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06.結婚するつもりはないけれど
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***
それから半刻後。
二人の姿は王都の市街地にあるレストランにあった。
時刻はすでにランチタイムというよりは午後のティータイムの時間に近いが、フェイの体が何も食べていないためグレアムが「腹が減った、なんか食べて帰るか」と言い出したためである。
ちなみに行き先はグレアムの家だ。
独身の騎士は危機管理のために寮住まいが基本だが、既婚者と副団長以上は王宮の外に住まいを構えることができる。
一方の事務官には寮なんてものはなく、フェイの住まいは安い集合住宅だ。
グレアムの屋敷に行く前にフェイの部屋によって着替えを取りに行く段取りなのだが、その前にレストランに寄ったという次第である。
グレアムが連れていってくれたのは高級そうなレストランで、通されたのは二階の個室だった。
王都の目抜き通りを眼下に眺めながら食事ができる、とてもよい場所だ。
「よく来るんですか、このお店」
「いや、初めてだよ」
フェイが聞くと、グレアムが首を振った。
「でも感じのいい店の情報というのは、騎士の間で共有されてるから」
「へえ。でもそれ、私たち事務官には共有されていませんよね? 教えてくれてもいいじゃないですか。同じ職場なのに。私、このお店のこと知らなかった」
「……基本的にデートで使う情報だからな。次からは情報を流してやるよ」
「えっ、本当ですか? 楽しみ~~~~」
フェイが喜ぶと、グレアムがなんとも言えない顔をした。
「……なんですか?」
「いや……おまえにもデートをする相手がいるんだなって」
「え、いないですよ」
「いないのにデート用のおしゃれスポットを知りたいのか?」
フェイの答えにグレアムが意外そうな顔をする。
「女友達と来るんです。私、結婚するつもりはありませんから」
「……どうして? おまえの同期は、婚活のために騎士団に就職したとしか思えない行動を繰り返しているが」
ミネルヴァが騎士たちに猛アタックを繰り返していることは知っている。
「うーん。結婚は、なんか違うかなぁって思うからです」
「……それは、フィルニーと関係があるのか?」
グレアムの問いに、フェイは考え込んだ。
ミネルヴァにも「なんで騎士を捕まえないの? せっかく騎士団に就職できたのに」と不思議がられたけれど、フェイはびっくりするほど騎士にも、実は恋愛にも興味がない。だから結婚にもピンとこない。
恋をして結婚をして……そんな未来が思い描けないからだと思う。
「……。そうですね。そうかもしれないですね」
それはおそらく、家族の記憶があいまいだからだろう。
記憶だけでなく、家族に対する感情まで薄れているから。
たぶん結婚が考えられないのは、そのせい。
ふと目を上げると、グレアムが悲しそうな顔をしていた。
「やだなあ、そんな顔をしないでください。昔のことははっきり覚えていないので、それほどつらいとか悲しいとかいう気持ちはないんですよ。あっ、料理来ましたよ。うわあ、すごい量!」
フェイはわざと明るい声で、運ばれてきた料理の品数に目を丸くしてみせた。食欲に任せてグレアムが頼みまくったせいだ。
「私の体、そんなに入りませんよ……」
「大丈夫、入らなかったぶんはおまえが食べる」
「……無理だと思う」
無理ではなかった。
「どうなっているんですか、副団長のおなか」
レストランで食事後、慣れた手つきでグレアムが支払いを済ませ(奢りだった)、フェイの部屋に向かう。
「でも変な時間にあんなに食べちゃったら、晩御飯は入りませんね」
「あの程度、すぐに消化できる。夕食時には空腹になるさ、問題ない」
「夕食って、いつもどうされているんですか?」
「いつもは、どこか適当な店に寄って帰るかな」
「さすがお金持ち。庶民とは違いますね。私なんて、せっせと自炊して節約に励んでいるのに」
言いながら、グレアムがお金持ちなのは当たり前か、とフェイは気が付いた。相手は騎士団の副団長であるだけでなく、伯爵家の出身であった。
「俺は料理ができないし、独り身だしな……食べて帰ったほうが安上がりなんだよ」
「朝ごはんはどうされているんですか」
「出勤途中で何か買っていくことが多い」
「えっ。じゃあ、お休みの日は!?」
「……それも外で……」
「えー。そんな食生活だと栄養が偏りますよー。騎士って体が資本なのに」
非難めいたフェイの視線に、ふい、とグレアムが視線を逸らす。
「……昼は王宮の食堂で帳尻を合わせているから、いいんだよ」
この反応、もしかしてほかの人からも指摘されているのではなかろうか。
「副団長、お金持ちなんだから料理人を雇えばいいのに」
「……雇ったって、帰宅時間は不規則だし、遅い日も多い。俺一人のためにそこまでしてもらうのは、料理人にも迷惑だろう。外で済ませたほうが気楽だし、結果としては安上がりなんだよ」
まあ、それはそうかもしれないが。
「……副団長、早く結婚したほうがいいのでは……?」
グレアムがぎろりと睨んできた。怖っ。
どうやらこの言葉は地雷だったらしい。
たぶん、さんざん言われている言葉に違いない。
それはさておき。
――私が泊まっても外食になるのは変わらないわよね。三食外食だと私のお財布に厳しいわ。さっきみたいに奢ってもらえたら嬉しいけど、筋違いではあるし……。
と、いうことで。
「泊めていただくお礼として、今日と明日は私が作りますね。私、寄宿学校にいたころは厨房の手伝いをしていたので、料理には自信があるんですよ。ま、庶民の料理ですけどね」
気を取り直してそう申し出たら、グレアムが驚いたように目を見開き、なぜかみるみる頬を染めた。
「え、いいのか……?」
どうやら照れているらしい。かわいい反応だ。でもなぜ、照れる。照れる場面だろうか。うーん、よくわからん。ただ、グレアムはフェイの体になってから表情が顔に出やすくなったな、とは思う。
グレアムは普段仏頂面で、喜怒哀楽の怒以外がわかりにくい。怒だけはわかる。
そのグレアムがこれだけ表情をくるくる変えているということは、これは、フェイの体の反応に違いない。
ということは、普段のフェイはこんなふうにくるくると表情を変えているということだろうか。
――知らなかったわ。
エレンがフェイをからかいたくなるのもわかるというものだ。だって、おもしろいほど反応を返すのだから。
それに、このくるくると変わる表情は「グレアムの視線」を釘付けにしてしまう。
性差ゆえの反応なのだとしたら、意図せずフェイはグレアムの心を乱していることになる。もしかしてグレアムがいつも仏頂面でこっちを見ているのは、目障りだから?
――元に戻ったら、ポーカーフェイスの練習をしなきゃ。
「もちろんですよ。だから着替えを取りに行ったら市場に寄って帰りましょう。食べたいものはありますか?」
「……パルミラのスープ……」
「パルミラの? いいですよー」
この国ではメジャーな香草が入った少しスパイシーな味わいのスープだ。
庶民的な食べ物だから、貴族の生まれである彼がそんなものを食べたがるなんて、なんだか意外な気がした。
「そうか。……ありがとう」
照れを残したまま礼を言うグレアムに、また心臓がドキンと跳ねた。
いい加減、この反応には慣れてきたものの、反応しなくなるというわけではない。フェイは冷静を装って視線を横にいるグレアムから前に戻した。ずっと見ていたら逸る心臓に押されて、何かとんでもないことを口走ってしまいそうだったのだ。
それから半刻後。
二人の姿は王都の市街地にあるレストランにあった。
時刻はすでにランチタイムというよりは午後のティータイムの時間に近いが、フェイの体が何も食べていないためグレアムが「腹が減った、なんか食べて帰るか」と言い出したためである。
ちなみに行き先はグレアムの家だ。
独身の騎士は危機管理のために寮住まいが基本だが、既婚者と副団長以上は王宮の外に住まいを構えることができる。
一方の事務官には寮なんてものはなく、フェイの住まいは安い集合住宅だ。
グレアムの屋敷に行く前にフェイの部屋によって着替えを取りに行く段取りなのだが、その前にレストランに寄ったという次第である。
グレアムが連れていってくれたのは高級そうなレストランで、通されたのは二階の個室だった。
王都の目抜き通りを眼下に眺めながら食事ができる、とてもよい場所だ。
「よく来るんですか、このお店」
「いや、初めてだよ」
フェイが聞くと、グレアムが首を振った。
「でも感じのいい店の情報というのは、騎士の間で共有されてるから」
「へえ。でもそれ、私たち事務官には共有されていませんよね? 教えてくれてもいいじゃないですか。同じ職場なのに。私、このお店のこと知らなかった」
「……基本的にデートで使う情報だからな。次からは情報を流してやるよ」
「えっ、本当ですか? 楽しみ~~~~」
フェイが喜ぶと、グレアムがなんとも言えない顔をした。
「……なんですか?」
「いや……おまえにもデートをする相手がいるんだなって」
「え、いないですよ」
「いないのにデート用のおしゃれスポットを知りたいのか?」
フェイの答えにグレアムが意外そうな顔をする。
「女友達と来るんです。私、結婚するつもりはありませんから」
「……どうして? おまえの同期は、婚活のために騎士団に就職したとしか思えない行動を繰り返しているが」
ミネルヴァが騎士たちに猛アタックを繰り返していることは知っている。
「うーん。結婚は、なんか違うかなぁって思うからです」
「……それは、フィルニーと関係があるのか?」
グレアムの問いに、フェイは考え込んだ。
ミネルヴァにも「なんで騎士を捕まえないの? せっかく騎士団に就職できたのに」と不思議がられたけれど、フェイはびっくりするほど騎士にも、実は恋愛にも興味がない。だから結婚にもピンとこない。
恋をして結婚をして……そんな未来が思い描けないからだと思う。
「……。そうですね。そうかもしれないですね」
それはおそらく、家族の記憶があいまいだからだろう。
記憶だけでなく、家族に対する感情まで薄れているから。
たぶん結婚が考えられないのは、そのせい。
ふと目を上げると、グレアムが悲しそうな顔をしていた。
「やだなあ、そんな顔をしないでください。昔のことははっきり覚えていないので、それほどつらいとか悲しいとかいう気持ちはないんですよ。あっ、料理来ましたよ。うわあ、すごい量!」
フェイはわざと明るい声で、運ばれてきた料理の品数に目を丸くしてみせた。食欲に任せてグレアムが頼みまくったせいだ。
「私の体、そんなに入りませんよ……」
「大丈夫、入らなかったぶんはおまえが食べる」
「……無理だと思う」
無理ではなかった。
「どうなっているんですか、副団長のおなか」
レストランで食事後、慣れた手つきでグレアムが支払いを済ませ(奢りだった)、フェイの部屋に向かう。
「でも変な時間にあんなに食べちゃったら、晩御飯は入りませんね」
「あの程度、すぐに消化できる。夕食時には空腹になるさ、問題ない」
「夕食って、いつもどうされているんですか?」
「いつもは、どこか適当な店に寄って帰るかな」
「さすがお金持ち。庶民とは違いますね。私なんて、せっせと自炊して節約に励んでいるのに」
言いながら、グレアムがお金持ちなのは当たり前か、とフェイは気が付いた。相手は騎士団の副団長であるだけでなく、伯爵家の出身であった。
「俺は料理ができないし、独り身だしな……食べて帰ったほうが安上がりなんだよ」
「朝ごはんはどうされているんですか」
「出勤途中で何か買っていくことが多い」
「えっ。じゃあ、お休みの日は!?」
「……それも外で……」
「えー。そんな食生活だと栄養が偏りますよー。騎士って体が資本なのに」
非難めいたフェイの視線に、ふい、とグレアムが視線を逸らす。
「……昼は王宮の食堂で帳尻を合わせているから、いいんだよ」
この反応、もしかしてほかの人からも指摘されているのではなかろうか。
「副団長、お金持ちなんだから料理人を雇えばいいのに」
「……雇ったって、帰宅時間は不規則だし、遅い日も多い。俺一人のためにそこまでしてもらうのは、料理人にも迷惑だろう。外で済ませたほうが気楽だし、結果としては安上がりなんだよ」
まあ、それはそうかもしれないが。
「……副団長、早く結婚したほうがいいのでは……?」
グレアムがぎろりと睨んできた。怖っ。
どうやらこの言葉は地雷だったらしい。
たぶん、さんざん言われている言葉に違いない。
それはさておき。
――私が泊まっても外食になるのは変わらないわよね。三食外食だと私のお財布に厳しいわ。さっきみたいに奢ってもらえたら嬉しいけど、筋違いではあるし……。
と、いうことで。
「泊めていただくお礼として、今日と明日は私が作りますね。私、寄宿学校にいたころは厨房の手伝いをしていたので、料理には自信があるんですよ。ま、庶民の料理ですけどね」
気を取り直してそう申し出たら、グレアムが驚いたように目を見開き、なぜかみるみる頬を染めた。
「え、いいのか……?」
どうやら照れているらしい。かわいい反応だ。でもなぜ、照れる。照れる場面だろうか。うーん、よくわからん。ただ、グレアムはフェイの体になってから表情が顔に出やすくなったな、とは思う。
グレアムは普段仏頂面で、喜怒哀楽の怒以外がわかりにくい。怒だけはわかる。
そのグレアムがこれだけ表情をくるくる変えているということは、これは、フェイの体の反応に違いない。
ということは、普段のフェイはこんなふうにくるくると表情を変えているということだろうか。
――知らなかったわ。
エレンがフェイをからかいたくなるのもわかるというものだ。だって、おもしろいほど反応を返すのだから。
それに、このくるくると変わる表情は「グレアムの視線」を釘付けにしてしまう。
性差ゆえの反応なのだとしたら、意図せずフェイはグレアムの心を乱していることになる。もしかしてグレアムがいつも仏頂面でこっちを見ているのは、目障りだから?
――元に戻ったら、ポーカーフェイスの練習をしなきゃ。
「もちろんですよ。だから着替えを取りに行ったら市場に寄って帰りましょう。食べたいものはありますか?」
「……パルミラのスープ……」
「パルミラの? いいですよー」
この国ではメジャーな香草が入った少しスパイシーな味わいのスープだ。
庶民的な食べ物だから、貴族の生まれである彼がそんなものを食べたがるなんて、なんだか意外な気がした。
「そうか。……ありがとう」
照れを残したまま礼を言うグレアムに、また心臓がドキンと跳ねた。
いい加減、この反応には慣れてきたものの、反応しなくなるというわけではない。フェイは冷静を装って視線を横にいるグレアムから前に戻した。ずっと見ていたら逸る心臓に押されて、何かとんでもないことを口走ってしまいそうだったのだ。
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