福引きで当てた魔獣王の愛し子

れく高速横歩き犬

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1魔獣の卵当たる

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お久しぶりです。気分転換に新作を書いてみました!

魔王とモフ達に囲まれる主人公が溺愛され気味。一応シリーズ3作目ですが、単体でも読めます。よろしくお願いします(*ˊ꒳ˋ*)


登場人物等は増えると更新です

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「おめでとうございましゅ!1等は魔獣の卵でございましゅ!」



「いらない」



「ラッキーなお客様のお名前はなんしょうか」



「・・・・ユトですけど。あの本当にいらないんで」



神の大地よ 


ィアーリウェアよ


あぁ、今日もミスラの空は澄んでるなぁ



 オレはそんな事を思いながら、魔獣の卵らしき物を怪しいでしゅ口調の露店商人達から押し付けられていた。
 やけに背が低くローブで顔が見えない。もう片方は仮面で目を隠してるがスラリとしたモデルみたいだ。

 たまたま城下で安いからと、怪しい露店で買い物をしてしまいおまけの福引きでこの卵を当ててしまった。


「ユトさんですか、地味めに平凡で埋もれそうな顔なんで名前は覚えときますね。瞳は銀色で綺麗ですけど」
「おい、失礼だな!」


 モデルみたいな相方が口を開いたかと思うと、初めて会ったばかりのただの商人に容姿をとやかく言われたくない。まぁ、確かに前髪短めで癖っ毛な赤茶の髪の平凡な顔立ちなのは自覚あるけど。身長だって172センチはあるけど平均的だ。
 唯一、銀の瞳は珍しいのかそこだけは褒められる。


あ、自分の平凡さ再確認してる場合じゃなかった。


「さぁさぁ、幸運の卵かもしれませんでしゅよ!どうぞどうぞ遠慮なくでしゅ!」
「じゃあ一度貰って、捨てていくから」
「いやいやいやいや、ポイ捨てはいけませんでしゅ!しかも店先に営業妨害でしゅ!」
「だいたい、魔獣の卵って怪しいでしょ。そんな危険な物こんな所にあるわけないと思うんだけど」
「アー・・・実はこれはですね、レプリカなんです」
「え」
「玩具です。安心して下さい」


 そう言われ、無理矢理卵を持たされた。玩具って・・・魔獣の卵レプリカらしき物は、大きさは両手にすっぽり収まるくらいで真っ黒い。ザラザラしてて、しかもちょっと重い。


「はぁ・・・仕方ない。明日どこかで売れるか聞いてみよう」


 魔獣の卵レプリカを抱えオレは自宅へと戻る事にした。



 魔導帝国ミスラは神が作りし大地ィアーリウェアの南に位置する大国だ。精霊に守護された自然溢れ、魔法に優れている。

 自宅はミスラの帝都からちょっと離れたところにある。自宅と言っても大所帯の孤児院だ。
 孤児のオレはそこで拾われて育った。亡くなった先代院長も、孤児院の仲間達もみんな良くしてくれたし寂しくはなかった。世の中にはどん底な人達だっているから、オレは恵まれた方だ。

 オレは今現在、王都の魔導騎士団に見習い騎士として所属している。見習いといっても下っ端の下っ端だ。魔導騎士団はエリート中のエリート、例え貴族でも才能ある者しか入れない。
 1年前たまたま近くで魔物に襲われた騎士を助けた事で、翌日騎士団から入隊許可証が来たわけだ。


 まぁ、それでも騎士の報酬はいいからおかげで孤児院に援助できる。



「それにしても、重いなこの卵。捨てようかな・・・本当に魔獣の卵だったら孵化して孤児院襲うかも。うん、やっぱり捨てよう」


 頑張って背負ってたけど山越えするには重さが限界だ。オレだってそれなりに鍛えてはいるけど子供2人は抱えて歩いてる感覚だ。
 わざわざ危険を侵す必要はないだろう。オレはそっと卵を地面に下ろしてその場を離れようとした。だけど・・・・。


「おいおい、金目のモンが2つも落っこちてるぜ」
「そうかぁ?汚い玉と冴えない男じゃねぇか」


 山賊に出くわした。最悪だ。オレは荷物を置いて剣を構えた。


「お?ヒョロそうなくせにやるのか?」
「おい。あいつの目、見ろよ。銀色だぜ・・・高く売れそうだ」
「本当だ。色街じゃ使えそうにないけど、目は競売かけられそうだな」
「ッ」


 逃げるか?戦うか・・・正直あまり戦闘は得意じゃない。魔法もそんなに使えないからな。オレは一瞬迷ったのち、走り出した。


「あ、逃げやがった!」

「逃げればなんとか・・・・うわっ!?」


 いきなり何かに掴まれて転んだ。足元を見ると蔦のようなものが巻き付いている。こいつら山賊のくせに地の精霊魔法が使えるのか・・・見誤った。そのままズルズルと引き戻されてしまう。


「逃げるなよ、まだ金目のモン取ってねぇんだから」
「金目のモンなんてない」
「なぁ、この黒いの何なんだ?」
「それは・・・お、玩具だ」
「はぁ?玩具って・・・ハハハハ!どうやって遊んでるんだよ、これで」
「あ、わかったぜ。ケツに突っ込んでるじゃないのか?」
「バカか、お前は。こんなの入れたらガバガバじゃねぇか」
「ガバガバか見てみるか?」
「・・・・・」


 嫌な予感しかしなかった。王道過ぎて引っ掛かるオレもバカすぎる。

 山賊はオレをうつ伏せにさせるとズボンに手を掛けた。全力でジタバタしてみるが、やはり二人相手はキツい。


「や、ヤメロぉ!変態!」
「変態とか女々しい奴だな」


 尻の半分がスースーしだしたから、多分半分は脱がされているだろう。でも最後の砦は死守したいから往生際に暴れていると、目の前の卵から変な音がした。


コツ・・・コツ・・・ゴッゴッ


頭突きしてるのか?


パキパキパキ・・・バキッ



「グルウァァアアア~!」



「・・・・・・・・・」


生まれた。何がって、真っ黒い何かがだ。


 そいつは卵から頭だけ出して、目を開いた。宝石よりも煌めき、業火のような深い深紅の瞳と目が合った。ジッとオレの銀の瞳を見ている。


「魔獣・・・なのか?」


 真っ黒い生き物は、殻をさらに壊してその身体を曝け出す。大きさは仔犬くらいか。体毛は黒く艷やか、顔はオオカミに似ているが手足がドラゴンのような鱗に覆われ背中には小さいが4枚の羽が生えている。
 四足歩行でゆっくりオレの鼻に近付くと、小さな鼻をくっつけた。


「フンッフンッ」

「っ」


 小さいが魔獣は、魔獣。オレは鼻を囓られるかと思い身体が強張るが小さな舌で舐められた。そのままペロペロどころか涎が付くほどベロベロに舐め回される。


「わ、くすぐったい・・・もういいから」
「ギャウ」


 小さな魔獣が山賊に掴まれてしまう。暴れるも、手足が短いので攻撃は届かないようだ。


「マジで魔獣なのかよ?売れるかなぁ」
「見たことない魔獣だな。こいつ何なんだ?」
「うわっ!イテッ!!噛みやがった」
「ギャウウッ」
「人間様に盾突きやがって犬っころめ」


 山賊に噛み付いた魔獣が地面に叩きつけられ蹴られている。どんどん土で汚れ動きが鈍くなっていく・・・このままでは死んでしまう。


助けなければ。



「やめろ!ィアーリウェアに生まれた命はみんな平等のはずだ!」


 オレは咄嗟に手を伸ばすと魔獣を庇うよう腹に抱え込む。山賊は面白くなさそうにオレを蹴り始めた。切れたのか血が滲み出し痛む。それでも生まれた命を守ろうと必死で耐えた。


「ッ・・・大丈夫、オレが守ってやるから」
「ウゥ」
「チっ、こいつしぶといな。・・・・死体でも売れるだろ。二人まとめて片付けてやるよ」
「ッ!!!」


 山賊の剣が振り下ろされた瞬間、思い出したのは孤児院のみんな。オレが居なくなったら騎士団がなんとかしてくれるだろうか・・・。そんな事を考えていたら、腕の中から温もりが消えた。


「な、なんだ!?」
「う、うわあぁあああああーーーーーー」


 一瞬熱い感覚が通り過ぎたかと思うと、静寂が訪れた。足に絡まる蔓がなくなり、痛む身体を起こすと2つの蒼い火柱だけが残っていた。
 そして小さな羽を動かし空中に浮かぶ、小さな魔獣。その口には微かに蒼い炎の残り火が揺れていた。山賊の末路はもはや明確だった。哀れだが、命を取りに来たのだから取られる覚悟もしなければならない。


「お前がやったのか?」
「フンッフンッ、ギャウッ!」
「・・・そうか。助けてくれありがとうな」


 魔獣は得意げに鼻を鳴らしオレの所まで降りて来て、また顔を舐め出した。


「はぁ・・・お前は命の恩人だ。一人で生きれるようになるまでなら家に置いてやるよ」
「ギャウッ!」
「うぷっ」


 今度は小さな口をオレの口に突っ込んで来た。可愛いが、ちょっと毛が入るな。


 また山賊に襲われないように慎重に警戒し、ようやく家路に着いた。オレの部屋は孤児院の端の方だから誰かを起こす心配はない。
 荷物を片付け汚れた魔獣も洗ってやろうと風呂へ連れて行く。魔獣は大人しく泡だらけになってのんびり寛いでいた。人間の食べ物はさすがに口にはしないのか、パンやミルクには見向きもしない。動物の干し肉にも。


魔獣って何食べるんだ?餓死したらどうしよう。


 そうこうしているうちに、その夜は疲れてベッドに横になった。魔獣用に篭のベッドを作ってやったが気に入らないのか、オレの横で丸くなって寝息を立て始めた。


可愛いなぁ・・・魔獣だけど。名前付けようかな、いや、でも愛着湧いたら離れがたくなる。


 オレは呑気にそんな事を考えながらいつの間にか眠りに就いていた。


 翌朝いつもの時間帯に目が覚めると、やけにベッドが狭い気がして意識をはっきりさせる。なんか目の前に壁がある?ペタペタと触るとちょっと硬い感触。


「ベッドの周りに壁なんてあったっけ?」

「どうした?身体が切ないのか?」

「・・・・・・え」


 オレは突然上から聞こえた声に驚き身体を起こした。すると壁だと思っていたのは全裸の男だった。

 漆黒の艶々の長髪を無造作にベッドへ散らし、瞳は深紅。素晴らしい肉体の恐ろしく美丈夫な男・・・。


「オレのベッドに変態がいる」
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