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第2話 ホトトギス
男同士
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カーテンが開きっぱなしの俺の部屋を月明かりがほのかに照らす。
壁側にベッドを設置して、室内をできるだけ広く感じるようにタンスやデスクを壁側に置いていた。
あとは何もない。
吸い付くような若くて白い肌に、酒を飲んだとはいえ最後の一線を超えるとは思わなかった。
「ん…、う…」
月明かりに浮かぶ胸の突起を口に含んだだけで山中は体をくねらせて悦ぶ。
「気持ちいいの?」
「あ…ダメ…、話さないで……」
「どうして?」
「歯が……当たって…」
「それで感じるんだ」
目の前で痴態をさらす男。
こいつだけは例外だ。俺はゲイじゃない。
「ふうん、ここが感じる所なんだ」
「あっ…、やめ……!…ぅ…」
山中の甘い喘ぎに、俺のモノが膨張してきた。
おいおい嘘だろう。
相手は男だぞ。
もう自分でも何をしているのかわからなくなってきた。酒のせいにしたくても、この体に吸いよせられてしまう。
「くそっ…」
俺が立ち上げた農村開発企画をあんなチンピラに乗っ取られるとは。
いや。花井君の友人だったし、疑うところはなかった。
「…佐々木さん」
「あ…え?」
考え事をして急に動かなくなった俺を山中は眉をひそめて見ている。
「ここ」
毛の薄い下半身の真ん中がヒクヒクと刺激を求めている。
「痛く…ないの?」
「大丈夫です」
そう言って山中は指で大きく穴を開く。
「…入れて…、ください……」
躊躇していると、山中の手が半立ちの俺自身を激しくしごきだした。
「おい…やめ…っ」
もう片方の手で、床に転がっているカバンからゴムを取り出して、歯で噛んで袋を開ける。
俺がイク寸前で手を離して、ゴムをするすると装着していく。
その手際の良さが、この行為が初めてではない事を証明しているが、うっとりした瞳で誘われると逆らうことが出来なかった。
筋肉のない細く美しい体。
俺は初めて男を抱いた。
「…あぁ……」
山中のかすかな喘ぎが耳をかすめる。
よくやく欲しかった刺激を体内に埋め込まれ、山中は夢中に腰を動かしていた。
「はぁ、はぁ……、佐々木さん、動いて…」
女のそれとは比べ物にならない締めつけに佐々木は歓喜する。
「ふ…んん、あ……大き…」
目を閉じている佐々木が、男が喜びそうな言葉を吐く。
「どうせ挨拶がてら誰にでも言ってんだろ」
「そんな…そんなこと……ない…で…す」
山中の瞳がうるんでくるのを見て、余計なことを言ったと後悔した。
「ごめん、失言だった」
「いえ…そんな…、あ……ん」
山中が俺に足を絡めて、俺は腰をふり続けた。
夏が近い夜は独特な空気感がある。
『盗聴器しかける必要ないかもね、これは』
ふわりとした黒いワンピースに短めのカーディガンを着ている。完全に闇に溶け込んで佐伯洋子がため息をつく。
篠宮の秘書と称してここに来たときはスーツ姿だった。前髪を眉あたりで揃え、後ろを無理やり結んでいた。
今はアシンメトリーに髪を分けてショートにしている。
見つからないように死角に隠れて佐伯は男ふたりの情事を聞くハメになった。仕事とはいえ、無に近い境地におちいる。
外に漏れる声をICレコーダーで録音する。全ての行為が終わるまで佐伯は動くことが出来なかった。
どうやって篠宮に報告しよう。レコーダーをデスクにたたきつけて黙っていようか。
壁側にベッドを設置して、室内をできるだけ広く感じるようにタンスやデスクを壁側に置いていた。
あとは何もない。
吸い付くような若くて白い肌に、酒を飲んだとはいえ最後の一線を超えるとは思わなかった。
「ん…、う…」
月明かりに浮かぶ胸の突起を口に含んだだけで山中は体をくねらせて悦ぶ。
「気持ちいいの?」
「あ…ダメ…、話さないで……」
「どうして?」
「歯が……当たって…」
「それで感じるんだ」
目の前で痴態をさらす男。
こいつだけは例外だ。俺はゲイじゃない。
「ふうん、ここが感じる所なんだ」
「あっ…、やめ……!…ぅ…」
山中の甘い喘ぎに、俺のモノが膨張してきた。
おいおい嘘だろう。
相手は男だぞ。
もう自分でも何をしているのかわからなくなってきた。酒のせいにしたくても、この体に吸いよせられてしまう。
「くそっ…」
俺が立ち上げた農村開発企画をあんなチンピラに乗っ取られるとは。
いや。花井君の友人だったし、疑うところはなかった。
「…佐々木さん」
「あ…え?」
考え事をして急に動かなくなった俺を山中は眉をひそめて見ている。
「ここ」
毛の薄い下半身の真ん中がヒクヒクと刺激を求めている。
「痛く…ないの?」
「大丈夫です」
そう言って山中は指で大きく穴を開く。
「…入れて…、ください……」
躊躇していると、山中の手が半立ちの俺自身を激しくしごきだした。
「おい…やめ…っ」
もう片方の手で、床に転がっているカバンからゴムを取り出して、歯で噛んで袋を開ける。
俺がイク寸前で手を離して、ゴムをするすると装着していく。
その手際の良さが、この行為が初めてではない事を証明しているが、うっとりした瞳で誘われると逆らうことが出来なかった。
筋肉のない細く美しい体。
俺は初めて男を抱いた。
「…あぁ……」
山中のかすかな喘ぎが耳をかすめる。
よくやく欲しかった刺激を体内に埋め込まれ、山中は夢中に腰を動かしていた。
「はぁ、はぁ……、佐々木さん、動いて…」
女のそれとは比べ物にならない締めつけに佐々木は歓喜する。
「ふ…んん、あ……大き…」
目を閉じている佐々木が、男が喜びそうな言葉を吐く。
「どうせ挨拶がてら誰にでも言ってんだろ」
「そんな…そんなこと……ない…で…す」
山中の瞳がうるんでくるのを見て、余計なことを言ったと後悔した。
「ごめん、失言だった」
「いえ…そんな…、あ……ん」
山中が俺に足を絡めて、俺は腰をふり続けた。
夏が近い夜は独特な空気感がある。
『盗聴器しかける必要ないかもね、これは』
ふわりとした黒いワンピースに短めのカーディガンを着ている。完全に闇に溶け込んで佐伯洋子がため息をつく。
篠宮の秘書と称してここに来たときはスーツ姿だった。前髪を眉あたりで揃え、後ろを無理やり結んでいた。
今はアシンメトリーに髪を分けてショートにしている。
見つからないように死角に隠れて佐伯は男ふたりの情事を聞くハメになった。仕事とはいえ、無に近い境地におちいる。
外に漏れる声をICレコーダーで録音する。全ての行為が終わるまで佐伯は動くことが出来なかった。
どうやって篠宮に報告しよう。レコーダーをデスクにたたきつけて黙っていようか。
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