落ち込み少女

淡女

文字の大きさ
上 下
160 / 172
第11章「確かな憩い」

第11章「確かな憩い」その7

しおりを挟む

「今年の夏は例年よりもさらに暑く、お出かけの際は…」

なんてことはないニュースを見ながら、冷やし中華を食べていた。

誰もいない昼間のリビングは、いつもより涼しく感じた。

両親は仕事、妹は高校受験に向けて夏期講習に行っている。

僕はここ二週間、夕方まで一人の時間を過ごしている。


夏休みに入り、僕の生活は堕落の頂点に達し、あっという間に二週間が経った。

好きな時間に起きて、映画を見たり、ゲームをしたり、本を読んだり、

とにかく孤独の時間を満喫した。

しかし、これといって楽しいわけじゃなかった。

ただやることのない毎日の暇つぶしのためにルーティン化されたものだ。

もう七月も終わりが差し掛かっているのに、宿題の内容さえ確認していない。

やらなければならないことはわかっているのに。


それでも本音は机に向かうことを拒んでいる。

時間だけがみるみる経ち、同時に蝉の鳴き声と暑さも増している。

リビングのカレンダーを見ると、もう八月のカレンダーになっている。

八月二日、もうすぐだ、夏祭りが開催される。

平木に電話をかけようか、迷っている時に西山から電話がきた。

いつもならLINEでメッセージとして送ってくるのに。

ポケットから残りバッテリー20%の携帯を取り出した。

「もしもし」

西山の久しぶりに聞く声だ。


「もしもし、どうした?」


「夏休み、どうしてるかなぁって。当ててみようか?」

いや、そんなくだらないことのために電話してきたのか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Bo★ccia!!―アィラビュー×コザィラビュー*

gaction9969
ライト文芸
 ゴッドオブスポーツ=ボッチャ!!  ボッチャとはッ!! 白き的球を狙いて自らの手球を投擲し、相手よりも近づけた方が勝利を得るというッ!! 年齢人種性別、そして障害者/健常者の区別なく、この地球の重力を背負いし人間すべてに平等たる、完全なる球技なのであるッ!!  そしてこの物語はッ!! 人智を超えた究極競技「デフィニティボッチャ」に青春を捧げた、五人の青年のッ!! 愛と希望のヒューマンドラマであるッ!!

君はなぜ笑う?

梵天丸
ライト文芸
エスカレーター式の私立高校に通う耕司は、自分の彼女の葬式に出ていた。 彼女は公園で誰かに刺され、殺されたのだという。 そしてその葬式の帰り道、耕司は死んだはずの彼女……御堂香穂に出会う。 香穂は自分が死んだことを理解しているが、どうして幽霊になってしまったのかは理解できていないようだった。 どうして彼女は幽霊になってしまったのか。 彼女は誰に殺されたのか。 耕司と幽霊彼女との時間が始まる――。 ※軽いものですが、性的な描写を含むのでR15指定にさせていただきました(02/27) ※1ページにすべての話を載せていたので、読みやすいように分割しました(02/27)

永遠にさようなら

高下
ライト文芸
死んだ義兄と生きてる義弟が同棲を始める話

大杉緑とは俺様だ(完結)

有住葉月
ライト文芸
大正時代を圧巻した男とは俺のこと。社会も女もみんなが振り返る。ハハハ。世の中を変えてやる! 時代を変えようとした大杉を描きます。

月は夜をかき抱く ―Alkaid―

深山瀬怜
ライト文芸
地球に七つの隕石が降り注いでから半世紀。隕石の影響で生まれた特殊能力の持ち主たち《ブルーム》と、特殊能力を持たない無能力者《ノーマ》たちは衝突を繰り返しながらも日常生活を送っていた。喫茶〈アルカイド〉は表向きは喫茶店だが、能力者絡みの事件を解決する調停者《トラブルシューター》の仕事もしていた。 アルカイドに新人バイトとしてやってきた瀧口星音は、そこでさまざまな事情を抱えた人たちに出会う。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

2度もあなたには付き合えません

cyaru
恋愛
1度目の人生。 デヴュタントで「君を見初めた」と言った夫ヴァルスの言葉は嘘だった。 ヴァルスは思いを口にすることも出来ない恋をしていた。相手は王太子妃フロリア。 フロリアは隣国から嫁いで来たからか、自由気まま。当然その所業は貴族だけでなく民衆からも反感を買っていた。 ヴァルスがオデットに婚約、そして結婚を申し込んだのはフロリアの所業をオデットが惑わせたとして罪を着せるためだった。 ヴァルスの思惑通りに貴族や民衆の敵意はオデットに向けられ遂にオデットは処刑をされてしまう。 処刑場でオデットはヴァルスがこんな最期の時まで自分ではなくフロリアだけを愛し気に見つめている事に「もう一度生まれ変われたなら」と叶わぬ願いを胸に抱く。 そして、目が覚めると見慣れた光景がオデットの目に入ってきた。 ヴァルスが結婚を前提とした婚約を申し込んでくる切欠となるデヴュタントの日に時間が巻き戻っていたのだった。 「2度もあなたには付き合えない」 デヴュタントをドタキャンしようと目論むオデットだが衣装も用意していて参加は不可避。 あの手この手で前回とは違う行動をしているのに何故かヴァルスに目を付けられてしまった。 ※章で分けていますが序章は1回目の人生です。 ※タグの①は1回目の人生、②は2回目の人生です ※初日公開分の1回目の人生は苛つきます。 ★↑例の如く恐ろしく、それはもう省略しまくってます。 ★11月2日投稿開始、完結は11月4日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

クロスチャイルド

山田麻衣
ライト文芸
時は今より少し先の未来。 度重なる気候変動と温暖化により、陸地の約60パーセントは砂漠化し人が住めなくなった。水と食料と土地をめぐる戦争が終わった後の世界には、人口は減り、国のほとんどが財政破綻により消滅。残った国のほとんどは独裁国家や王政の国家が占めていた。世界は壊れかけた天秤で、なんとか均衡を保っている状態だった。 そんな世界で、化学の進化は歩みを止めずに進んでいく。 兵器・コンピュータ・ネット・交通網の進歩はもちろんのこと、特に昨今凄まじいのが遺伝子工学の研究だ。 その中でも遺伝子工学の最高権威、ジェフリー・ガーランド博士は世界中から注目される研究者の一人であった。 表向きは医療や宇宙開発の遺伝子研究をしているが、裏の顔がある。 そのジェフリー・ガーランド博士によって作られた”クロスチャイルド”と呼ばれる生物と人間を交配させて作られた生物兵器が存在する。 交配とゲノム編集技術により、人知を超えた力を持って生み出されるクロスチャイルドは希少性が高く、世界には10体しか存在しない。 人の容姿をしているが、その身体能力はかけ離れており、岩を爪で引き裂く者もいれば、水流を自在にコントロールできる者もいて、その能力は個体によりさまざまだ。 おおよその人々にとって、クロスチャイルドは都市伝説の一つとしての認識であるが、実際に存在し、さらにクロスチャイルドは各国の用心棒や兵器としての利用が最も多く、それぞれがそれぞれの立ち位置で存在していた。 舞台はアイソン超高層ビル街の摩天楼。ユキという16歳の少年が主人公で、物語はそこから始まる。 ユキは世界中に散らばったクロスチャイルドのひとりで、クロスチャイルド研究施設と呼ばれる、ジェフリー・ガーランド率いる研究施設に所属している。その中で日々秘密裏の任務に当たっていた。 生物兵器として生まれ育ってきたユキの世界は色がなかった。 言われたことをただこなすだけの日々。そんな日々に疑問も抱いたことはなく、淡々と時が過ぎていった。そしてそんな風に一生を終えるのだと思っていた。 そんな折、ユキに新しい任務が言い渡される。それは11体目のクロスチャイルドが実はこの世に存在するということ。 命を狙われている11体目のクロスチャイルドを救出にユキは向かう。

処理中です...