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第3章「僕たち私たち」
第3章「僕たち私たち」その6
しおりを挟む目を覚ました。
目覚めのいい朝だ。
あの時は平木が僕に膝枕していたな。
僕はいやらしさを含んだ妄想をよそにアラーム機能が壊れた、
ただの目覚まし時計を見つめた。
六時二十分だ。いつもより一時間近く早いな。
そういえば、あの悩み部屋では時間は止まったままだったが、
僕の体内時計は正常に働いているのだろうか?
まぁ、そもそも体内時計が狂おうが実際の時計があれば、
問題はないような気はするが…
そういや、僕は昨日帰って来てからずっと寝ていたのか。
ってことは十一時間近く寝ていたらしい。
意識がはっきりしてくると、途方もない空腹感を覚えたが、
それよりも、風呂に入っていない体と
長い間水分を含まなかった粘った口をどうにかしたかった。
リビングに行き、水を飲んで、それから風呂場に向かった。
シャワーを浴びながら、頭と体を洗った。
久しぶりの朝風呂はとても気持ちがよかった。
僕の体にある老廃物が全て流されていくようなそんな気がした。
風呂から上がり、入念に歯を磨いた。
まだ時間があるのでパジャマでもよかった気がするが、
また着替えるのも面倒だったので、制服に着替えた。
第一の目的を果たした僕は、空腹を満たすべく冷蔵庫をまさぐった。
見ると、ラップに包まれた食事がおいてあった。
おそらく夕飯の残りだろう。
僕はその料理をレンジで温めてから、昨日炊いたであろう白米を
茶碗につぎ込み、朝からボリュームのある食事をした。
そのとき、母が降りて来た。
「おはよう、あんたずいぶん寝てたわねぇ。
声かけたのに全然起きないから、そのままにしておいたわ。」
「ああ、それでよかったよ。」
「よっぽど疲れていたのね。」
そういうと、母は訳を聞かなかった。
なぜだろうな、その方がありがたかったが、期待していたのかもしれない。
少しさびしかった。
七時半だった。
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