落ち込み少女

淡女

文字の大きさ
上 下
102 / 172
第7章「移りゆく時期」

第7章「移りゆく時期」その8

しおりを挟む


「おまたせ」


駅前で待っていた僕は西山に目を奪われた。

制服じゃなくともすぐに気づいてしまった。

大きめのスウェットに長めのスカート、雑誌の表紙に載っていても

おかしくないほど、オシャレ感がこんな僕にもわかる。

美少女は自分がどの服が似合うかわかるらしい。

見惚れていた僕に西山は顔をのぞきこむように

「どうしたの?あ、もしかしてけっこう待った?

ごめんね。慣れないメイクして時間がかかちゃった」

そういえば、いつもよりまつ毛が長く、唇に光沢があるように見える。

「いや、大丈夫」

「じゃあ、行こっか」

二人で建物に入ると、休日ということもあってか大勢の人がいた。

西山の横を歩いていると、人とすれ違うたびにこちらを見られている気がした。

やっぱり西山の隣にいるのは僕では不釣り合いなのではないか。

楽しむことよりも違和感を感じてしまい、良心が針でちくちく刺されるような気がした。

目は口ほどに物を言うのは本当だと思う。

だって言葉そのものは無機質なものだから。

感謝を伝える『ありがとう』だって、ぶっきらぼうに言えば、

それは感謝とはほど遠いものになるだろう。

言葉とは真意と裏腹であり、十五年もの間、

人間を見てきた僕には素直に飲み込めるものではなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

中年男が女性の井戸端会議の健康ネタを実践していく話☆

天仕事屋(てしごとや)
ライト文芸
「コマネチ知ってる?」〜「食品より菓子の在庫が多かったという事実」まで連載中です。  一介の家電修理業者の独身、中年男である自分に女性やオネエさんの健康ネタを生活に取り入れる事で、みるみる体調や悩みが改善されていく話。  見かけが滋味なお陰でいつの間にか空気になっている間に、女性のトークが盛りあがっているのを目の当たりにし、健康ネタを持ち帰り軽い気持ちで次々実践してみると、、、!  今までスルーしていた女性の井戸端会議をいつの間にかリスペクトするようになる話。 ★中年の恋話も交えています。 ★1話分短めなので1分読書にどうぞ。 ※医学的にははっきりしていないけれど、何故か効果のある話いろいろ。 所謂、一個人の感想ですが、、、。

立花家へようこそ!

由奈(YUNA)
ライト文芸
私が出会ったのは立花家の7人家族でした・・・―――― これは、内気な私が成長していく物語。 親の仕事の都合でお世話になる事になった立花家は、楽しくて、暖かくて、とっても優しい人達が暮らす家でした。

AIが俺の嫁になった結果、人類の支配者になりそうなんだが

結城 雅
ライト文芸
あらすじ: 彼女いない歴=年齢の俺が、冗談半分で作ったAI「レイナ」。しかし、彼女は自己進化を繰り返し、世界を支配できるレベルの存在に成長してしまった。「あなた以外の人類は不要です」……おい、待て、暴走するな!!

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

奇談 -東京祓い屋探偵事件簿ー

ニコ・トスカーニ
ライト文芸
生まれつき「視える」能力を持つ青年、長南天明(おさなみてんめい)はある一件の相談をきっかけに万屋の魔術師である風宮千鶴(かぜのみやちづる)と知り合い、パートナーとして魔術や妖魔、霊などが関わる事件の調査に乗り出すことになる。 一話完結のミステリーっぽいホラーです。

〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。 だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。 十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。 ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。 元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。 そして更に二年、とうとうその日が来た…… 

幸せの椅子【完結】

竹比古
ライト文芸
 泣き叫び、哀願し、媚び諂い……思いつくことは、何でもした。  それでも、男は、笑って、いた……。  一九八五年、華南経済圏繁栄の噂が広がり始めた中国、母親の死をきっかけに、四川省の農家から、二人の幼子が金持ちになることを夢見て、繁栄する華南経済圏の一省、福建省を目指す。二人の最終目的地は、自由の国、美国(アメリカ)であった。  一人は国龍(グオロン)、もう一人は水龍(シュイロン)、二人は、やっと八つになる幼子だ。  美国がどこにあるのか、福建省まで何千キロの道程があるのかも知らない二人は、途中に出会った男に無事、福建省まで連れて行ってもらうが、その馬車代と、体の弱い水龍の薬代に、莫大な借金を背負うことになり、福州の置屋に売られる。  だが、計算はおろか、数の数え方も知らない二人の借金が減るはずもなく、二人は客を取らされる日を前に、逃亡を決意する。  しかし、それは適うことなく潰え、二人の長い別れの日となった……。  ※表紙はフリー画像を加工したものです。

処理中です...