謎のバイト

希京

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闇バイト

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林 正義(21)は切羽詰まっていた。
派遣バイトの期限が過ぎて寮も追い出され、行き着いたネットカフェで仕事を検索すると、撮影助手を見つけた。

1日10万円。

破格の報酬が提示してあり流行りの闇バイトかと警戒した。仕事場も山奥とある。タコ部屋に押し込まれてキツイ仕事でもさせられるんじゃないか。

でも選んでいる状態ではない。次の仕事が決まるまで食いつなぐ資金と割り切って思い切って電話してみた。

『いつから出れますか?』

電話先の男は抑揚のない声でこちらのスケジュールを聞いてきた。

「いつからでもできます。何なら今日からでも」
焦ってそう言ってしまったが大丈夫だろうか。

『わかりました。お迎えにあがります。今どちらに?』
「駅前のネカフェにいます」

そんなやり取りのあと、待ち合わせの場所にいくと、すでに何人がいた。
みんなスマホを見てうつむいている。声をかけてもいいのだろうか。そんなことを考えていると、白いハイエースが横付けされて運転席から「乗って」と言われる。

ここまで来たんだ。俺は勇気を出して乗り込んだ。
自分と同じ年くらいの青年たちも不安の色を顔に出して無言で乗る。

「スマホ、免許書、財布、あと身分がわかるものはこっちのかばんに入れて」
運転席の男が後部座席にトートバックを投げてきた。
30代後半だろうか、男の顔には表情がなかった。

みんな言われたとおり持ち物をかばんに入れていく。

やっぱりヤバい仕事なんだ。これで逃げることはできなくなった。

だがどこへ逃げる?行くあてはない。部屋をみつけて仕事も探して。そんなものすぐには見つからない。今はとにかく金が欲しかった。
何年着ているかわからないコートとジーンズ。まわりも似たようなものだった。

どれくらい車に揺られていただろう。

「着いたぞ」

そこは古い家屋だった。




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