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第5章「白紙の手帳」
第5章「白紙の手帳」その1
しおりを挟む中間テストだ。高校生活初めてのテストということだけあって、
辺りを見回すと大多数の人が教科書やノートを開いて勉強している。
その中でもグループになって問題を出しあってる者、一人で黙々とノートを見る者、
やり方は様々だが緊張していることだけは分かる。
僕は全体を俯瞰した後、隣の席を見ると、何やらテスト開始30分前とは思えないほど、
何も置いていない机がそこにあった。
欠席かあるいはまだ来てないだけか?
いや当の本人は背筋を伸ばし、
手は太ももの下に置いてまるで学生のお手本のような座り方をしている。
平木だ。彼女はこれから起こる点取り合戦などにはこれっぽっちも興味はなく、
ただ窓の外を眺めているだけだ、いや復習する必要も無いんだろう。
正直これで彼女が赤点なんて取ろうものなら、
僕は逆立ちしたくなるほど笑い転げるのだが
きっと神様はそんな奇跡を叶えてはくれないだろう。
すると、直後に秋山先生が来た。
「それでは、全員着席してくれ。」
さっきまでわちゃわちゃしていた教室がその言葉をきっかけに
お通夜のごとく、静まり返った。
「今から問題用紙と回答用紙を配布する。
机の上には筆記用具だけにして、落書き等が無いか、確認してくれ」
その後、数学の問題用紙と回答用紙が前から順に裏向きで配布されていった。
こういう時にいつも思うのが、
回答用紙は表を向けてもいいんじゃないか?ということだ。
しかし、そんなこと試験中に聞くものではないし、
テストが終われば、そんなこととうに忘れている。
「この時計が9時になったら開始する」
こういう緊張感、あまり悪い気はしない。
「それでは、中間テスト、数学の試験を始める。
カンニング等の不正行為をした場合、全教科0点になるので
気をつけるように」
みなが一斉に問題用紙と回答用紙をめくった。
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