になります」
「いえいえ。いつもお世話になっているので、これくらいはね」
恐縮して頭を下げるリズに、アルベルトが返す。
その言葉に、リズは「ん?」と思った。
アルベルトがリズの旅に日程と行き先を合わせてきた理由……丁寧なエスコート……もしかして……。
「……もしかして、そのつもりで私を誘ったのですか?」
リズへのねぎらいのつもりだったのだろうか?
「そのつもり、とは?」
アルベルトに聞き返されて、ハッとなる。
「もっ、申し訳ございません! 決して変な意味では!」
慌てるリズに、アルベルトが「ブッ」と噴き出す。意味がわかったらしい。リズは恥ずかしさのあまり真っ赤になった。
それにしても、アルベルトがここまで笑う姿なんて初めて見た。
――この人でも噴き出すことがあるのね……。
今日はアルベルトの珍しい姿をいっぱい見られて、ものすごく得した気分だ。
今日まで我慢したリズのために、神様が特大のプレゼントを用意してくれたのかもしれない。
この楽しい思い出があれば、転職活動も頑張れる。
「リズが私におとなしくついてきたのは、私を信用してくれているからだとは思うのですが、一般論として、独身の男の部屋にホイホイついていくのはいただけませんよ。もし私が『そのつもり』だったらどうするんです?」
アルベルトが笑いをにじませたまま大股で部屋を突っ切り、上着を脱いでリズが座るソファーの反対側に放り投げる。
「私だって、独身男性にホイホイついていく危険性は承知しています。でも、アルベルト様は女性が苦手だし、結婚願望もありませんから、過ちは起きないと判断しました」
リズはアルベルトではなくアルベルトが投げた上着を見つめながら、答えた。
秋の日は暮れるのが早い。部屋はいつのまにか闇に沈み、部屋の片隅に置かれたランプの明かりだけになっていた。
ふう、とアルベルトが溜息をつく。
「信頼されているのは嬉しいのですが、まったく男として認識されていないことがはっきりわかって、少し悲しくなりました。私の今までの努力にまーったく手応えがなかったのも、そのせいだったんですね」
「え?」
何が悲しいって?
「リズ、私も普通の男なので、性欲はあるんですよ」
悲しい部分の説明はすっ飛ばして、アルベルトが言い放つ。
「でもアルベルト様は女性が苦手でしょう?」
リズは困惑しながら返した。
「女性は苦手です。秋波を送られると鬱陶しく感じます。ですが、例外も存在します。私だって人を好きになるし、その人に好かれたくて手を尽くすし、もちろんその人に欲情もする」
その言葉でかちりとピースがはまった気がした。
辞表を出してからアルベルトが奇妙な行動をするようになった理由。
『これって、アルベルト様も婚活を始めようという前兆かしら。手近な私で練習しよう的な何か?』
以前、フェリクスに予想してみせた言葉が胸に蘇る。
フェリクスはリズの考えに同意してくれなかったが、やっぱりそうだったではないか!
「……それで、その人に振り向いてほしくて、私を練習台にしていたのですか……?」
「練習台?」
怖い顔で呟いたリズに、アルベルトが眉をひそめる。
「私が気が付いていないとでも? アルベルト様、私が辞表を出してからなんだか様子がおかしくなりましたよね。アルベルト様に好きな人ができたけれど、口説き方がわからない。手ごろな練習相手が私しかいないから、いなくなる前に私で練習しておこうと思ったんでしょう!?」
言いながら、心の中に怒りが沸き上がってきた。
好きな人が別な人を口説くための練習台にされたなんて、そんなひどいことがあるだろうか!?
「は……?」
アルベルトの目が点になる。
「だ、だとしたら、私に対してあんまりでは……っ。わっ、わたし、ずっと」
ずっと堪えていた気持ちが、抑えていた恋心があふれて、リズの心を激しく揺さぶる。
涙が込み上げる。
「どうしてそういう解釈になる……」
「ずっとアルベルト様のことが好きだったのに!」
自分を制御できず、リズは思わず大声で叫んだ。
涙がぼろぼろと頬を伝い落ちる。
「んですかって……、え?」
アルベルトの動きがとまる。
言ってしまってから、リズはハッと我に返った。
――わ、私ったら……今、何を……!?
決して言うつもりのなかった一言を口走ってしまった。
どうしよう、アルベルトに嫌われてしまう。
「も、申し訳ございません。私としたことが。今の言葉は忘れてください。私、ロビーで待たせてもらいますね!」
アルベルトの整った顔に嫌悪感が浮かぶのは見たくない。
リズは乱暴に手の甲で涙を拭いながら立ちあがろうとして、アルベルトに腕をつかまれ、強い力でソファーに引き戻された。
思いっきりソファーに倒れ込む。
「何するんですか! 危ない!」
涙目のまま叫んで振り返ると、アルベルトはリズの腕をつかんだまま、今までに見たことがないほど目を見開いてリズを見つめていた。
「今……なんて言いましたか?」
「ロビーで待たせてもらいます」
「その前」
「私で練習しておこう」
「そのあと」
「も、もう、そんな細かいこと覚えてない!」
「好きだって聞こえました。私のことを好きだと」
「それは幻聴ですね、アルベルト様きっと大変お疲れなんですよ早く休まれたほうがいいです私はそろそろ失礼し」
「逃げるな」
アルベルトの腕を振り払って立ちあがろうとしたが失敗した。
アルベルトの手はがっちりリズの腕をつかんだまま、離れなかったのだ。
ちなみにロイエンフェルト家の別荘はこの近くにあるが、短期間の滞在かつ一人なら、別荘に泊まるよりも宿を使ったほうが安上りなので今回は使わなかったという。
アルベルトの部屋は、予想通り広かった。居間に寝室にバスルームとトイレまでついている。居間だけでリズが一人暮らしをしているワンルームがすっぽり入ってしまいそうだ。
一通りざっと見てまわったあと、リズはちょこんと居間のソファーの隅っこに座った。
「暗いですね。明かり……つけましょうか」
部屋はランプが灯されているだけだ。
部屋の明かりは天井の照明器具にはめ込まれている魔法石に魔力を流せば灯る仕組みだ。リズのように魔力がない人間でも使えるように、スイッチを入れれば魔力発生装置から微弱な魔力が流れて魔法石が輝くようにできている。空調もそう。魔法によって室内は適温に保たれる。
「ランプの明かりも趣があると思いませんか。見てください、窓の外がよく見える」
アルベルトに言われて窓の外に目を向けると、ライトアップされた中庭の紅葉が幻想的な眺めを作り出していた。
「きれい……」
リズはソファーに座ったまま、目を細めた。
その時、コンコンと控えめなノック音が響いた。
アルベルトが大股でドアに近付き開く。静かな話し声。リズのもとまでは聞こえない。
会話はすぐに終わり、アルベルトがドアを閉める。
「食事はこちらに運んでもらうことにしました」
「え、食事?」
「リズの食事は、本館の食堂で出される予定でしたが、アロワ家の別グループが食堂で勝手にパーティーを始めたそうで」
どうやら訪問者は宿の人だったらしい。
アルベルトの言葉に、リズは言葉を失った。
別グループ?
アロワ家はいったい何人で来ているのだろう?
もしかして一族郎党全員?
それにしても傍若無人、もとい、自由な振る舞いである。これなら部屋も取られるし、それに対して宿の人が強く言えないのもわかるというか……いやそこはやっぱり強く出てほしかったけれど……。
「何から何までお世話になります」
「いえいえ。いつもお世話になっているので、これくらいはね」
恐縮して頭を下げるリズに、アルベルトが返す。
その言葉に、リズは「ん?」と思った。
アルベルトがリズの旅に日程と行き先を合わせてきた理由……丁寧なエスコート……もしかして……。
「……もしかして、そのつもりで私を誘ったのですか?」
リズへのねぎらいのつもりだったのだろうか?
「そのつもり、とは?」
アルベルトに聞き返されて、ハッとなる。
「もっ、申し訳ございません! 決して変な意味では!」
慌てるリズに、アルベルトが「ブッ」と噴き出す。意味がわかったらしい。リズは恥ずかしさのあまり真っ赤になった。
それにしても、アルベルトがここまで笑う姿なんて初めて見た。
――この人でも噴き出すことがあるのね……。
今日はアルベルトの珍しい姿をいっぱい見られて、ものすごく得した気分だ。
今日まで我慢したリズのために、神様が特大のプレゼントを用意してくれたのかもしれない。
この楽しい思い出があれば、転職活動も頑張れる。
「リズが私におとなしくついてきたのは、私を信用してくれているからだとは思うのですが、一般論として、独身の男の部屋にホイホイついていくのはいただけませんよ。もし私が『そのつもり』だったらどうするんです?」
アルベルトが笑いをにじませたまま大股で部屋を突っ切り、上着を脱いでリズが座るソファーの反対側に放り投げる。
「私だって、独身男性にホイホイついていく危険性は承知しています。でも、アルベルト様は女性が苦手だし、結婚願望もありませんから、過ちは起きないと判断しました」
リズはアルベルトではなくアルベルトが投げた上着を見つめながら、答えた。
秋の日は暮れるのが早い。部屋はいつのまにか闇に沈み、部屋の片隅に置かれたランプの明かりだけになっていた。
ふう、とアルベルトが溜息をつく。
「信頼されているのは嬉しいのですが、まったく男として認識されていないことがはっきりわかって、少し悲しくなりました。私の今までの努力にまーったく手応えがなかったのも、そのせいだったんですね」
「え?」
何が悲しいって?
「リズ、私も普通の男なので、性欲はあるんですよ」
悲しい部分の説明はすっ飛ばして、アルベルトが言い放つ。
「でもアルベルト様は女性が苦手でしょう?」
リズは困惑しながら返した。
「女性は苦手です。秋波を送られると鬱陶しく感じます。ですが、例外も存在します。私だって人を好きになるし、その人に好かれたくて手を尽くすし、もちろんその人に欲情もする」
その言葉でかちりとピースがはまった気がした。
辞表を出してからアルベルトが奇妙な行動をするようになった理由。
『これって、アルベルト様も婚活を始めようという前兆かしら。手近な私で練習しよう的な何か?』
以前、フェリクスに予想してみせた言葉が胸に蘇る。
フェリクスはリズの考えに同意してくれなかったが、やっぱりそうだったではないか!
「……それで、その人に振り向いてほしくて、私を練習台にしていたのですか……?」
「練習台?」
怖い顔で呟いたリズに、アルベルトが眉をひそめる。
「私が気が付いていないとでも? アルベルト様、私が辞表を出してからなんだか様子がおかしくなりましたよね。アルベルト様に好きな人ができたけれど、口説き方がわからない。手ごろな練習相手が私しかいないから、いなくなる前に私で練習しておこうと思ったんでしょう!?」
言いながら、心の中に怒りが沸き上がってきた。
好きな人が別な人を口説くための練習台にされたなんて、そんなひどいことがあるだろうか!?
「は……?」
アルベルトの目が点になる。
「だ、だとしたら、私に対してあんまりでは……っ。わっ、わたし、ずっと」
ずっと堪えていた気持ちが、抑えていた恋心があふれて、リズの心を激しく揺さぶる。
涙が込み上げる。
「どうしてそういう解釈になる……」
「ずっとアルベルト様のことが好きだったのに!」
自分を制御できず、リズは思わず大声で叫んだ。
涙がぼろぼろと頬を伝い落ちる。
「んですかって……、え?」
アルベルトの動きがとまる。
言ってしまってから、リズはハッと我に返った。
――わ、私ったら……今、何を……!?
決して言うつもりのなかった一言を口走ってしまった。
どうしよう、アルベルトに嫌われてしまう。
「も、申し訳ございません。私としたことが。今の言葉は忘れてください。私、ロビーで待たせてもらいますね!」
アルベルトの整った顔に嫌悪感が浮かぶのは見たくない。
リズは乱暴に手の甲で涙を拭いながら立ちあがろうとして、アルベルトに腕をつかまれ、強い力でソファーに引き戻された。
思いっきりソファーに倒れ込む。
「何するんですか! 危ない!」
涙目のまま叫んで振り返ると、アルベルトはリズの腕をつかんだまま、今までに見たことがないほど目を見開いてリズを見つめていた。
「今……なんて言いましたか?」
「ロビーで待たせてもらいます」
「その前」
「私で練習しておこう」
「そのあと」
「も、もう、そんな細かいこと覚えてない!」
「好きだって聞こえました。私のことを好きだと」
「それは幻聴ですね、アルベルト様きっと大変お疲れなんですよ早く休まれたほうがいいです私はそろそろ失礼し」
「逃げるな」
アルベルトの腕を振り払って立ちあがろうとしたが失敗した。
アルベルトの手はがっちりリズの腕をつかんだまま、離れなかったのだ。
425
お気に入りに追加
926
あなたにおすすめの小説

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる