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第4章「異常の中の普通」
第4章「異常の中の普通」その8
しおりを挟む二駅行ったところで、僕らは電車を降りた。
僕は切符で、平木は定期で改札機を通った。
そういえば平木は定期を持っていたんだなぁ、と
今更ながら気づいた自分に驚いている。
初めに学校の最寄り駅に行く時に、僕は片道分の切符を買ったが、
彼女はトイレに行くと言って、販売機には行ってなかったことを覚えている。
ということは、家に向かっているのか?
それはつまり…平木の家ということか?
…なぜだろう?
今の僕の心は期待や喜びよりも不安や恐怖のほうがやや勝っているように思えた。
悲劇のヒロインを救った後のご褒美、とは思えない。
なぜなら僕は選ばれるべくして選ばれたわけではないから。
たまたまあの時、平木に借りを作ったからにすぎないのだ。
それに僕は二度ともうあんな場所には行きたくはないというのが本音だ。
僕は人を救えるほど、立派な人間でもない。
次はもう出ることは出来ないかもしれない。
しかしこれだけ平木が僕を巻き込んだことに愚痴を吐いていながら、
彼女についていくことに逆らえなかったのは、
ただ彼女が美少女だから、という理由だけではないように思えた。
きっと望んでいるんだ。
平凡からの脱却を。
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