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第7章「移りゆく時期」
第7章「移りゆく時期」その7
しおりを挟むカーテンの隙間からあったかいものを感じた。
朝だ、これはきっと朝に違いない。
目をつむっていようと、耳をふさいでいようと確信を持って言える。
今は夢ではない、朝なんだ。
もうこの感覚を何度味わっただろう。
それでも飽きたとは思わない。
それは生理的なことだからなのか、はたまた真理的なことか。
今はそんな命題を解くよりもやることがあったはずだ。
携帯を確認した後、目覚めの時刻より遅れたアラームのスイッチを消した。
いつもよりアラームの音量を大きくしていた分、目覚めはすっきりとはしなかった。
それでも、今日は僕にとって特別な日を送るために、支度した。
普段の土曜日なら九時に起きることはない。
食事を済ませ、高校の入学祝いで買ってもらった
ジーパンとパーカーを着て、慣れない格好に違和感を覚えた。
洗面台の横に置いているワックスを取りだしたが、
カッコつけるのもカッコ悪いと思ったので、元に戻した。
準備を終えた僕は誰にも気づかれることもなく、家を出た。
足は商店街の方へ向かっていっていた。
しかし目的地はそこじゃない、隣の市にある大型ショッピングモールだ。
西山はそこで一週間後に開かれる体育祭の打ち上げの買い物をするらしい。
ついでに、シャーペンの芯が尽きかけていたので、買おうと思っている。
この一週間、なぜ西山が僕を選んだのかずっと考えていたが
結局わからずじまいで、もんもんとした日々を送っていたが、
ようやく今日でその憂いも消えると思うと歩いていた足取りが軽くなった。
もう六月ということもあってか、駅までの道中、汗をかいてしまった。
期待と緊張がまとわりついたまま、僕は慣れない電車に揺られていた。
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