BL短編集

希京

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沈✕悠人(利休)[アルファポリス・海に抱かれる]

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女のような顔。
僕は開き直って女性の服を着てヒールを履いている。髪は黒髪のまま肩まで伸ばしてたまにメイクをすると道行く人が振り返る。それが面白い。
さすがにその辺の女服の店に入るのは恥ずかしいのでたまたま親戚を案内した観光地でアオザイやチャイナ服を売っている雑貨屋を見つけて通うようになった。
昼間は外国人観光客で賑わっているので、閉店時間を狙ってたまに行く。
人気の少ない狭い店内で「いらっしゃい」も言わない店主が届いた荷物を整理していた。
僕はアオザイが好きだった。中国とフランスの文化が混ざったベトナムは服も雑貨もお洒落でかわいい。わりと体のラインがはっきり見えるぴったりしたデザインが多いので試着しようとすると「そこ」と僕を見ずに店主は更衣室を指差す。あまりベタベタしない接客は気楽だが変わった人だなと思っていた。
「すいませーん」
会計のためレジのあるところからバックヤードと思われるカーテンの向こう側に声をかけるとエプロン姿で髪がぼさぼさの、でもかっこいい店主が出てきた。僕のおじさんと同じ年くらいだろうか。
「君、いつもひとりだね」
レジを操作しながら店主は突然意味不明なことを話しかけてきた。
「は?」
「これは誰かにプレゼントするの?」
「自分で着るんですけど」
今もここで買ったアオザイを着ているじゃないか。
ちょっとうっとおしく感じた。もうここには通いたくないと思ったがほかに同じような店がないから服が欲しくなったら来るしかない。
その日も閉店時間を狙って店を訪れると珍しく店主がレジに立っていた。
「あ、来た来た」
店主が愛想よく笑う。ここで引き返せばよかったのかもしれない。
「…こんばんは」
いつも閉店ぎりぎりに来る後ろめたさからあまり強く言えなかった。
「仕入れに行ってきたんだけどね、君に似合いそうなのをいくつか買ってきたんだ。見るだけでもどう?」
店主は足元にあるダンボールから何着かアオザイを取り出した。厄介だなと思ったが黒に金糸で蝶の刺繍がある一着に目がいく。
せっかくなので試着室で着てみるとアオザイから不思議な甘い匂いがした。狭い試着室でだんだん意識がぼんやりしてくる。立っているのもつらくなってきた時店主が勝手に仕切っている布をゆっくり開けて中に入ってきた。
「ちょっ…なに」
びっくりした僕が慌てて振り向くが店主は笑顔を浮かべながら後ろから体を抱きしめてきた。
「足のスリットが大きく入ってチャイナドレスみたいでしょう?」
店主の指が僕のふとももを滑る。
頭ではやめてほしいと思っているのに体はもっと触ってほしいと願う。
ふとももを滑る指がスリットの中に入ってきた。反応して勃ってしまった僕自身に指を絡めてくる。
「や…だ…やめろ…」
甘ったるい匂いのせいなのか頭がぼんやりする。
店主の指が裏筋から先のカリのほうへ行く。とろりとあふれてきた蜜を鈴口にぬりつけてくると僕の声は大きくなる。
「あ…ぁ…、何す………やめ…て…」
閉店時間を過ぎた狭い店内、助けを求めても誰もいない。
服に細工された。いつから僕を狙っていたんだろう。
匂いのせいか意識が朦朧として頭が働かない。
「狼のボスの親戚でしょう?顔を見てすぐわかったよ。可愛い顔が有名だからね」
「…あんた…誰だ……、何でそんな事…。僕を誘拐しても取引材料には…ならない……」
「大事にされてないんだね」
気持ちよさにどうでもよくなってきた。店主の濡れた指が後ろの穴に忍び込み中をほぐしていく。
「あぁん…ああ…はっ……あ…」
声が止まらない。
後ろから立ったまま体を支えられて、目の前の鏡に犯されている僕が映っている。恥ずかしくて目をそらすと店主は耳たぶを軽く噛んできて思わず目を開けてしまう。まぶたに涙がにじんできた。
「いやらしい顔だ」
「う…るさ…、あ…ぁ…もう……」
「もう、なに?」
甘い匂いのせいかいつもより感じる気がする。体内でうごめく指の刺激では物足りなくなってきた。
勃起していた僕自身から手を離してスリットからのぞくふとももに指を滑らせる。
「俺が味方になってあげる。守ってあげるよ」
何を言われているかもう理解できない。力の抜けた体をふわりと抱かれて売り物の小さな可愛いソファに座らされた。
もう服のデザインは関係ない。大胆に裾をめくられて足を大きく開かされた。
「やめろ…さわんな…」
力が入らない体で憎まれ口だけたたく。店主はガキの精一杯の抵抗なんか気にしない様子で履いているジーンズを脱いで僕の足の間に自分の体を挟む感じに近づいてきた。
肉壁を広げるように店主の肉棒が入ってきた。ミリミリと引き裂かれる感じがしたが今まで味わったことのない大きさに僕の感覚がおかしくなる。
「ぁあ…っ、は…!ん……!…」
ゆっくり抜き差しされてその度に僕は嬌声をあげる。
「俺のを抵抗なく飲み込むとは驚いたな」
勝手に納得した店主は動きを早めて店内に肉が当たる音が響く。閉じないように足を開かされて小さなソファの上で僕は店主にされるがままになっていた。
「…あ…あぁ…ん…、い…い…」
もうまぶたを開ける力も入らない。
「可愛いね。本当に何か力になるよ。俺のところに来ない?」
とろりと液を垂らしている僕の姿を見下ろしながら店主が優しく誘う。
力になると言われても僕は一般人だし、どう答えたらいいんだろう。
「気持ちいい…、もっと……」
今は欲望のままおねだりをするしかなかった。
それが店主、シムジョンスとの出会い。
今は「パパ」と呼んでいる。
あれ以来パパはほとんど手を出してこない。多分僕を試したかっただけ。
でもたまには誘ってみようかな。僕を罠にかけて騙し討ちにしたように何か策はないだろうか。
返り討ちにあいそうだけど。







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