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嘘つき
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後でいつも思い知らされる。
櫻井は考えている上のことをする。
忘れていたわけではないが、焦りと不安で冷静な判断力が欠けていた。
「必死になって会いに来てくれるなんてうれしいね」
気がついたら直也は櫻井の腕にぎゅっと抱きしめられている。
チャイムを鳴らすとそっとドアが開いて、白いシャツ姿の櫻井が直也の腕を力強く引っぱり中に入れた。
櫻井から酒の匂いは一切しないし、ソファの前にあるテーブルに想像していたようなクスリは何もなかった。
興奮していた脳が一気に冷めて体の力が抜ける。
直也を支える腕、そして指。
その感触が直也の弱点。
「何もだまさなくても」
ただ支えられているだけなのに櫻井の指に感じてしまう。
「俺の言葉、信じないじゃない、直也は」
「普段の自分の行いをふりかえって」
「わからないな」
大きめのソファに転がされて上からのしかかられる。
「かわいい服だね、昼と違って雰囲気変わっていい」
櫻井は眼鏡をかけたまま、ネクタイを外しただけの白いシャツにスラックス姿で直也の髪をさわった。
「変ですか?」
「似合ってるって言っても信じてくれないでしょ。直也は俺が何を言っても信じないから」
照明の逆光で黒い人型が自分に迫ってきて唇を重ねられた。
「ん…」
直也の体を這いずる指や舌の刺激で下半身に血が下がっていくのを感じる。
無意識に腰を浮かした直也のジーンズの中に櫻井の手が入り、直也の好きな指で握られる。
「ああ…っ」
ビクリと跳ねる足も、すぐに力が抜けて落ちていった。
「…不謹慎だよ、今日お葬式だったのに」
「そう?」
最後の理性で押しとどめようとしたがあっさりかわされた。
ソファでは狭くて動きにくかったのか、直也を抱きかかえてベッドに移動する。
「やだ…」
服を剥ぎ取る手から逃げようともがきながら、伸ばした手にあたったクッションをつかむ。
その手をクッションごと転がして仰向けにされた。
「…あ‥…ん‥‥」
露わになった胸の突起を指で転がされて、直也の理性は消えていく。
何をされるより感じる、櫻井の指。
「言ってほしいこと逆に言ってよ直也」
指はするりと直也の体をすべり、欲望を主張しているそれを弱く掴んで上下に動かす。
直也の足は無意識に大きく開いた。
「ずっと…、会いたかった‥です…」
「うん」
冷たいローションが垂れる。
くちゅくちゅと卑猥な音を立てて直也のものを指で弄ぶ。
「あっ…、やぁ…も…‥ぉ入れ…て…‥」
子どものわがままのように直也は首をふった。
つぷ、と音を立てて櫻井の指が入ってきた。
「…ぁん…」
その感触が、直也の脳を蕩かせる。
「俺の指が好きなの、変わらないね」
「なんで…俺を捨てたの…?」
「辞めたいってずっと言ってたのは誰」
櫻井の指が奥をえぐるように動き、直也の甘い悲鳴が響いた。
「俺は直也を愛してたのに」
苦しい息の下、直也は櫻井の顔を見る。
原田の眼鏡を見て、また目を閉じた。
「この言葉だけ信じてくれないよね直也」
失望したようにため息をついて、櫻井は直也の細い腰を持って、一気に貫いた。
直也の足が力なく揺れる。
目を開けても真っ暗な気がした。
「でも直也が俺を好きなのは知ってるよ。俺が自殺すると思って心配して駆けつけてくれたんでしょ?」
櫻井の独白と、直也の嬌声が部屋で重なって壁に反響する。
「そんな風に思ってくれるのはお前だけだよ…」
珍しく名前ではなく「お前」と呼んで、直也を抱きしめた。
櫻井は考えている上のことをする。
忘れていたわけではないが、焦りと不安で冷静な判断力が欠けていた。
「必死になって会いに来てくれるなんてうれしいね」
気がついたら直也は櫻井の腕にぎゅっと抱きしめられている。
チャイムを鳴らすとそっとドアが開いて、白いシャツ姿の櫻井が直也の腕を力強く引っぱり中に入れた。
櫻井から酒の匂いは一切しないし、ソファの前にあるテーブルに想像していたようなクスリは何もなかった。
興奮していた脳が一気に冷めて体の力が抜ける。
直也を支える腕、そして指。
その感触が直也の弱点。
「何もだまさなくても」
ただ支えられているだけなのに櫻井の指に感じてしまう。
「俺の言葉、信じないじゃない、直也は」
「普段の自分の行いをふりかえって」
「わからないな」
大きめのソファに転がされて上からのしかかられる。
「かわいい服だね、昼と違って雰囲気変わっていい」
櫻井は眼鏡をかけたまま、ネクタイを外しただけの白いシャツにスラックス姿で直也の髪をさわった。
「変ですか?」
「似合ってるって言っても信じてくれないでしょ。直也は俺が何を言っても信じないから」
照明の逆光で黒い人型が自分に迫ってきて唇を重ねられた。
「ん…」
直也の体を這いずる指や舌の刺激で下半身に血が下がっていくのを感じる。
無意識に腰を浮かした直也のジーンズの中に櫻井の手が入り、直也の好きな指で握られる。
「ああ…っ」
ビクリと跳ねる足も、すぐに力が抜けて落ちていった。
「…不謹慎だよ、今日お葬式だったのに」
「そう?」
最後の理性で押しとどめようとしたがあっさりかわされた。
ソファでは狭くて動きにくかったのか、直也を抱きかかえてベッドに移動する。
「やだ…」
服を剥ぎ取る手から逃げようともがきながら、伸ばした手にあたったクッションをつかむ。
その手をクッションごと転がして仰向けにされた。
「…あ‥…ん‥‥」
露わになった胸の突起を指で転がされて、直也の理性は消えていく。
何をされるより感じる、櫻井の指。
「言ってほしいこと逆に言ってよ直也」
指はするりと直也の体をすべり、欲望を主張しているそれを弱く掴んで上下に動かす。
直也の足は無意識に大きく開いた。
「ずっと…、会いたかった‥です…」
「うん」
冷たいローションが垂れる。
くちゅくちゅと卑猥な音を立てて直也のものを指で弄ぶ。
「あっ…、やぁ…も…‥ぉ入れ…て…‥」
子どものわがままのように直也は首をふった。
つぷ、と音を立てて櫻井の指が入ってきた。
「…ぁん…」
その感触が、直也の脳を蕩かせる。
「俺の指が好きなの、変わらないね」
「なんで…俺を捨てたの…?」
「辞めたいってずっと言ってたのは誰」
櫻井の指が奥をえぐるように動き、直也の甘い悲鳴が響いた。
「俺は直也を愛してたのに」
苦しい息の下、直也は櫻井の顔を見る。
原田の眼鏡を見て、また目を閉じた。
「この言葉だけ信じてくれないよね直也」
失望したようにため息をついて、櫻井は直也の細い腰を持って、一気に貫いた。
直也の足が力なく揺れる。
目を開けても真っ暗な気がした。
「でも直也が俺を好きなのは知ってるよ。俺が自殺すると思って心配して駆けつけてくれたんでしょ?」
櫻井の独白と、直也の嬌声が部屋で重なって壁に反響する。
「そんな風に思ってくれるのはお前だけだよ…」
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