21 / 49
交渉
しおりを挟む
数日たったが夫は帰ってこない。
状況は逐一報告が入ってくるが、こちらから何も出来ないまま時間が過ぎていく。
「分家側は姫さまを戻して結婚を白紙にしろと主張しています。姫のご両親はそんな意見は受け付けないと跳ね飛ばして、全然話が前に進まない」
「白紙に戻してどうするの?」
「改めて分家のほうから姫を差し出すとか」
「ふたつの月山家で婚姻を交換したらいいじゃない。それで生まれた子を総領にして家をひとつにまとめれば?簡単な事だと思うけど」
「嫌がらせです。秘密裏に事を運んだことを」
口元を袖で隠しながら律は小声で言った。
分家ごときが図々しい。
長い間夫婦を引き離してやり方が下品。
馬鹿な親や親戚を持つと面倒くさいと思いながら静はため息をついた。
「最近また神泉苑のまわりの治安が悪くなってきたとか。心配でございますね」
「もともとあの辺は治安悪かったじゃない。夜になると鬼が現れるとか」
本当は野盗が跋扈しているだけで取り締まれない朝廷が悪い。
噂に怯えて人気がないのを利用して話し合いの場所に選んだので治安は悪いほうがいい。
「木のような死体が無数に転がっているようです」
総帥が精気を吸う瞬間を思い出したのか、律は身震いした。
かつてはひとつの一族だったのかもしれないが、はぐれた者までは把握しきれていない。
人間も同じ苗字の連中がたくさんいる。
全部親戚という事は、全部他人と同じこと。
「この話はもういい。それより髪を梳くから鏡と櫛を持ってきて」
律に告げると、一礼して部屋から出ていく。
足音が遠のくのを確認して、静は立ち上がった。
状況は逐一報告が入ってくるが、こちらから何も出来ないまま時間が過ぎていく。
「分家側は姫さまを戻して結婚を白紙にしろと主張しています。姫のご両親はそんな意見は受け付けないと跳ね飛ばして、全然話が前に進まない」
「白紙に戻してどうするの?」
「改めて分家のほうから姫を差し出すとか」
「ふたつの月山家で婚姻を交換したらいいじゃない。それで生まれた子を総領にして家をひとつにまとめれば?簡単な事だと思うけど」
「嫌がらせです。秘密裏に事を運んだことを」
口元を袖で隠しながら律は小声で言った。
分家ごときが図々しい。
長い間夫婦を引き離してやり方が下品。
馬鹿な親や親戚を持つと面倒くさいと思いながら静はため息をついた。
「最近また神泉苑のまわりの治安が悪くなってきたとか。心配でございますね」
「もともとあの辺は治安悪かったじゃない。夜になると鬼が現れるとか」
本当は野盗が跋扈しているだけで取り締まれない朝廷が悪い。
噂に怯えて人気がないのを利用して話し合いの場所に選んだので治安は悪いほうがいい。
「木のような死体が無数に転がっているようです」
総帥が精気を吸う瞬間を思い出したのか、律は身震いした。
かつてはひとつの一族だったのかもしれないが、はぐれた者までは把握しきれていない。
人間も同じ苗字の連中がたくさんいる。
全部親戚という事は、全部他人と同じこと。
「この話はもういい。それより髪を梳くから鏡と櫛を持ってきて」
律に告げると、一礼して部屋から出ていく。
足音が遠のくのを確認して、静は立ち上がった。
0
あなたにおすすめの小説
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
皆さんは呪われました
禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか?
お勧めの呪いがありますよ。
効果は絶大です。
ぜひ、試してみてください……
その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。
最後に残るのは誰だ……
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる