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第10章「沈黙の祭り」
第10章「沈黙の祭り」その12
しおりを挟む放課後、みんなが作業をしている中、僕は教室を出て、廊下を歩いていた。
「じゃあ、行こうか」
僕は待ち合わせしていた西山と合流した。
いつになっても、美少女と歩くのは緊張する。
まだ、周囲に人がいないだけマシだな。
「でも、何で廊下で待ち合わせしたの?」
西山は僕の行動を理解しがたいようだ。
「クラスの連中に見られるのが嫌だったんだ」
「えっ、どうして?」
「いや、何となく」
きっと彼女にはわからない。
僕のようなクラスでも最底辺の身分にとって、
一軍の長でしかもクラス委員の女子といるところを見られるのは危ないことなんだ。
人はコミュニティに身分制度を作ってしまう。
歴史を見ると明らかだ。学校でもそうだ。
他のクラスを見ても、全員が同じ年齢で違いなんてわからないが、
同じクラスならわかる、あいつは一軍だ、こいつは二軍だ、とか。
あいつなら許されるけど、こいつがやったら許されない。
これは誰かが意図して作ったものじゃない。
十代のうちから、不思議と人としての優劣がわかってしまう。
教わらなくとも、ものさしで測る癖ができてしまう。
優劣をつけることは無意識下でできることだから怖いんだ。
だからこそ、いじめはいつまで経ってもなくならないんだろう。
自分より強い奴をいじめることはまず無い。
いじめるのは必ず自分よりも弱い奴に限る。
それも意識的にやっているわけじゃないから、たちが悪い。
僕らが牛肉や豚肉を食べるのに罪を感じることがないのと同じだ。
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本当にいじめを無くしたいのなら、コミュニティというものを無くさなければ不可能だと思う。
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