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02.アルトウィンの言い分
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というわけで、私は妃内定の通知が届いた翌日、早速王宮に使いを出してアルトウィン様に面会を申し込んだ。
アルトウィン様はとてもお忙しい。面会を申し込んだからって、それがいつになるかはわからない。だからこそ、その日のうちに「陛下がお会いになれるそうですよ」と、返事とともに迎えの馬車が訪れたのは正直にいって驚いた。
こんなにすぐに会えるとは思わなかったから。
王宮に上がると、侍従が王族のプライベートゾーンに案内してくれる。この王宮には行政府としての顔と、王族の住まいとしての顔がある。王族の住まいに入れるのは限られた人間だけだ。
「来ると思ったよ、エレオノーラ」
アルトウィン様が私を待っていたのは、王族だけが入ることを許される庭園。季節柄、バラが見頃を迎えており、甘やかな匂いがあたりを包む。そこにある休憩用の東屋にアルトウィン様はお茶を用意してくださっていた。
さすがといいますか、私の行動なんてお見通しなのね。
今日のアルトウィン様は黒を基調としたフロックコートをお召しだった。後ろで緩く束ねた銀髪の髪の毛がよく映える。小さい頃は整って美しい顔立ちだったが、大人になった今はそこに男らしい精悍さが加わった。
この国は今から三十年ほど前、内乱状態にあった。それまで国を治めていたのはルアール家というのだけれど、ふたつの公爵家が力を持ちすぎて当時の当主(十五代国王)の権威が低下、公爵家がお互いにいがみ合って国内の勢力が二分され、内乱状態に陥ってしまったの。
十年以上続いた内乱を収めたのが当時、第一騎士団長だったアウグスト様。アルトウィン様のお父様ね。
アウグスト様の家系は、有力な武門の家柄としてルアール家にお仕えしていた。そして当然のように貴族たちの勢力争いに巻き込まれていく。
しかしそれは熾烈を極め、王都は焼け野原になり、国は荒れた。
貴族たちの争いを見かねた武門たちがアウグスト様の元に集まり、動乱を収めていった結果、ルアール時代に勢力を持っていた貴族たちが没落し、アウグスト様とともに戦った武門の家が力を持つようになった。
そして二十年ほど前、アウグスト様は彼らの後押しを受けて、この国に新たな王朝を開いたというわけ。……けれどアウグスト様は長年の激務が祟り、ある日突然、この世を去った。
あとに残されたのは十九歳のアルトウィン様と、十七歳の妹君、エルシーア様。ちなみにアウグスト様の奥様にしてアルトウィン様たちのお母様はご健在なのだけれど、アウグスト様がお亡くなりになったあとは表に出てくることがなくなっている。
今は王宮ではなく、王都からほど近いカウンティ城に住まいを移され、政治への口だしはしないし、社交界にもほとんど現れない。
私もコリンナも皇太后さまにはお会いしたことがある。お優しくて、王朝の初代王妃とは思えないほど腰の低い方だった。
まあそんなわけで、この国は王朝の代替わりに伴うゴタゴタがしばらく続いていたのだけれど、それも落ち着いてきたのでアルトウィン様もそろそろお妃様をお迎えに……という話になってきたという次第。
アルトウィン様の治世はまだ五年程度だけれど、武門の諸侯たちをよくまとめ、山積みだった問題を精力的に片付けていっており、有能な国王として内外にその名が知られるようになっている。
そのため、外国からの縁談も来るようだけれど、すでに妃候補を立てているということですべてお断りされているとのこと。
「今日は、コリンナはこちらには?」
私がたずねると、アルトウィン様は不思議そうに私を見つめた。
「なぜコリンナが?」
アルトウィン様に促されて席につくと、給仕係が寄ってきてお茶を淹れてくれる。
「コリンナにも何かしら連絡が届いていると思ったものですから」
給仕係がさがってから、私は口を開いた。目の前のカップからは香ばしい匂いが立ち上る。私の好きな茶葉だ。
さりげない気遣いができるのも、アルトウィン様が多くの人に支持される理由のひとつだと思う。
「届いているだろうね。でも特に何も言ってきてはいないね」
「……。単刀直入におうかがいします。アルトウィン様はなぜ私をあなたの妃に選ばれたのでしょうか?」
「エレオノーラがいいと思ったからだよ」
私の直球にたじろぐことなく、カップを手にしながらアルトウィン様が答える。
「なぜ、コリンナではなかったのでしょう?」
「コリンナは素晴らしい女性だよ。でも私の伴侶として一緒に生きていくのならエレオノーラのほうがいいと思ったんだ」
「私はコリンナと比べ、落ち着きがありませんし、日にも焼けております」
「コリンナはコリンナ、エレオノーラはエレオノーラ。二人とも何年も前から知っている。君たちは二人とも素晴らしい女性だよ。君を選んだのは、君の方をコリンナより好ましく思うからだ」
「……」
「不満そうだね。その不満を私にぶちまけに来たんだろう? いいよ、聞こう。といっても三十分ほどしか時間はないけれど」
どうやらアルトウィン様は私のために、無理やり時間を作ってくださったようだ。
私は頭を振り、「光栄に思います」と微笑んだ。
アルトウィン様の中で私が妃になることは決定事項みたいだ。なら、「私ではなくコリンナを選んで」なんて言ったところで、聞いてもらえるわけがない。
おそらく、アルトウィン様の一存ではなく、アウグスト様の腹心で作られている九人の代表との合議の上での決定なのだろう。
だからアルトウィン様に何を言っても無駄に違いない。
私は、言いたいことが何一つ言えなかった。
三十分きっかり、私たちはお茶を楽しんだ。
話題は妃選びではなく、最近は何をして過ごしているか、ということだった。王宮での妃教育を終えているため、普段は自分の屋敷で好きなことをして過ごしている。今でも定期的にお会いしてはいるけれど、王宮にいた頃ほどではない。
アルトウィン様のほうは政務がとてもお忙しいとのことだった。
年若いこの国王陛下はなんでも自分で動かないと気が済まないところがある。先王アウグスト様から「自分の目で見て、自分の耳で聞いたことだけを信じなさい」と言われているためだろう。
「エレオノーラの許可もとれたことだし、私たちの婚約に関しては近日中に公開することにしよう。結婚に関してはウェストリー家とも話をしながら進めていきたいと思う。何か、不安や疑問はあるかい?」
最後にアルトウィン様が聞いてきた。
私は頭を振った。
「ご配慮ありがとうございます。私からは特にございませんので、アルトウィン様のよろしいように」
「エレオノーラ。私は妻に従順さは求めていない。言いたいことがあったら言ってほしい」
アルトウィン様の言葉に、私は微笑んだ。
「何もございません、アルトウィン様」
たとえ私が何を言っても、あなたは何ひとつ聞き届けてはくださらないでしょう?
あなたの目に、私は映っていない。
あなたの心に、私はいない。
それでもあなたは私を妻にという。
アルトウィン様にとって私は、いったいなんなのだろう。
――好ましく思う、か。
ずるい言い方だ。
私は王宮の廊下を歩きながらため息をついた。
でも私に対してはコリンナみたいに、目を合わせて、ふふっ、なんて笑ったことなんてない。あんな親しい雰囲気……私との間にはどこにもない……。
それなのに、コリンナではなく私なの?
アルトウィン様はこの疑問に答えてくださる気はないみたいだから、もう一人の当事者であるコリンナにも話を聞いてみよう。
話はそれからだ。
アルトウィン様はとてもお忙しい。面会を申し込んだからって、それがいつになるかはわからない。だからこそ、その日のうちに「陛下がお会いになれるそうですよ」と、返事とともに迎えの馬車が訪れたのは正直にいって驚いた。
こんなにすぐに会えるとは思わなかったから。
王宮に上がると、侍従が王族のプライベートゾーンに案内してくれる。この王宮には行政府としての顔と、王族の住まいとしての顔がある。王族の住まいに入れるのは限られた人間だけだ。
「来ると思ったよ、エレオノーラ」
アルトウィン様が私を待っていたのは、王族だけが入ることを許される庭園。季節柄、バラが見頃を迎えており、甘やかな匂いがあたりを包む。そこにある休憩用の東屋にアルトウィン様はお茶を用意してくださっていた。
さすがといいますか、私の行動なんてお見通しなのね。
今日のアルトウィン様は黒を基調としたフロックコートをお召しだった。後ろで緩く束ねた銀髪の髪の毛がよく映える。小さい頃は整って美しい顔立ちだったが、大人になった今はそこに男らしい精悍さが加わった。
この国は今から三十年ほど前、内乱状態にあった。それまで国を治めていたのはルアール家というのだけれど、ふたつの公爵家が力を持ちすぎて当時の当主(十五代国王)の権威が低下、公爵家がお互いにいがみ合って国内の勢力が二分され、内乱状態に陥ってしまったの。
十年以上続いた内乱を収めたのが当時、第一騎士団長だったアウグスト様。アルトウィン様のお父様ね。
アウグスト様の家系は、有力な武門の家柄としてルアール家にお仕えしていた。そして当然のように貴族たちの勢力争いに巻き込まれていく。
しかしそれは熾烈を極め、王都は焼け野原になり、国は荒れた。
貴族たちの争いを見かねた武門たちがアウグスト様の元に集まり、動乱を収めていった結果、ルアール時代に勢力を持っていた貴族たちが没落し、アウグスト様とともに戦った武門の家が力を持つようになった。
そして二十年ほど前、アウグスト様は彼らの後押しを受けて、この国に新たな王朝を開いたというわけ。……けれどアウグスト様は長年の激務が祟り、ある日突然、この世を去った。
あとに残されたのは十九歳のアルトウィン様と、十七歳の妹君、エルシーア様。ちなみにアウグスト様の奥様にしてアルトウィン様たちのお母様はご健在なのだけれど、アウグスト様がお亡くなりになったあとは表に出てくることがなくなっている。
今は王宮ではなく、王都からほど近いカウンティ城に住まいを移され、政治への口だしはしないし、社交界にもほとんど現れない。
私もコリンナも皇太后さまにはお会いしたことがある。お優しくて、王朝の初代王妃とは思えないほど腰の低い方だった。
まあそんなわけで、この国は王朝の代替わりに伴うゴタゴタがしばらく続いていたのだけれど、それも落ち着いてきたのでアルトウィン様もそろそろお妃様をお迎えに……という話になってきたという次第。
アルトウィン様の治世はまだ五年程度だけれど、武門の諸侯たちをよくまとめ、山積みだった問題を精力的に片付けていっており、有能な国王として内外にその名が知られるようになっている。
そのため、外国からの縁談も来るようだけれど、すでに妃候補を立てているということですべてお断りされているとのこと。
「今日は、コリンナはこちらには?」
私がたずねると、アルトウィン様は不思議そうに私を見つめた。
「なぜコリンナが?」
アルトウィン様に促されて席につくと、給仕係が寄ってきてお茶を淹れてくれる。
「コリンナにも何かしら連絡が届いていると思ったものですから」
給仕係がさがってから、私は口を開いた。目の前のカップからは香ばしい匂いが立ち上る。私の好きな茶葉だ。
さりげない気遣いができるのも、アルトウィン様が多くの人に支持される理由のひとつだと思う。
「届いているだろうね。でも特に何も言ってきてはいないね」
「……。単刀直入におうかがいします。アルトウィン様はなぜ私をあなたの妃に選ばれたのでしょうか?」
「エレオノーラがいいと思ったからだよ」
私の直球にたじろぐことなく、カップを手にしながらアルトウィン様が答える。
「なぜ、コリンナではなかったのでしょう?」
「コリンナは素晴らしい女性だよ。でも私の伴侶として一緒に生きていくのならエレオノーラのほうがいいと思ったんだ」
「私はコリンナと比べ、落ち着きがありませんし、日にも焼けております」
「コリンナはコリンナ、エレオノーラはエレオノーラ。二人とも何年も前から知っている。君たちは二人とも素晴らしい女性だよ。君を選んだのは、君の方をコリンナより好ましく思うからだ」
「……」
「不満そうだね。その不満を私にぶちまけに来たんだろう? いいよ、聞こう。といっても三十分ほどしか時間はないけれど」
どうやらアルトウィン様は私のために、無理やり時間を作ってくださったようだ。
私は頭を振り、「光栄に思います」と微笑んだ。
アルトウィン様の中で私が妃になることは決定事項みたいだ。なら、「私ではなくコリンナを選んで」なんて言ったところで、聞いてもらえるわけがない。
おそらく、アルトウィン様の一存ではなく、アウグスト様の腹心で作られている九人の代表との合議の上での決定なのだろう。
だからアルトウィン様に何を言っても無駄に違いない。
私は、言いたいことが何一つ言えなかった。
三十分きっかり、私たちはお茶を楽しんだ。
話題は妃選びではなく、最近は何をして過ごしているか、ということだった。王宮での妃教育を終えているため、普段は自分の屋敷で好きなことをして過ごしている。今でも定期的にお会いしてはいるけれど、王宮にいた頃ほどではない。
アルトウィン様のほうは政務がとてもお忙しいとのことだった。
年若いこの国王陛下はなんでも自分で動かないと気が済まないところがある。先王アウグスト様から「自分の目で見て、自分の耳で聞いたことだけを信じなさい」と言われているためだろう。
「エレオノーラの許可もとれたことだし、私たちの婚約に関しては近日中に公開することにしよう。結婚に関してはウェストリー家とも話をしながら進めていきたいと思う。何か、不安や疑問はあるかい?」
最後にアルトウィン様が聞いてきた。
私は頭を振った。
「ご配慮ありがとうございます。私からは特にございませんので、アルトウィン様のよろしいように」
「エレオノーラ。私は妻に従順さは求めていない。言いたいことがあったら言ってほしい」
アルトウィン様の言葉に、私は微笑んだ。
「何もございません、アルトウィン様」
たとえ私が何を言っても、あなたは何ひとつ聞き届けてはくださらないでしょう?
あなたの目に、私は映っていない。
あなたの心に、私はいない。
それでもあなたは私を妻にという。
アルトウィン様にとって私は、いったいなんなのだろう。
――好ましく思う、か。
ずるい言い方だ。
私は王宮の廊下を歩きながらため息をついた。
でも私に対してはコリンナみたいに、目を合わせて、ふふっ、なんて笑ったことなんてない。あんな親しい雰囲気……私との間にはどこにもない……。
それなのに、コリンナではなく私なの?
アルトウィン様はこの疑問に答えてくださる気はないみたいだから、もう一人の当事者であるコリンナにも話を聞いてみよう。
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