14 / 85
半端エルフ
しおりを挟む
人で賑わう朝の市場。
幼い頃から母、ルリコに手を引かれて連れてこられた市場だ。
だから、ここに店を出す人達は、大抵顔見知りだ。
「あら、シェナ!!どっかにお出かけかい?」
「おはよう、おばさん。ちょっとギルドに用事」
「おう!シェナ、また今度、畑仕事手伝ってくれよ」
「今度ね」
「シェナちゃん。焼きたてのパンがあるんだけど、どうだい?」
「ありがとう、おじさん。用事が済んだら寄らせもらうよ」
買い物がてら市場を通ると、市場で店を出している、おばさんやおじさんがシェナに声をかけてくる。
ギルド『龍の宿り木』の前に着く。
だが、ギルドから出て来た人達の何人かは、シェナを見て訝しむような顔をする。
気にしないフリをしてギルドに入ると、何人かの若者がシェナを見て訝しむような顔をする。
こっちを見ては周りとヒソヒソ話し。
あまり気分の良いものではない。
「おい、半端エルフだ」
「ギルド辞めんじゃなかったのか」
と、言うか、ヒソヒソ話し聞こえているんですけど。
『半端エルフ』
その言葉がシェナの耳に届く。
強い魔力を持つはずのエルフの血を引きながら、並の魔力しかない中途半端なエルフ。
シェナを軽蔑するあだ名だ。
「いや、確か、パーティーで問題を起こしてギルドも辞めさせられそうになったのを、ギルドに泣き寝入りしたらしいぜ?」
「え、マジで?」
「らしいぜ?マリリちゃんがそう言っていたぜ」
また、あの受付嬢か。
しかも、随分話しがねじ曲がっている。
身の周りを整える為に2日ギルドに顔を出さなかったのが不味かったみたいだ。
市場ではそんなに変わった様子は無かったが、ギルド内でのシェナの視線が大分変わっている。
特にギルドに入って間もない新入りからの、蔑みや見下すような目でシェナを見ている。
まぁ、Aランクのパーティーに所属する前から、母親繋がりでギルドマスターやギルドの古株であるアーシアさんやロベルトさんやエマさんに何かと可愛がられている自分を面白く思わない輩も少なくは無かった。
だから、無視するか。
蔑みや妬みの目は不本意ながら慣れている。
こっちに直接的な被害は今のところは無い。
ギルドマスターが帰って来るまでの辛抱だと、割り切る。
ヒソヒソ話しと視線を無視して、受付に向かう。
「あれぇ?なんでここに居るんですかぁ?」
受付を陣取る受付嬢マリリ。
「・・・・・」
日、改めようかな。
思わず遠い目をしてしまうシェナだった。
幼い頃から母、ルリコに手を引かれて連れてこられた市場だ。
だから、ここに店を出す人達は、大抵顔見知りだ。
「あら、シェナ!!どっかにお出かけかい?」
「おはよう、おばさん。ちょっとギルドに用事」
「おう!シェナ、また今度、畑仕事手伝ってくれよ」
「今度ね」
「シェナちゃん。焼きたてのパンがあるんだけど、どうだい?」
「ありがとう、おじさん。用事が済んだら寄らせもらうよ」
買い物がてら市場を通ると、市場で店を出している、おばさんやおじさんがシェナに声をかけてくる。
ギルド『龍の宿り木』の前に着く。
だが、ギルドから出て来た人達の何人かは、シェナを見て訝しむような顔をする。
気にしないフリをしてギルドに入ると、何人かの若者がシェナを見て訝しむような顔をする。
こっちを見ては周りとヒソヒソ話し。
あまり気分の良いものではない。
「おい、半端エルフだ」
「ギルド辞めんじゃなかったのか」
と、言うか、ヒソヒソ話し聞こえているんですけど。
『半端エルフ』
その言葉がシェナの耳に届く。
強い魔力を持つはずのエルフの血を引きながら、並の魔力しかない中途半端なエルフ。
シェナを軽蔑するあだ名だ。
「いや、確か、パーティーで問題を起こしてギルドも辞めさせられそうになったのを、ギルドに泣き寝入りしたらしいぜ?」
「え、マジで?」
「らしいぜ?マリリちゃんがそう言っていたぜ」
また、あの受付嬢か。
しかも、随分話しがねじ曲がっている。
身の周りを整える為に2日ギルドに顔を出さなかったのが不味かったみたいだ。
市場ではそんなに変わった様子は無かったが、ギルド内でのシェナの視線が大分変わっている。
特にギルドに入って間もない新入りからの、蔑みや見下すような目でシェナを見ている。
まぁ、Aランクのパーティーに所属する前から、母親繋がりでギルドマスターやギルドの古株であるアーシアさんやロベルトさんやエマさんに何かと可愛がられている自分を面白く思わない輩も少なくは無かった。
だから、無視するか。
蔑みや妬みの目は不本意ながら慣れている。
こっちに直接的な被害は今のところは無い。
ギルドマスターが帰って来るまでの辛抱だと、割り切る。
ヒソヒソ話しと視線を無視して、受付に向かう。
「あれぇ?なんでここに居るんですかぁ?」
受付を陣取る受付嬢マリリ。
「・・・・・」
日、改めようかな。
思わず遠い目をしてしまうシェナだった。
11
お気に入りに追加
591
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に巻き込まれたおばあちゃん
夏本ゆのす(香柚)
ファンタジー
高校生たちの異世界召喚にまきこまれましたが、関係ないので森に引きこもります。
のんびり余生をすごすつもりでしたが、何故か魔法が使えるようなので少しだけ頑張って生きてみようと思います。
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
転生少女の異世界のんびり生活 ~飯屋の娘は、おいしいごはんを食べてほしい~
明里 和樹
ファンタジー
日本人として生きた記憶を持つ、とあるご飯屋さんの娘デリシャ。この中世ヨーロッパ風ファンタジーな異世界で、なんとかおいしいごはんを作ろうとがんばる、そんな彼女のほのぼのとした日常のお話。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる