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玩具
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佐伯の中で機械がうなる。
「あ…っ、う…!」
がくがくと膝が震えて立っていられない。長谷川に腰を抱かれて何とか体勢を保っている。
「嫌だ…止めて…」
「電池切れまで耐えろ」
「むり……おねが…あ……!」
体がびくりと跳ねる。数時間これに苦しめられているので精神的に限界だった。
狭くて蒸し暑いトイレの個室で、汗で顔にへばりつく佐伯の髪を長谷川が梳いて意地の悪い顔で笑みを浮かべている。
外で足音がして誰か入ってくる気配を感じて佐伯は口を手で覆った。
「ん…っう…」
「声出せば?」
耳元で囁かれて息がかかる。思い切り睨みつけても長谷川は涼しい顔をしていて効果はない。
「ふ…う…、んん……」
また勃ち始めてしまったそれが長谷川の腹に当たっている。
用を足した男が出ていく足音を確認して佐伯は逃げようともがいた。
「いい加減にしろ!なんでこんな事するんだよ…!」
「お前は俺達の玩具だからだ」
「そんなの昔の話だろ…」
「俺がいなかったらお前どうしてたんだ。こんな狭い街で仕事しないでフラフラしてたのか?」
痛い所を突かれて佐伯は反論出来なくなる。
「帰ってきたらこうなる事はわかってただろう。それとも期待してた?」
くっきりした骨格の顔を近づけて佐伯の唇を奪った。
「ん…」
それだけで佐伯の力が抜ける。
唇が離れると急にローターが止まった。
「そこに手をついて力抜け」
壁に手をついて膝までズボンを下げられる。尻を長谷川のほうに突き出す姿勢に羞恥心で顔が赤くなった。
「力抜けって」
中に指を入れて取り出すのかと思っていたが何故か勃起した佐伯自身を握ってしごき始めた。
「ちょ…、何して…やだ、またイッちゃう…」
「また?」
にやにやしながら長谷川は言質を取る。
個室にスーツ姿の大人がふたり、卑猥な情事に佐伯は振り回されている。
「うっ…、あ……」
射精する瞬間全身に力を込めると、穴からするりとローターが出てきて長谷川が受け止めた。
「ほら、取れたぞ」
呼吸が整わず、暑さとだるさで佐伯は頭がくらくらしてきて目の前が真っ暗になった。
次につながる意識は、長谷川のマンションのベッドの上だった。エアコンが効いた涼しい室内で裸で横たわり体はさっぱりしていて違和感がない。
隣のリビングから話し声が聞こえて耳を澄ました。
「高橋の奴、ガサ入ったらしいぞ」
いつも冷静な水森が不安そうに言う。
「あんな違法営業しているからだ。ど深夜にオーバーステイの外国人使って酔っぱらい相手の風俗だろ?後藤さんに詰められるし散々だ。俺も詳しくは知らなかったし知りたくもなかったが密告されるなんて脇が甘い高橋が悪い」
佐伯が想定していた展開と違う事になっている。
「会長にはどう説明する?」
「今回は会長には関係ない。店を畳んで街から逃げろと助言するしかできない。ぼけっとしてたら双竜会に潰される。巻き添えはごめんだ」
話の内容はよく理解できないが社会的に伊藤を潰す事には成功したようだった。
うつ伏せになりクッションに顔を沈めながら佐伯は聞き耳を立てて続きを聞いている。
「問題は後藤さんだな」
「こういう時のための佐伯だ。タダ飯食わしているわけじゃない」
長谷川が地獄の裁判長のように感じて佐伯は目を開けた。
「それだけで済むか?また面子がどうのと長時間話聞かされるぞ」
「命があるだけマシだと思え。最悪の場合会長に仲介を頼むかもしれないが、事態がどう転がるかわからないからとりあえず佐伯を差し出して様子見だ」
また誰かにこの体を捧げるのか。伊藤は潰せたがその代償が大きすぎる気がする。
寝室のドアが開いて水森と長谷川が入ってきた。
「起きてるか?」
「…」
佐伯は小さく頷く。
枕元に昼と同じスーツ姿の長谷川が座る。その向こうに白いシャツにスラックス姿の水森が誰かと電話で話していた。
話を整理してみると、佐伯が密告したことはバレていないようだった。
さすが黒部。仕事は完璧だと思った。自分がいなくても後はまかせられるだろう。
「出かけるから服を着ろ。連れていってやるからお前は黙って座っていればいい」
「…どこ行くの?」
佐伯の質問には答えず、クローゼットからスーツを取ってベッドに投げる。
タクシーに乗せられて連れていかれたのはキャバクラだった。てっきりホテルに行くものだと思いこんでいた佐伯は一瞬固まる。
話は通っているのか入り口で黒服に後藤の名を出すと、すぐに席に通された。
ざわつく店内の奥、キャストの女性をはべらしてソファに足を開いて座っている少し年上の男がいた。
「来たか」
ヘルプのキャストを下がらせて指名している一人だけ隣に残して席を空ける。
アシメに分けた髪を耳にかけて半分は前に流した長い髪が顔をおおうように流れる。細めのスーツにノーネクタイの今風の優男に見えるこの男が後藤か。
その美貌に見とれていると彼の隣に座らされて、長谷川と水森は一人がけの椅子にテーブルを挟んで座った。
「好きなの飲んで」
黒服がテーブルの上を素早く片付けて新しいグラスをセッティングしている。ボトルは置いてあるが後藤自身は酒を飲んでいないようだった。
「いただきます」
とりあえず1杯ずつドリンクを頼む。
「今どきケツモチなんかしないけど話通してもらわないといざって時助けてあげられないよ」
自分のグラスを手に取り気軽にひとりずつ軽く乾杯していく後藤と、両手でグラスを持ってうやうやしくそれをうける長谷川たち。
どうしていいのかわからない佐伯はとりあえず一口飲んで黙っていた。
「俺の所にも警察が来たけど、何も知らないし話せる事なんかなくて困ったよ。ひとこと挨拶があったら力になれたのに心証悪くなったじゃないか」
「それが自分たちも初耳でした。ご迷惑をかけた後ですが今さらながら後藤さんに助力をいただきたくて」
「えーっと。佐伯くんだっけ?」
後藤は言い訳など聞いていない。長谷川は事の顛末の落とし所を佐伯に押し付けるだけの建前をならべているだけだった。
しばらく後藤の話が延々と続く。どうせ佐伯を抱いて終わるだけと思うと無駄な時間だとここにいる全員思っているが後藤は上機嫌に笑っていた。
「あ…っ、う…!」
がくがくと膝が震えて立っていられない。長谷川に腰を抱かれて何とか体勢を保っている。
「嫌だ…止めて…」
「電池切れまで耐えろ」
「むり……おねが…あ……!」
体がびくりと跳ねる。数時間これに苦しめられているので精神的に限界だった。
狭くて蒸し暑いトイレの個室で、汗で顔にへばりつく佐伯の髪を長谷川が梳いて意地の悪い顔で笑みを浮かべている。
外で足音がして誰か入ってくる気配を感じて佐伯は口を手で覆った。
「ん…っう…」
「声出せば?」
耳元で囁かれて息がかかる。思い切り睨みつけても長谷川は涼しい顔をしていて効果はない。
「ふ…う…、んん……」
また勃ち始めてしまったそれが長谷川の腹に当たっている。
用を足した男が出ていく足音を確認して佐伯は逃げようともがいた。
「いい加減にしろ!なんでこんな事するんだよ…!」
「お前は俺達の玩具だからだ」
「そんなの昔の話だろ…」
「俺がいなかったらお前どうしてたんだ。こんな狭い街で仕事しないでフラフラしてたのか?」
痛い所を突かれて佐伯は反論出来なくなる。
「帰ってきたらこうなる事はわかってただろう。それとも期待してた?」
くっきりした骨格の顔を近づけて佐伯の唇を奪った。
「ん…」
それだけで佐伯の力が抜ける。
唇が離れると急にローターが止まった。
「そこに手をついて力抜け」
壁に手をついて膝までズボンを下げられる。尻を長谷川のほうに突き出す姿勢に羞恥心で顔が赤くなった。
「力抜けって」
中に指を入れて取り出すのかと思っていたが何故か勃起した佐伯自身を握ってしごき始めた。
「ちょ…、何して…やだ、またイッちゃう…」
「また?」
にやにやしながら長谷川は言質を取る。
個室にスーツ姿の大人がふたり、卑猥な情事に佐伯は振り回されている。
「うっ…、あ……」
射精する瞬間全身に力を込めると、穴からするりとローターが出てきて長谷川が受け止めた。
「ほら、取れたぞ」
呼吸が整わず、暑さとだるさで佐伯は頭がくらくらしてきて目の前が真っ暗になった。
次につながる意識は、長谷川のマンションのベッドの上だった。エアコンが効いた涼しい室内で裸で横たわり体はさっぱりしていて違和感がない。
隣のリビングから話し声が聞こえて耳を澄ました。
「高橋の奴、ガサ入ったらしいぞ」
いつも冷静な水森が不安そうに言う。
「あんな違法営業しているからだ。ど深夜にオーバーステイの外国人使って酔っぱらい相手の風俗だろ?後藤さんに詰められるし散々だ。俺も詳しくは知らなかったし知りたくもなかったが密告されるなんて脇が甘い高橋が悪い」
佐伯が想定していた展開と違う事になっている。
「会長にはどう説明する?」
「今回は会長には関係ない。店を畳んで街から逃げろと助言するしかできない。ぼけっとしてたら双竜会に潰される。巻き添えはごめんだ」
話の内容はよく理解できないが社会的に伊藤を潰す事には成功したようだった。
うつ伏せになりクッションに顔を沈めながら佐伯は聞き耳を立てて続きを聞いている。
「問題は後藤さんだな」
「こういう時のための佐伯だ。タダ飯食わしているわけじゃない」
長谷川が地獄の裁判長のように感じて佐伯は目を開けた。
「それだけで済むか?また面子がどうのと長時間話聞かされるぞ」
「命があるだけマシだと思え。最悪の場合会長に仲介を頼むかもしれないが、事態がどう転がるかわからないからとりあえず佐伯を差し出して様子見だ」
また誰かにこの体を捧げるのか。伊藤は潰せたがその代償が大きすぎる気がする。
寝室のドアが開いて水森と長谷川が入ってきた。
「起きてるか?」
「…」
佐伯は小さく頷く。
枕元に昼と同じスーツ姿の長谷川が座る。その向こうに白いシャツにスラックス姿の水森が誰かと電話で話していた。
話を整理してみると、佐伯が密告したことはバレていないようだった。
さすが黒部。仕事は完璧だと思った。自分がいなくても後はまかせられるだろう。
「出かけるから服を着ろ。連れていってやるからお前は黙って座っていればいい」
「…どこ行くの?」
佐伯の質問には答えず、クローゼットからスーツを取ってベッドに投げる。
タクシーに乗せられて連れていかれたのはキャバクラだった。てっきりホテルに行くものだと思いこんでいた佐伯は一瞬固まる。
話は通っているのか入り口で黒服に後藤の名を出すと、すぐに席に通された。
ざわつく店内の奥、キャストの女性をはべらしてソファに足を開いて座っている少し年上の男がいた。
「来たか」
ヘルプのキャストを下がらせて指名している一人だけ隣に残して席を空ける。
アシメに分けた髪を耳にかけて半分は前に流した長い髪が顔をおおうように流れる。細めのスーツにノーネクタイの今風の優男に見えるこの男が後藤か。
その美貌に見とれていると彼の隣に座らされて、長谷川と水森は一人がけの椅子にテーブルを挟んで座った。
「好きなの飲んで」
黒服がテーブルの上を素早く片付けて新しいグラスをセッティングしている。ボトルは置いてあるが後藤自身は酒を飲んでいないようだった。
「いただきます」
とりあえず1杯ずつドリンクを頼む。
「今どきケツモチなんかしないけど話通してもらわないといざって時助けてあげられないよ」
自分のグラスを手に取り気軽にひとりずつ軽く乾杯していく後藤と、両手でグラスを持ってうやうやしくそれをうける長谷川たち。
どうしていいのかわからない佐伯はとりあえず一口飲んで黙っていた。
「俺の所にも警察が来たけど、何も知らないし話せる事なんかなくて困ったよ。ひとこと挨拶があったら力になれたのに心証悪くなったじゃないか」
「それが自分たちも初耳でした。ご迷惑をかけた後ですが今さらながら後藤さんに助力をいただきたくて」
「えーっと。佐伯くんだっけ?」
後藤は言い訳など聞いていない。長谷川は事の顛末の落とし所を佐伯に押し付けるだけの建前をならべているだけだった。
しばらく後藤の話が延々と続く。どうせ佐伯を抱いて終わるだけと思うと無駄な時間だとここにいる全員思っているが後藤は上機嫌に笑っていた。
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