2 / 25
三姉妹~登場
しおりを挟む
「未知!姉さん!!カードが使えなくなっちゃった!」
デスクに並ぶパソコンに囲まれていた未知は、部屋の入り口のほうをちらりと見る。
「美加、わかるように説明してください」
よほどあわてたのか、いつもは完璧にメイクをして緩いウェーブの髪をまとめて露出の高い服を着ているのに、今はピンクのジャージ姿でわめいている。
「限度額超えたんじゃないっすか?」
隣接するソファに座って、角川がテーブルにノートパソコンと何かの書類を並べている。これから打ち合わせでもあるのだろうが、美加に空気を読む能力はない。
祖父は戦争で一財産を築いた。父は金主として闇金に融資して法外な金利で富を膨らませた。
決して綺麗な金ではない。父親は娘に家業を継がせたくなかったようだが、未知の祖父は期待していたようだった。
「ムショの壁をふらふら歩いているようなものだ。少しの刺激で壁の中に倒れたら終わる」
三姉妹の長女だからか、自分の前でぽつりぽつり親は仕事の話をしていた。
子どもに興味を持つなと言っても、親が何を言っているのか知りたくなる。
ただ、下の次女・三女は『お金持ちの家』という漠然とした認識しかない。
「銀行で止まっているんじゃない?一体何を買ったんですか」
パソコン画面から視線を外して妹を見た。
「ゲームで少しずつ課金していただけだよお」
未知は小さなため息をつく。
「そのレベルのカードで小口の支払いが何度もあったら銀行が不審がって止めるわ。電話してみなさい。早くしないと永久に止まりますよ」
こちらに文句が来るのを軽い脅しでガードして未知は再びデスクに向かう。
「あれ、納得してないでしょう」
一部始終を横で聞いていた角川が、ようやく声を発せるという感じでつぶやいた。
「仕方ありません」
美加は姉に対抗心を燃やしているが、姉から見たらかわいい妹のようだった。
突き抜けるようにいい天気だった日の夜は少し肌寒い。
もうすぐ真夏だが、若い男がスプリングコートを羽織ってホテルの廊下を歩いている。
チャイムをならすと鍵が開けられて、白銀直樹が笑みを浮かべて部屋に招き入れた。
バスローブ姿の白銀は、ソファに座って片手で林を招いて、膝の上に乗せた。
「どうだった。金子は」
白銀の会社に入社した林秀行。最終面接で一目惚れした白銀はこの一回り下の青年を寵愛している。
「いつもどおりパソコン画面とにらめっこしてましたよ。感情が滅多に外に出ない女なので、何をどう運用しているのか今のところさっぱり」
白銀のふとももに乗って、服を着たままお互い高ぶったそれをこすりつけながら話を続ける。
「時代に合わせて違うシノギをしているのはわかるんだが」
「どうしてそんな事知りたいんですか?」
何気ない問に、白銀は林の苦しそうな股間を思い切り掴んだ。
「…あっ……」
心地よい刺激に林の顎が上がる。
「余計なことはしらなくていい」
ソファに押し倒して、白銀は自身の白いローブを脱ぎ、林のネクタイをするりと外した。
「あ…あぁ…」
白銀の舌が林の体を舐め回す。唾液に濡れた舌は林の思考を溶かすには有効だった。
デスクに並ぶパソコンに囲まれていた未知は、部屋の入り口のほうをちらりと見る。
「美加、わかるように説明してください」
よほどあわてたのか、いつもは完璧にメイクをして緩いウェーブの髪をまとめて露出の高い服を着ているのに、今はピンクのジャージ姿でわめいている。
「限度額超えたんじゃないっすか?」
隣接するソファに座って、角川がテーブルにノートパソコンと何かの書類を並べている。これから打ち合わせでもあるのだろうが、美加に空気を読む能力はない。
祖父は戦争で一財産を築いた。父は金主として闇金に融資して法外な金利で富を膨らませた。
決して綺麗な金ではない。父親は娘に家業を継がせたくなかったようだが、未知の祖父は期待していたようだった。
「ムショの壁をふらふら歩いているようなものだ。少しの刺激で壁の中に倒れたら終わる」
三姉妹の長女だからか、自分の前でぽつりぽつり親は仕事の話をしていた。
子どもに興味を持つなと言っても、親が何を言っているのか知りたくなる。
ただ、下の次女・三女は『お金持ちの家』という漠然とした認識しかない。
「銀行で止まっているんじゃない?一体何を買ったんですか」
パソコン画面から視線を外して妹を見た。
「ゲームで少しずつ課金していただけだよお」
未知は小さなため息をつく。
「そのレベルのカードで小口の支払いが何度もあったら銀行が不審がって止めるわ。電話してみなさい。早くしないと永久に止まりますよ」
こちらに文句が来るのを軽い脅しでガードして未知は再びデスクに向かう。
「あれ、納得してないでしょう」
一部始終を横で聞いていた角川が、ようやく声を発せるという感じでつぶやいた。
「仕方ありません」
美加は姉に対抗心を燃やしているが、姉から見たらかわいい妹のようだった。
突き抜けるようにいい天気だった日の夜は少し肌寒い。
もうすぐ真夏だが、若い男がスプリングコートを羽織ってホテルの廊下を歩いている。
チャイムをならすと鍵が開けられて、白銀直樹が笑みを浮かべて部屋に招き入れた。
バスローブ姿の白銀は、ソファに座って片手で林を招いて、膝の上に乗せた。
「どうだった。金子は」
白銀の会社に入社した林秀行。最終面接で一目惚れした白銀はこの一回り下の青年を寵愛している。
「いつもどおりパソコン画面とにらめっこしてましたよ。感情が滅多に外に出ない女なので、何をどう運用しているのか今のところさっぱり」
白銀のふとももに乗って、服を着たままお互い高ぶったそれをこすりつけながら話を続ける。
「時代に合わせて違うシノギをしているのはわかるんだが」
「どうしてそんな事知りたいんですか?」
何気ない問に、白銀は林の苦しそうな股間を思い切り掴んだ。
「…あっ……」
心地よい刺激に林の顎が上がる。
「余計なことはしらなくていい」
ソファに押し倒して、白銀は自身の白いローブを脱ぎ、林のネクタイをするりと外した。
「あ…あぁ…」
白銀の舌が林の体を舐め回す。唾液に濡れた舌は林の思考を溶かすには有効だった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
溺愛執事と誓いのキスを
水無瀬雨音
BL
日本有数の大企業の社長の息子である周防。大学進学を機に、一般人の生活を勉強するため一人暮らしを始めるがそれは建前で、実際は惹かれていることに気づいた世話係の流伽から距離をおくためだった。それなのに一人暮らしのアパートに流伽が押し掛けてきたことで二人での生活が始まり……。
ふじょっしーのコンテストに参加しています。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる