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第4章「異常の中の普通」
第4章「異常の中の普通」その11
しおりを挟むそれにしても、本当に何もない部屋だな。
しばらくは戻ってきそうにないので、僕は部屋を見ていた。
机には本棚があり、学校の教科書の他に難しそうな本がたくさん並べていた。
どんな本か気になったので、机の前まで来ると、
机の上には何かがあることに目の端で捉えた。
鍵だ。
家の鍵かと思ったが、
にしては形がよくゲームに出てくるような西洋風の形をしてるし、
それにさっきここに来た時、平木は机の方に行ったことはなかった。
本よりも鍵のほうが気になったが、階段をかけあがる音が聞こえたので、
僕はすばやく元の場所に戻った。
戻ってきた平木は、二人分の麦茶が入ったコップを載せたお盆を持っている。
しかしそれよりも彼女が学校の制服から私服に着替えていたことに目がいってしまった。
といっても、黒の短パンに無地の白シャツ、とあまりオシャレ感がない。
先月から約一ヶ月もの間、
不登校状態だった少女の私生活の一端を垣間見たような気がした。
平木は麦茶を僕に差し出した。
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとう」
五月中旬、涼しい季節が徐々に蒸し暑くなるかげりを見せていたので、
冷えた麦茶は喉をうるおし、疲れを抜けさせたような気がした。
「どう?お口に合ったかしら?」
「ああ、おいしいよ」
そういえば、女の子の部屋に入るのは生まれて初めてだな。
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