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1章 メリュジーナ侯爵家編
17バレた
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午後のお茶の時間に、フリエスが来た理由を話して来た。
「アーシア陛下直々の文書を預かって来たんだけど」
「陛下から?」
「えーと、なになに・・・寵姫イオよ」
「・・・姫ってなに」
⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱
寵姫イオよ
侯爵家の住心地はどうだ
ヴェルジーク卿は真面目すぎてつまらんだろう
よく考えたが
何もそちらへ行かずともよいのではないか?
早く俺の城へ戻って来い
いっその事 騎士にしてやろう
国王近衛騎士がよい
そうすれば毎日退屈しないぞ
お前の尻がな
⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱
「・・・一国の王としてこの文書はどうかと思うよな」
「イオの尻が狙われている」
「尻って・・・」
明らかにアーシア陛下が何を言いたいのかがわかる文書に、3人は頭を悩ませる。
「いっその事、イオは誰かが身請けしましたでよくない?」
「陛下は側室でもよいと言い出すぞ」
「いっそのこと御前試合とかして、イオがわざと負けて他の強い相手を見繕うとか?」
「そんな賭け事にイオを出せるわけないだろう。フリエス、お前がイオの代わりになるか?」
「いやぁ・・・男に掘られるのはちょっと」
「じゃあ、オレが国王様と戦って勝ったら諦めてもらうのは?」
「ヴェルと同じ事するのか」
「え?」
ヴェルジークとフリエスが、一斉にイオを見た。
「ヴェルもアーシア陛下に尻を狙われてたんだけど、陛下と一騎打ちで勝って諦めてもらったんだよな」
「国王様って強いの?」
「ヴェルが1番だとすると、2番目かな」
「えっ・・・」
「アーシア陛下は戦の女神の加護を受けているからな」
「神様のお墨付きなんだ・・・」
「じゃあ返信の親書には、御前試合で勝負って書こうぜ。イオが勝ったら諦めてもらって、負けたら尻掘り放題」
「ちょっと!イヤだよ、そんなの」
「それはいいな。俺もイオと手合わせしてもらおう」
「ヴェルジークまで!」
フリエスはさっそく返信の親書を書き始めた。イオはまだこの世界の文字は読み書きできないので、何と書いたかはわからない。
書き終えるとフリエスは届けて来ると、屋敷を後にした。
夜になり、イオは中庭に呼び出された。月夜の元、ヴェルジークが剣を持って待っている。昼間に手合わせしてもらおう、と言ったのは冗談ではなかったようだ。
「寒くない?」
「うん」
「イオ、何か俺に隠し事をしているね」
「えっ、な、何を?」
「魔王とは何かな?」
「っ!」
「ロゼット」
ヴェルジークが名前を呼ぶと、木陰からロゼットが現れた。メイド服を着ているが、男装の麗人にしか見えない。
「イオさんの部屋の魔剣が、気持ち悪い詩を喋っているのを耳にしました。その時に魔王と」
『気持ち悪いとは何事だ!この男女!我の親愛なる王への崇高なポエムを!』
「け、ケンさんっ」
「どうした、イオ?」
「旦那様、その剣は親愛なる王とやらへの崇高な気持ち悪いポエムを罵られ怒っているようです。私の事も、男女呼ばわりですか」
「・・・ロゼットさん、やっぱりケンさんの声が聞こえるんですね」
「はい。他の皆は聞こえないようですね」
「なぜ、俺には聞こえない」
「魔剣の声は、魔族かある程度魔力が高い人にしか聞こえないみたいです」
「なるほど。ロゼットは半分魔族の血を引いているから納得がいくな」
「えっ、そうなんですか!」
「はい。この事は旦那様とティオドール様しか知りません。他の者には内密にされています」
「では、なぜ人間のイオは聞こえる?」
やはりロゼットにはしっかり魔剣の声が聞こえていた。半分とはいえ、魔族なら納得がいく。
では、人間のイオはなぜ聞こえるのかがヴェルジークが勘ぐってきた。イオの前世は魔王だ。それを知られれば人間の脅威でしかない。
「・・・ごめんなさい。それは言えない」
「どうしても?」
「多分・・・言ったらここには居られない」
「それは困るな。イオ、剣で勝負しお前が勝てば秘密を守ろう。負ければ秘密を全て話し、お前の身体全て俺に寄越せ」
「えっ」
『なんという非道な変態であるか!我が王の御身は我のものだぞ!』
「ちょっとケンさん黙ってて」
『よし、かかってくるがよい!返り討ちにして魚の餌にしてやろう』
「旦那様。その魔剣は、旦那様が負けたら魚の餌にすると言っています」
「なるほど。では魔剣が負けたら、漬物を切る包丁の代わりにしてやろう」
『なに!!!負けるか小僧め』
「さぁ、イオ。来るがいい」
魔剣を包丁代わりとか、ヴェルジークならやりかねない。
ヴェルジークが剣を構えるので、イオはもうやるしかないようだ。
「漬物用の包丁になったらごめんね」
『王よ!我は負けぬ!』
月夜の晩にイオの貞操と、魔剣の包丁行きへの勝負が行われようとしていた。
「アーシア陛下直々の文書を預かって来たんだけど」
「陛下から?」
「えーと、なになに・・・寵姫イオよ」
「・・・姫ってなに」
⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱
寵姫イオよ
侯爵家の住心地はどうだ
ヴェルジーク卿は真面目すぎてつまらんだろう
よく考えたが
何もそちらへ行かずともよいのではないか?
早く俺の城へ戻って来い
いっその事 騎士にしてやろう
国王近衛騎士がよい
そうすれば毎日退屈しないぞ
お前の尻がな
⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱
「・・・一国の王としてこの文書はどうかと思うよな」
「イオの尻が狙われている」
「尻って・・・」
明らかにアーシア陛下が何を言いたいのかがわかる文書に、3人は頭を悩ませる。
「いっその事、イオは誰かが身請けしましたでよくない?」
「陛下は側室でもよいと言い出すぞ」
「いっそのこと御前試合とかして、イオがわざと負けて他の強い相手を見繕うとか?」
「そんな賭け事にイオを出せるわけないだろう。フリエス、お前がイオの代わりになるか?」
「いやぁ・・・男に掘られるのはちょっと」
「じゃあ、オレが国王様と戦って勝ったら諦めてもらうのは?」
「ヴェルと同じ事するのか」
「え?」
ヴェルジークとフリエスが、一斉にイオを見た。
「ヴェルもアーシア陛下に尻を狙われてたんだけど、陛下と一騎打ちで勝って諦めてもらったんだよな」
「国王様って強いの?」
「ヴェルが1番だとすると、2番目かな」
「えっ・・・」
「アーシア陛下は戦の女神の加護を受けているからな」
「神様のお墨付きなんだ・・・」
「じゃあ返信の親書には、御前試合で勝負って書こうぜ。イオが勝ったら諦めてもらって、負けたら尻掘り放題」
「ちょっと!イヤだよ、そんなの」
「それはいいな。俺もイオと手合わせしてもらおう」
「ヴェルジークまで!」
フリエスはさっそく返信の親書を書き始めた。イオはまだこの世界の文字は読み書きできないので、何と書いたかはわからない。
書き終えるとフリエスは届けて来ると、屋敷を後にした。
夜になり、イオは中庭に呼び出された。月夜の元、ヴェルジークが剣を持って待っている。昼間に手合わせしてもらおう、と言ったのは冗談ではなかったようだ。
「寒くない?」
「うん」
「イオ、何か俺に隠し事をしているね」
「えっ、な、何を?」
「魔王とは何かな?」
「っ!」
「ロゼット」
ヴェルジークが名前を呼ぶと、木陰からロゼットが現れた。メイド服を着ているが、男装の麗人にしか見えない。
「イオさんの部屋の魔剣が、気持ち悪い詩を喋っているのを耳にしました。その時に魔王と」
『気持ち悪いとは何事だ!この男女!我の親愛なる王への崇高なポエムを!』
「け、ケンさんっ」
「どうした、イオ?」
「旦那様、その剣は親愛なる王とやらへの崇高な気持ち悪いポエムを罵られ怒っているようです。私の事も、男女呼ばわりですか」
「・・・ロゼットさん、やっぱりケンさんの声が聞こえるんですね」
「はい。他の皆は聞こえないようですね」
「なぜ、俺には聞こえない」
「魔剣の声は、魔族かある程度魔力が高い人にしか聞こえないみたいです」
「なるほど。ロゼットは半分魔族の血を引いているから納得がいくな」
「えっ、そうなんですか!」
「はい。この事は旦那様とティオドール様しか知りません。他の者には内密にされています」
「では、なぜ人間のイオは聞こえる?」
やはりロゼットにはしっかり魔剣の声が聞こえていた。半分とはいえ、魔族なら納得がいく。
では、人間のイオはなぜ聞こえるのかがヴェルジークが勘ぐってきた。イオの前世は魔王だ。それを知られれば人間の脅威でしかない。
「・・・ごめんなさい。それは言えない」
「どうしても?」
「多分・・・言ったらここには居られない」
「それは困るな。イオ、剣で勝負しお前が勝てば秘密を守ろう。負ければ秘密を全て話し、お前の身体全て俺に寄越せ」
「えっ」
『なんという非道な変態であるか!我が王の御身は我のものだぞ!』
「ちょっとケンさん黙ってて」
『よし、かかってくるがよい!返り討ちにして魚の餌にしてやろう』
「旦那様。その魔剣は、旦那様が負けたら魚の餌にすると言っています」
「なるほど。では魔剣が負けたら、漬物を切る包丁の代わりにしてやろう」
『なに!!!負けるか小僧め』
「さぁ、イオ。来るがいい」
魔剣を包丁代わりとか、ヴェルジークならやりかねない。
ヴェルジークが剣を構えるので、イオはもうやるしかないようだ。
「漬物用の包丁になったらごめんね」
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