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9キラキラ王子様VS俺様魔獣王
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不敬罪の先輩を追い出し、不埒な輩を地面に沈め、皇帝陛下をもぎ取り・・・あ、皇帝陛下から有給をもぎ取ったオレの幼馴染。
その名は、キラキラ王子様ルシエス。
・・・じゃなかった。
魔導騎士団長ルシエス・クォデネンツ。
今日は馬で隣街まで遠乗り中だ。ちなみにオレは馬に基本的乗れないから、ルシエスの愛馬に引っ張ってもらっている。馬までキラキラした白馬だな。オレは茶色い地味な馬だけど、目がクリクリ可愛いから癒やされるわ。
「二人で出かけるのは子供の頃以来だな」
「そうだな、あの頃はオレがルシエスを引っ張り回してた気もする。なぜかオレだけ怒られてたから、ルシエスがキラキラで怒れなかったんだな多分」
「キラキラ?俺はユトがキラキラ天使だと思うんだが」
「うん、それは置いとこうか。お、街が見えてきたぞ」
隣街は帝都に近いのもあって栄えていた。交易が流れば賑やかになるのはいい事だ。代替わりする前の魔王の時代は、廃れてたからな。
街の中へ入る前の通行所で、門兵さんがルシエスが魔導騎士団長とすぐにわかり興奮気味に握手したりサイン強請ってた。アイドルか、お前は。
さらに街の中へ入ると、今度は女の人達が黄色い声を上げながら頬を染めルシエスを取り囲む。オレは咄嗟に脇道へ避けた。
「ルシエス様、今日はお暇ですの?」
「いえ、連れがいますので」
「あの・・・女性の方ですか?」
「いえ、彼です」
「え?」
「ですから、あちらの天使のように気高く美しい彼です」
え、なに?そんな連れも連れて来てたのか、オレというものがありながら酷いなルシエス。オレはキョロキョロと辺りを見回すと、女の人の波をかき分けてオレの前にやって来た。
肩を抱き寄せられると、女の人達の視線が痛い。
「彼です」
オレか!
天使でもなく気高くもなく美しいくもないから、誤解を招く紹介するな。
「・・・・あの、そちらの方とはどのような関係でしょうか」
「幼馴染ですが、将来的に家族になります」
「え」
「え?」
ちょっと言ってる意味がわからないんだけど、もう家族だよな?家族以上の家族って何だろうってオレは頭に疑問符をたくさん浮かべた。
「あの・・・ではそちらのお友達もご一緒に、これからお食事はどうでしょうか?ルシエス様の騎士団のお話も聞きたいですわ」
「友達ではありません」
「・・・・ええと」
「訂正して下さい。友達ではありません」
「で、では、・・・弟さん?」
ルシエスの笑顔が固まったが、オレの笑顔も引き攣った。弟か、うん、年齢的にそうなるよな。
弟な。
「申し訳ないですが、貴女のように見る目のない方とは食事はできません。食べる前に目が腐りますから」
「・・・・・ぁ・・の」
「ルシエスーーーーー!!!!!オレはお腹減ったな!!!あっちにすごく美味しそうな食べ物が!」
か弱い女性に何という暴言を。オレは全力でルシエスを引っ張り走り出した。でも途中で逆にルシエスがオレを引っ張っていた。しかも満面の笑顔で。
まぁ、機嫌は治ったのかな?
走った先にたまたま良さそうな店があったから、そこでランチする事にした。天気もいいからテラス席にしてもらったけど、テラス席に誰も座って居ない。店内は混んでたのに。
「貸し切りにしてもらったんだ」
「ルシエス、経済回そうな」
「大丈夫、今は物流も滞ってないし」
「うーん・・・・」
こうなるとルシエスは引かないし、オレも諦めて食事を摂る事にした。おすすめパスタは、食べたことないほど美味しかった。ルシエスはサンドイッチを注文して、オレが物欲しそうに見てたら半分くれた。
なぜか頑なに、あーんしてとルシエスの手で食べさせようとしてくるから拒否したらサンドイッチは定番メニューから外そうって恐ろしい事を呟いた。
仕方なく全力で、ルシエスの手から食べた。その瞬間、遠巻きの女性客が雄叫びを上げた。
「美味しい?」
「・・・・美味しいよ」
「よかった。ユトが気に入らなかったら、この店の経営者変えようかと・・」
「店長さんが可哀相だからやめてあげて」
「まだ食べる?」
「いや、いい。デザート食べたいかな」
「いいよ。何食べたい?」
ちょっと食い意地が張ってしまった気もするが、お高いデザートなんて滅多に食べられないからな。
よし、パフェにしよう。
「じゃあ、パフェ・・・・」
ゴンッ ピョコ ペチョン・・・効果音的にそんな感じ
パフェが突然現れ中身が空中浮遊した。あんだけ浮いたのに元の形に戻った。
「え、すごい、魔法?」
「魔法ではない。ユト、パフェだぞ」
一番パフェ持ってるのが似合わない奴が来た感じがした。誰かはわかってるけど、素知らぬフリをしてみる。
「店員さん、注文前に勝手にパフェ持ってこないで下さい。食べなかったらどうするんですか、代金払いませんよ。もったいないでしょ」
「2つの口のどちらかに無理矢理食わせる」
「食事中にやめてくれ、ロギア」
「なんだちゃんと私だと認識してるじゃないか」
まぁ、うん、ロギアだよね。これまた高そうな仕立てのいいラフな服着てる。何でここに居るかは知らないけど、女性客が卒倒し始めた。気持ちはわかるよ、キラキラ王子様騎士とセクシー俺様魔獣王(皆魔族って知らないけど)が同時に存在したらどっち見てもヤバイもんな。
そんなヤバい奴らにオレは挟まれていた。あ、さり気なく後ろにアラデア君も控えてる。美少年好きな人は、そっちをうっとり眺めていた。ウルベル君もここには居ないけど超絶モフ可愛いからな?
「・・・・ヴァルハーゼン伯、なぜここに居る」
「どこの馬の骨かと思ったら、クォデネンツの勇者気取りか。私のユトが城に居なかったから迎えに来た」
「''私''の・・・だと?まるで貴様の所有物のような言い草だな」
「所有物か、言い方が間違っていたな。私はユトのものだから、飼い主に付き従うのは当然の事だ」
「言ってる意味がわかりかねる」
「オレもちょっと意味わかんない」
「なんだ、つれないなユト。私とあんなにも情熱的な口付けと抱擁を交わし、蜜の味まで堪能するほど愛し合ったというのに」
「あぃーーーーーッ」
「・・・・・・・・」
一方的にオレに不埒な事を美化したロギアは、満面の笑みでオレの手を握っていた。
するとルシエスが無言で立ち上がる。フラフラしてるけど大丈夫か?
「ルシエ・・・」
「消そう」
「え?」
「そいつ今すぐ消そう。この世から存在すらなかった事にしよう。大丈夫だ、サクッと終わらせる」
「ほう・・・この私と一戦交えようというのか」
ルシエスが恐ろしいことを口にしながら、真顔で精霊剣を抜いた。ロギアも魔族のオーラを隠しもせずに応戦しようとしている。
「街の皆さんの迷惑になるからやめなよ、二人共。あとパフェが溶けちゃうから、後は街の外で勝手にやっててくれ。・・・・ムグムグ、あ、程よい甘さの果実でめっちゃ美味しいこのパフェ」
天気のいい日に美味しいパフェを食べれるって今の御時世、平和になったなとオレはしみじみした。
ルシエスは剣を納めてまた隣に座る。よかった、思い直したのか。
「この店を買い取ろう」
「バカか、お前は」
「全くだ。街ごと買い取らねば、ユトを幸せにする権利などない」
「ないから、オレごとにそんな権利。というか金で解決しようとするな。男ならそんな回りくどいことしないで、堂々と告白とかすればいいじゃないか」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ん?」
オレは自分ではいい事言ったと思ったが、よく考えたら何をどう堂々と告白するんだとスプーンを口に咥えたまま止まった。横を見るのが怖い。
突然口からスプーンが消えたかと思うと、ルシエスがそのスプーンを自分の口に入れていた。
え、パフェ食べたいのかな・・・・・
「ユト、口を開けろ」
「ムグっ・・・」
今度はロギアが話しかけて来たから思わず口を開けてしまうと、何かが口に入ってくる。甘いからパフェのクリームと・・・・ちょっと弾力のある、指?
ロギアが指にパフェ付けてオレの口に突っ込んでいた。
「ろ、ろひぁ・・・ぁ、は・・・ンッ」
パフェはもう付いてないのに、オレの口の中で指が舌を擦ったり上顎を撫でたり好き勝手に動いている。手を離そうとロギアの腕を掴むもびくともしない。さらに後頭部を大きな手で掴まれて、後ろに顔を引く事も出来なくなった。
「んんっ、ふ・・・ぅ・・ぁ、あ」
さらに指が増やされたみたいで、舌が二本の指に挟まれた。グニグニと捏ねるみたいに動かされ、開いた口から涎が顎を伝っていくのを感じる。
その涎を顔を寄せてロギアが舐めとる。肉厚な舌先が顎のラインに沿って上がってくると、口の端に軽くキスして離れた。
「っ、ん・・・」
「ユトは甘いな」
「ッ!」
ロギアは自分の唇を舐める。覗く八重歯がなぜか卑猥に見えて、オレは頬に熱を感じるとされた事に恥ずかしくなり目を逸らした。
目線の先には、今まで見た事ないような凶悪な顔つきのルシエスがロギアを射殺しそうな目で睨んでいた。これ以上ひと悶着あると本当に町が破壊されそうで、オレは真面目に二人をなだめる。
「と、とにかく、喧嘩するなら本当に外でヤれ。じゃないとオレは帰るからな」
「待て、まだユトと教会の式場の見学をしてないぞ!あと、家の下見とか」
「なんでそんなところ見学するんだ?」
「大事なことだからな」
「?」
「それなら、私とユトの望む所へ行くか?」
「いや、今日はルシエスと出かける約束だし悪いけどロギアは帰ってくれ」
「・・・・いいだろう。明日、また迎えに行く」
「迎えって?」
「ヴァルハーゼン家の当主になったからな。私の家にユトを招待したい」
「おお、ついにかぁ。おめでとう」
「・・・ありがとう」
そうだった。ロギアは四星花のヴァルハーゼン伯爵家の当主になったんだったな。貴族の家に行った事はないけど、ちょっと気になるかもしれない。
「来てくれるか」
いや、来てくれるかってついこの間まで他の人の家だったのにもう自分のモノみたいに・・・。というかまたオレの手を握ってる。顔も少し緊張してるのか笑顔じゃない、ロギアも不安なのか?
流されやすいのが自分の悪いところだな・・・。オレはちょっと困った顔で返答してやる。
「いいよ。新しい家、楽しみだな」
「よかった。新しい家では、人目を気にせず魔獣の姿になり放題だぞ」
「今すぐ行こう!」
オレはパフェを持って立ち上がりガッツポーズをしていた。決して魔獣の姿に釣られたわけではない、ロギアの新しい人生のお祝いに行くのだ。
すると横から手が伸びて来てパフェを取られた。ルシエスだ。
「今は俺とデート中だからね、ユト」
・・・・え、これってデートだったのか???
その名は、キラキラ王子様ルシエス。
・・・じゃなかった。
魔導騎士団長ルシエス・クォデネンツ。
今日は馬で隣街まで遠乗り中だ。ちなみにオレは馬に基本的乗れないから、ルシエスの愛馬に引っ張ってもらっている。馬までキラキラした白馬だな。オレは茶色い地味な馬だけど、目がクリクリ可愛いから癒やされるわ。
「二人で出かけるのは子供の頃以来だな」
「そうだな、あの頃はオレがルシエスを引っ張り回してた気もする。なぜかオレだけ怒られてたから、ルシエスがキラキラで怒れなかったんだな多分」
「キラキラ?俺はユトがキラキラ天使だと思うんだが」
「うん、それは置いとこうか。お、街が見えてきたぞ」
隣街は帝都に近いのもあって栄えていた。交易が流れば賑やかになるのはいい事だ。代替わりする前の魔王の時代は、廃れてたからな。
街の中へ入る前の通行所で、門兵さんがルシエスが魔導騎士団長とすぐにわかり興奮気味に握手したりサイン強請ってた。アイドルか、お前は。
さらに街の中へ入ると、今度は女の人達が黄色い声を上げながら頬を染めルシエスを取り囲む。オレは咄嗟に脇道へ避けた。
「ルシエス様、今日はお暇ですの?」
「いえ、連れがいますので」
「あの・・・女性の方ですか?」
「いえ、彼です」
「え?」
「ですから、あちらの天使のように気高く美しい彼です」
え、なに?そんな連れも連れて来てたのか、オレというものがありながら酷いなルシエス。オレはキョロキョロと辺りを見回すと、女の人の波をかき分けてオレの前にやって来た。
肩を抱き寄せられると、女の人達の視線が痛い。
「彼です」
オレか!
天使でもなく気高くもなく美しいくもないから、誤解を招く紹介するな。
「・・・・あの、そちらの方とはどのような関係でしょうか」
「幼馴染ですが、将来的に家族になります」
「え」
「え?」
ちょっと言ってる意味がわからないんだけど、もう家族だよな?家族以上の家族って何だろうってオレは頭に疑問符をたくさん浮かべた。
「あの・・・ではそちらのお友達もご一緒に、これからお食事はどうでしょうか?ルシエス様の騎士団のお話も聞きたいですわ」
「友達ではありません」
「・・・・ええと」
「訂正して下さい。友達ではありません」
「で、では、・・・弟さん?」
ルシエスの笑顔が固まったが、オレの笑顔も引き攣った。弟か、うん、年齢的にそうなるよな。
弟な。
「申し訳ないですが、貴女のように見る目のない方とは食事はできません。食べる前に目が腐りますから」
「・・・・・ぁ・・の」
「ルシエスーーーーー!!!!!オレはお腹減ったな!!!あっちにすごく美味しそうな食べ物が!」
か弱い女性に何という暴言を。オレは全力でルシエスを引っ張り走り出した。でも途中で逆にルシエスがオレを引っ張っていた。しかも満面の笑顔で。
まぁ、機嫌は治ったのかな?
走った先にたまたま良さそうな店があったから、そこでランチする事にした。天気もいいからテラス席にしてもらったけど、テラス席に誰も座って居ない。店内は混んでたのに。
「貸し切りにしてもらったんだ」
「ルシエス、経済回そうな」
「大丈夫、今は物流も滞ってないし」
「うーん・・・・」
こうなるとルシエスは引かないし、オレも諦めて食事を摂る事にした。おすすめパスタは、食べたことないほど美味しかった。ルシエスはサンドイッチを注文して、オレが物欲しそうに見てたら半分くれた。
なぜか頑なに、あーんしてとルシエスの手で食べさせようとしてくるから拒否したらサンドイッチは定番メニューから外そうって恐ろしい事を呟いた。
仕方なく全力で、ルシエスの手から食べた。その瞬間、遠巻きの女性客が雄叫びを上げた。
「美味しい?」
「・・・・美味しいよ」
「よかった。ユトが気に入らなかったら、この店の経営者変えようかと・・」
「店長さんが可哀相だからやめてあげて」
「まだ食べる?」
「いや、いい。デザート食べたいかな」
「いいよ。何食べたい?」
ちょっと食い意地が張ってしまった気もするが、お高いデザートなんて滅多に食べられないからな。
よし、パフェにしよう。
「じゃあ、パフェ・・・・」
ゴンッ ピョコ ペチョン・・・効果音的にそんな感じ
パフェが突然現れ中身が空中浮遊した。あんだけ浮いたのに元の形に戻った。
「え、すごい、魔法?」
「魔法ではない。ユト、パフェだぞ」
一番パフェ持ってるのが似合わない奴が来た感じがした。誰かはわかってるけど、素知らぬフリをしてみる。
「店員さん、注文前に勝手にパフェ持ってこないで下さい。食べなかったらどうするんですか、代金払いませんよ。もったいないでしょ」
「2つの口のどちらかに無理矢理食わせる」
「食事中にやめてくれ、ロギア」
「なんだちゃんと私だと認識してるじゃないか」
まぁ、うん、ロギアだよね。これまた高そうな仕立てのいいラフな服着てる。何でここに居るかは知らないけど、女性客が卒倒し始めた。気持ちはわかるよ、キラキラ王子様騎士とセクシー俺様魔獣王(皆魔族って知らないけど)が同時に存在したらどっち見てもヤバイもんな。
そんなヤバい奴らにオレは挟まれていた。あ、さり気なく後ろにアラデア君も控えてる。美少年好きな人は、そっちをうっとり眺めていた。ウルベル君もここには居ないけど超絶モフ可愛いからな?
「・・・・ヴァルハーゼン伯、なぜここに居る」
「どこの馬の骨かと思ったら、クォデネンツの勇者気取りか。私のユトが城に居なかったから迎えに来た」
「''私''の・・・だと?まるで貴様の所有物のような言い草だな」
「所有物か、言い方が間違っていたな。私はユトのものだから、飼い主に付き従うのは当然の事だ」
「言ってる意味がわかりかねる」
「オレもちょっと意味わかんない」
「なんだ、つれないなユト。私とあんなにも情熱的な口付けと抱擁を交わし、蜜の味まで堪能するほど愛し合ったというのに」
「あぃーーーーーッ」
「・・・・・・・・」
一方的にオレに不埒な事を美化したロギアは、満面の笑みでオレの手を握っていた。
するとルシエスが無言で立ち上がる。フラフラしてるけど大丈夫か?
「ルシエ・・・」
「消そう」
「え?」
「そいつ今すぐ消そう。この世から存在すらなかった事にしよう。大丈夫だ、サクッと終わらせる」
「ほう・・・この私と一戦交えようというのか」
ルシエスが恐ろしいことを口にしながら、真顔で精霊剣を抜いた。ロギアも魔族のオーラを隠しもせずに応戦しようとしている。
「街の皆さんの迷惑になるからやめなよ、二人共。あとパフェが溶けちゃうから、後は街の外で勝手にやっててくれ。・・・・ムグムグ、あ、程よい甘さの果実でめっちゃ美味しいこのパフェ」
天気のいい日に美味しいパフェを食べれるって今の御時世、平和になったなとオレはしみじみした。
ルシエスは剣を納めてまた隣に座る。よかった、思い直したのか。
「この店を買い取ろう」
「バカか、お前は」
「全くだ。街ごと買い取らねば、ユトを幸せにする権利などない」
「ないから、オレごとにそんな権利。というか金で解決しようとするな。男ならそんな回りくどいことしないで、堂々と告白とかすればいいじゃないか」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・ん?」
オレは自分ではいい事言ったと思ったが、よく考えたら何をどう堂々と告白するんだとスプーンを口に咥えたまま止まった。横を見るのが怖い。
突然口からスプーンが消えたかと思うと、ルシエスがそのスプーンを自分の口に入れていた。
え、パフェ食べたいのかな・・・・・
「ユト、口を開けろ」
「ムグっ・・・」
今度はロギアが話しかけて来たから思わず口を開けてしまうと、何かが口に入ってくる。甘いからパフェのクリームと・・・・ちょっと弾力のある、指?
ロギアが指にパフェ付けてオレの口に突っ込んでいた。
「ろ、ろひぁ・・・ぁ、は・・・ンッ」
パフェはもう付いてないのに、オレの口の中で指が舌を擦ったり上顎を撫でたり好き勝手に動いている。手を離そうとロギアの腕を掴むもびくともしない。さらに後頭部を大きな手で掴まれて、後ろに顔を引く事も出来なくなった。
「んんっ、ふ・・・ぅ・・ぁ、あ」
さらに指が増やされたみたいで、舌が二本の指に挟まれた。グニグニと捏ねるみたいに動かされ、開いた口から涎が顎を伝っていくのを感じる。
その涎を顔を寄せてロギアが舐めとる。肉厚な舌先が顎のラインに沿って上がってくると、口の端に軽くキスして離れた。
「っ、ん・・・」
「ユトは甘いな」
「ッ!」
ロギアは自分の唇を舐める。覗く八重歯がなぜか卑猥に見えて、オレは頬に熱を感じるとされた事に恥ずかしくなり目を逸らした。
目線の先には、今まで見た事ないような凶悪な顔つきのルシエスがロギアを射殺しそうな目で睨んでいた。これ以上ひと悶着あると本当に町が破壊されそうで、オレは真面目に二人をなだめる。
「と、とにかく、喧嘩するなら本当に外でヤれ。じゃないとオレは帰るからな」
「待て、まだユトと教会の式場の見学をしてないぞ!あと、家の下見とか」
「なんでそんなところ見学するんだ?」
「大事なことだからな」
「?」
「それなら、私とユトの望む所へ行くか?」
「いや、今日はルシエスと出かける約束だし悪いけどロギアは帰ってくれ」
「・・・・いいだろう。明日、また迎えに行く」
「迎えって?」
「ヴァルハーゼン家の当主になったからな。私の家にユトを招待したい」
「おお、ついにかぁ。おめでとう」
「・・・ありがとう」
そうだった。ロギアは四星花のヴァルハーゼン伯爵家の当主になったんだったな。貴族の家に行った事はないけど、ちょっと気になるかもしれない。
「来てくれるか」
いや、来てくれるかってついこの間まで他の人の家だったのにもう自分のモノみたいに・・・。というかまたオレの手を握ってる。顔も少し緊張してるのか笑顔じゃない、ロギアも不安なのか?
流されやすいのが自分の悪いところだな・・・。オレはちょっと困った顔で返答してやる。
「いいよ。新しい家、楽しみだな」
「よかった。新しい家では、人目を気にせず魔獣の姿になり放題だぞ」
「今すぐ行こう!」
オレはパフェを持って立ち上がりガッツポーズをしていた。決して魔獣の姿に釣られたわけではない、ロギアの新しい人生のお祝いに行くのだ。
すると横から手が伸びて来てパフェを取られた。ルシエスだ。
「今は俺とデート中だからね、ユト」
・・・・え、これってデートだったのか???
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