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第2章「悩み部屋」
第2章「悩み部屋」その9
しおりを挟む「その探し人が僕になったってことか。」
「期限は1週間と記載されていたから、時間に余裕がなかったの。
そのせいもあってか隣のあなたが一番手っ取り早かったの。」
「やり方自体は間違ってはいないが、言い方に問題があるぞ。」
「あら、そうだったかしら?」
「まぁそれはいい」
「あと羽塚くんもいい年頃だから、性欲をムンムンたぎらせる気持ちは分かるけど、
もし私に襲いかかろうとしてきたら殺すわよ。」
「いつ僕がお前に性欲をたぎらせた!?」
「だってあなた昨日の授業中、ずっと私のこと見てたでしょ。」
「あれは....事情があったんだ。」
「事情って何よ。女の子をずっといやらしく見る事情なんて、
発情期の雄サルが雌猿に交尾を求めるくらいだわ。」
「その話はもういい。今はそんなことより大事なことがある。」
「あらそう、残念。羽塚くんの照れた顔可愛いかったのに。」
「平木はそうやって男をたぶらかすのが好きなのか?」
「いえ、ウブな男が照れる顔が好きなの。」
完全にもてあそばれている。
腹がたつ。
これが人に頭を下げた人に対する言動なのか。
「そんなことやってると、みんなから疎まれるぞ。」
「あら失敬ね。こう見えても私ってモテるのよ。」
まあ見た目だけならモテそうだけど、
性格とかその他内面全てを含むなら、彼女がモテる理由がわからない。
「思うだけどさ、君ってもう少し謙虚になった方がいいんじゃないか?」
「どうして?」
「どうして?って。日本じゃ出る杭は打たれるって風習があるし、
そういう風に上から目線で接してると、人間関係が上手く成り立たないと思うよ。」
「なら、もう打たれないほど飛び出せばいい。
それに、事実は事実。誇張も矮小する必要もないわ。
でなければ、歴史は正しく伝わらないもの。」
「えぇ。そういうものなのかなぁ。」
「例えば織田信長が桶狭間の戦いで
彼の奇襲作戦により今川の軍を討ったことは知ってるわよね?
でももし信長が大名ではなく、軍の一兵にすぎなかったら?
その手柄は部下の信長には与えられず、大名のものになっていたかもしれない。
だとすると、歴史に彼の名前が残る確率なんてほぼ皆無だわ。」
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