上 下
134 / 154
最終章 魔王をその身に宿す少年

134.果てるドーン

しおりを挟む
 ドーンの股間に貪りつくように顔を押し付けている明らかにノルトと思われる小さな頭が見えた。

 それが揺れ動くたびにえもいわれぬ快感が押し寄せる。

 時折、少し顔を離して呼吸をする音がし、またぴちゃぴちゃと淫靡な音が耳に届く。

 顔を下に向けてノルトを注意したいのに、意に反して彼女の頭はむしろ仰け反るばかり。

「や、やめ……ろ、ノル……」

 なんとか声を絞り出して言うが、徐々にドーンの全身に快感の波が押し寄せて来る。

 ノルトの温かい舌が最後に這うと体を震わせ、腰を浮かせてしまった。

「んああっ」

 そこから数秒、時が止まったかのようになり、やがてドーンの腰が落ち、彼女の荒い呼吸だけがその場に響き渡る。

(なにを……なにをノルト相手に……なんでイッてるんじゃ儂は……)

 そんな自己嫌悪に陥っていたのも束の間、またゴソゴソと動くノルトに気付いて焦りだす。

「やめ、ノ、ノル……も、やめ……」

 懇願するように言うとノルトの体がふっと離れる。

 ほっとしたのも束の間、次の瞬間、彼の顔はドーンの目の前にあった。

「……!」

 驚いて言葉が出ない。

 そのつぶらな瞳は紫に染まり、明らかに正常ではない。

 淫らな色の瞳が彼女の目を捉えるとそのまま顔を近付けた。

「だ……や、やめ……んん」

 ノルトらしい、優しいキスだった。

(ノルト……)

 自分でも知らぬ間にうっとりとしかけた次の瞬間、ノルトの両手が彼女の頭を拘束する様に挟む。

 恋人同士のようだったそのソフトなキスは、突如として両手で頭を押さえ込まれ、舌を捩じ込まれる激しいものに変わった。

 口を離した瞬間にやめろと言いたいが息をするので精一杯。そんな、まるでドーンを食らい尽くすかのような口づけだった。

 ようやく口を離したノルトはドーンの匂いを嗅ぐ様に、顔の横に顔を押し付ける。

 更にさっき達したばかりの余韻がジンジンと残る秘部に何かが当たる。勿論それはノルトの男性部分だ。

「待……それ、は……」

 ダメだ、そう言おうとするが呂律が回らず、まともに喋れない。

「ドーンさん……ドーンさん……」

 耳元でノルトの囁きが聞こえる。

 ノルトなりに力一杯ドーンの体を抱きしめる、その力が魔族のドーンには丁度心地良い強さ。

 ずっと体を緊張させていたがやがて観念したように力を抜いた。

(儂は、別に構わん)
(が、ノルトは初めてが儂でいいのか……)

 その時、ノルトが彼女に侵入してきたのがわかった。

(ああ……やってしまった……)
(お前にはアンナがいる、じゃろうに)

 数分と経たず、年齢にそぐわぬ慣れた手つきと腰つきで、ドーンは再び達してしまった。

 それからすぐにノルトも彼女の上で仰け反り、しばらく惚けた顔を見せたかと思うと、バタリとドーンの首元に顔を埋めた。

「ハァハァ……」
「ハァ、ハァ……」

 ふたりの呼吸が交互に響く。

(お前、初めてじゃなかったのか)
(ひょっとしてあの日クリニカと……)

 デルピラでクリニカからノルトを救った日の事を思い出す。

 そこでハッとした。

(やられた……ノルトがこんな事をする訳がなかろう)

 そこに気付いた時、首元でノルトがブツブツと何かを言っているのが聞こえた。

(ノルト……何を言って……?)

 体をいつまでも覆う快感に抗いながらノルトの呟きに集中しようとした。

「に……じ」

(にじ?)

「ドーン……に、じ……だ……ドー、ン……指輪……使え……」

(にじ……指輪を使え……)

 頭の中で咀嚼する。

(虹の、指輪!)

 遂にドーンの目に力が籠った。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...