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それをやる!?

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「蓮くーん、今日こそ一緒に帰ろ」
放課後、いつものように律が教室に現れた。

ーこいつにはちゃんと言っとかないといけないな。

「いいよ、帰ろう」

「ホント?やった!」

律は笑顔で手を差し伸べてくるが、それを軽く払って蓮は出入り口に向かったが、そこには通行を塞ぐように堀木 颯馬が立ちふさがっていた。

ーうわあ、またかようぜえ。

「何だよ。昼間の続き?」
蓮が頭をかきながら言う。

「颯馬あ、順番って言っただろう?」

後ろから律のダルそうな声が聞こえた。

ーいや、そもそもお前が俺にちょっかい出してきたのが原因だろ!!

そう思いながら振り返るが、後ろから肩をつかまれて颯馬に押し退けられた。

眼鏡は同じだが髪が乱れている。ここに来るまでに一戦まみえてきたんだろうか。知らんけど。

ドン!

颯馬はつかつかと律一直線に近づいて、右手で壁を強く叩いて律の頬をかすめた。

ーか、壁ドン!?

懐かしいと思いつつ、蓮はふたりの顔を交互に見る。

「そんなに俺が嫌いか?」

颯馬の質問に、半笑いの律がまだ残っている同級生を指で示した。

「そういうお前が嫌いだよ、颯馬」

ーああどうするどうなる、止めたほうがいいのか!?
だが気がついたら立ち位置が主役だったのにモブに変更になっている。

帰るか。

ー勝手に好きなだけ痴話喧嘩してくれ。

「じゃあ宣言しろよ!北川 蓮のことが好きだって!」

ーだから俺を巻き込むなああああああ!!!

蓮は表情筋のすべてを使って顔を歪めた。

「お前は俺のものになっていればいいんだ律」

ーそうなの?

少し冷静になった颯馬の顔をぐりんと見る。

残っていたクラスメイトは、さっきの颯馬の怒声に察して教室からいなくなっていた。
教室にいるのは3人だけ。

「前からお前のものになってるじゃん」

ーなに?

「…どういうことだ」

ーどういうことだ

優しい微笑を浮かべた律の指が颯馬の頬をすべる。

「俺が体を許しているのは颯馬だけ。それが答えだよ」

ーひいいいいいいいいぃぃぃ!!やっぱりそうなんですね…ってことは俺あて馬じゃん律こいつ!!

今度こそ帰る。やってられっか。

カバンを手に取り、上半身を起こしてチラリとふたりに視線を送ると、颯馬が壁から手をはなして律の頬を両手ではさんで唇を重ねていた。

律は特に抵抗せず、自分にかかる重みを颯馬の腰を掴んで軽減している。

「……」

ー俺まだいるんですけど。

この先に起こる事態を見たくなくて、その場から逃げた。

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