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第10章「沈黙の祭り」
第10章「沈黙の祭り」その13
しおりを挟む「ふ~ん。いろいろあるんだね」
西山は他人事のように話を逸らした。
おそらく一軍の奴らは、言葉の重みってものを知らない。
それは人を傷つける言葉だけじゃない、褒める言葉だってそうだ。
「すごい」とか「面白い」とか、簡単に使っちゃいけないんだ。
僕のような弱い人間は、それだけで何かを期待してしまうんだから。
強い人間ほど、言葉選びができない。
傷つける言葉だけが、人を傷つけると思っている。
だからこそ、彼女は友だちを裏切ってしまったんだと思う。
褒める言葉が人を傷つけることもある、
そのことに彼女はいつになったら気づけるんだろうな。
静かに続いた会話から五分ほど経て、職員室に着いた。
西山は書類を提出する為に、中に入っていった。
僕はやることもなく、ただ外の景色を眺めていた。
するとすぐに西山が帰ってきた。
「ごめん、じゃあ行こっか」
いつになく、西山の顔が固くなっていたので、
この先に行くのが少し怖くなってきた。
「どこへ向かうの?」
だから、答えを先に求めてしまった。
西山は上を指差して、こう言った。
「屋上」
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