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第10章「沈黙の祭り」
第10章「沈黙の祭り」その10
しおりを挟む夕飯を平らげた僕は、風呂で汗と絵の具の臭いを洗い流した。
波を磨き終えると、すぐさま部屋にあがって、ベットに倒れた。
今週は家に帰ったら、食って寝るだけの日々になりそうだな。
「昨日はありがとう」
次の日の昼休みに僕は日直だったので、
先生の書いた黒板の白文字を消していると、西山が一人で話しかけてきた。
「何のこと?」
「え~、とぼける?」
「羽塚くんのおかげで男子たちが手伝うようになったんでしょ?」
「君が協力してくれなかったから成し得なかったよ」
「ふ~ん。相変わらず、自分に対しては卑屈だね」
そのセリフ、どこかで聞いた覚えがあるな。
「西山って、そんなこと言うやつだったっけ?」
「羽塚くんは特別だよ」
不覚にも胸が高鳴った。
彼氏にいるのにそんな言葉を易々と使うあたり、やっぱり西山はモテるだろうな。
「それと…この前もありがとう」
「え?」
「それより、羽塚くん、放課後時間ある?」
「ん?」
話の内容が変わりすぎて、全く意図がつかめない。
「いや、実は来てほしい場所があるの」
来てほしい場所?想像できないな。
「それは学校内なのか?」
「うん。確かめたいことがあるの」
そういった彼女の瞳はいつものふわふわした雰囲気とは違う真剣な眼差しをしていた。
おそらく悩み部屋に関することだろう。
「ダメかな?」
そう言った西山には少し戸惑いと焦りが見られた。
そうか、彼女は悩み部屋の件で僕に借りがあると思っているようだ。
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