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欲しかったモノ
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「では、早速『通販』を試してみましょう」
白い部屋のちゃぶ台を囲む様に座る紅音と神様達。そしてそのちゃぶ台の上にちょこんと乗るシロ。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
だが、紅音は後ろから感じる視線に少し困っていた。
「紅音さん。後ろは気にしなくて大丈夫です」
「そうだ。気にするな」
「は、はぁ・・・」
ルカ様とパルアドルフ様が後ろを振り向かずそう言う。
「うううぅぅ・・・・」
白い部屋の隅で離れて正座をして座っているドルーネ様が恨めしそうに呻いている。
そして、首から、
『私は、女性に妄りに抱き着こうとしました』
と書かれて札を下げていた。
「ワ、ワイも混ぜてぇぇ」
か細い啜り泣きが聞こえる。
「ご主人様、タブレットを出してください」
「う、うん」
どうやらシロも無視をする方向で行くらしい。
とりあえず、私はシロの言われた通りタブレットを取り出し、電源を入れて立ち上げる。
左右から神様達が興味津々に覗き込む。
立ち上がったタブレットにはお馴染みのアプリアイコンが並んでいる。
「ご主人様、少々失礼します」
すると、シロが短い前足で画面のアイコンの無い所を長押しする。
すると、その場所から新しいアプリのアイコンが出て来た。
「え、ダウンロード無しでなんか出て来た」
「コレは、ご主人様のスキルの一つですので、外部からの干渉は有りません」
「そ、そうなんだ」
アプリアイコンを見てみると、籐編みの買い物籠からシロに似たリスが顔を出している。
「ご主人様、コレをタップして下さい」
「う、うん」
私はシロの言われた通り、そのアプリをタップする。
すると、タブレットの画面に慣れ親しんだ通販サイトのような画面が表示された。
「前に利用していた通販サイトに似ている」
「出来るだけ、ご主人様の使いやすいようになっております。使用方法は、ほぼ以前使用していたモノと同じでございます」
「あー、助かる~」
変に新しいアプリって時々使い勝手が分からない事が多々あるからなぁ・・・・。
「それでは、まず、小金貨3枚をチャージしましょう」
「どうやって?」
「小金貨3枚をタブレットに翳して下さい」
「うん」
リュックの中から国王様から貰ったお金から小金貨3枚を取り出し、タブレットに翳すとタブレットの画面に小銭の投入口が映し出された。
「これ、直接お金入れてタブレット壊れない?」
「壊れません。さ、どうぞ」
「う、うん」
シロに促され、小金貨を投入口に入れると、チャリンと音がなり、画面に『30.000チャージ完了』と表示された。
「おお!!」
「今後必要な物を購入しましょう」
「うん!」
「何を買うのか決めたのか?」
「はい。出来たら、手元に欲しいと思っていた物があったので、まずはそれを」
「欲しい物?」
「はい。コレです!!」
私は、目的の物を検索し、画面にソレを映し、パルアドルフ様達に見せる。
「???鞄?」
「背負うタイプの鞄に見えるけど、紅音はコレが欲しかったのかい?」
「大っきい鞄ですね」
「マジックバックの類か?」
「ソレにしては、デカすぎるだろう」
「あんまり可愛く無いかもー」
「見ーせーてぇぇぇ」
私が見せた商品に神様の反応は様々だ。
それは、赤色でスクエア型の四角い大容量のリュックだった。中央に大きく白の十字紋の模様がついていた。
「ご主人様、これは、」
「防災サバイバルリュックだよ」
「防災サバイバルリュック??」
そう、私が最初に選んだのは防災リュックだった。
「これは、地震とか自然災害が起きた時、もしくは、万が一遭難した時に必要な物も備えたリュックだよ」
「なんでコレを?」
「必要な物が纏めて入ってお得だからです」
「はい???」
私の答えにレイ様は目を丸くする。
「このリュックには災害に遭った時に必要な防具や避難した避難所で使う寝具や防寒具。食料や水、衛生用品。ライトなんかの照明器具やサバイバル用品も入っているんです。
しかも、この防災リュックは女性が使うことを考慮されて女性に嬉しい物が入っていて、実は前から欲しいと思っていた商品なんです」
「あら?買うのは初めてなの?」
「このメーカー、一個、21,000円、小金貨2枚と銀貨1枚するから、前は高額で買えなかったんです」
以前は薄給で15,000円以上の買い物は、お財布的にキツすぎた。
それに、本当にいるかと聞かれると、使い所を迷い買うのを躊躇してしまって、手を出せずにいた。
だが、
「衣食住が不安定な今の状況の私には必要なアイテムだと思うんです」
今の私は家無し、戸籍なしの状態だ。
「だが、紅音には金が有るのだから、それを使えば、衣食住はどうとでもなるはず、」
レニックス様の言いたい事は分かる。
だけど、
「そうなんですけど、私はまだ、この世界に来て1日も経っていません。
正直、この世界の経済状況とか土地や家の相場とかまだまだ分かりません。そんな状態でお金を使いまくるとあっという間に破産してしまいますよ」
「紅音ちゃん、結構しっかりしているのね。今まであまり居なかったタイプね」
「うむ、」
ロディ様とレニックス様が感心した様に呟く。
「ありがとうございます」
ドルーネ様のおかげで莫大な曾祖叔父様遺産をこの異世界でも使えるようになったが、湯水のように使ってはこの異世界で50年過ごす前に底をつく。
元の世界へ戻れたとしても、無一文になるのは避けたかった。
「ご主人様、その防災サバイバルリュックをご購入されますか?」
「うん」
「では、購入に進んで下さい。やり方は、ご主人様の使用していたモノと同じでございます」
「うん」
目当てだった防災サバイバルリュックの購入を進める。
購入ボタンをクリックし、決済に移る。そして、
「うわ!?」
ちゃぶ台の真ん中に魔法陣のような物が光を帯び浮かび、先程、タブレットで見ていた防災サバイバルリュックがちゃぶ台の上に現れた。
「おお!!」
ちゃぶ台の上に乗った防災サバイバルリュックは暖かみのある赤地に白い大きな十字紋。思った以上に大きく心なしか頼り甲斐のある姿に見えた。
早速、リュックの蓋を開け、説明書を取り出す。
中身は、4日分のレトルトの食料と保存水。ウォータータンクに簡易食器。
寝具のエアーマットに枕。防寒シートに雨具のカッパやサンダル。電池に手回しの充電器と懐中電灯。防災マニュアル本。
歯ブラシセットやウエットティッシュ、簡易トイレなどの衛生用品。
タオル、マスク、救急箱、ガムテープやドライバー。更に簡易マルチテント。カイロや軍手、ホイッスル、サバイバルナイフ、ライター、簡易調味料、固形燃料、簡易濾過器、小型片手鍋。女性用品などなど、沢山の防災グッズが詰め込まれていた。
流石、高級防災サバイバルリュック。
至れり尽くせりだ。
「紅音殿はコレから秘境にでも旅立つ気か?」
リュックの中身のラインナップを見てパルアドルフ様が半分呆れた様に呟いた。
「旅に出る気はないですが、あって困る物では無いので」
「それにしたって、用意周到では無いか?」
「備えあれば憂いなしです。レニックス様」
「うん。目先の欲では無く、ちゃんと先の事を考えていて、偉いね紅音」
「わわわわ!?」
そう言いながら、何故か私の頭を撫でるレイ様。
いきなりのイケメンの子供扱いは、心臓に悪い。
その時、
ジーーーー・・・・・。
「・・・・・・・・」
ジーーーー・・・・・。
「・・・・・・っ、」
背後から感じる視線が痛い。
チラ。
注がれる視線に堪えかねて、背後をチラ見すると、
「うぅううう・・・、無視、せんといてぇぇ・・・」
涙目でコチラを見るドルーネ様。
その場を動かず、大人しくに律儀に正座をするドルーネ様が段々と可哀想になって来た。
「・・・・・」
チラリとレイ様とパルアドルフ様に目配せすると、2人ともため息を吐きながら無言で頷いた。
うん。どうやら、許された、らしい。
「ドルーネ様、コチラで一緒に見ませんか?」
「!!!」
私がそう言うと、ドルーネ様はパッと笑顔になり、そそくさとちゃぶ台を囲んだ。
見た目は成人したイケメンなのに、まるで、イタズラを許された子供みたいでなんか、可愛い。
「おおきに、おおきに!!お嬢ちゃん!!」
「は、はぃ・・・」
うん。はしゃぐ小犬並みに眩しい笑顔のイケメンも心臓に悪い。
「ドルーネ、あまりはしゃぎ過ぎないように」
「は、はい!!レイガン兄や様!!」
優しい笑顔だが、目が笑っていないレイ様に釘を刺され、正座で姿勢を正し敬礼する。
「ご主人様、まだ他にも必要な物をお買い物はありませんか?まだまだ、お買い物出来ますよ?」
「紅音、他の物を見ても構わないか?」
「紅音ちゃん~、他のも見せて」
「紅音さん、紅音さん!」
正座をするドルーネ様をよそに、シロと共にタブレットを覗き込むアディーダ様はじめとする女性陣達。
「ぁ、この状態でも無視を決め込むのね」
女性陣のマイペースさに、思わず苦笑する紅音だった。
白い部屋のちゃぶ台を囲む様に座る紅音と神様達。そしてそのちゃぶ台の上にちょこんと乗るシロ。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
だが、紅音は後ろから感じる視線に少し困っていた。
「紅音さん。後ろは気にしなくて大丈夫です」
「そうだ。気にするな」
「は、はぁ・・・」
ルカ様とパルアドルフ様が後ろを振り向かずそう言う。
「うううぅぅ・・・・」
白い部屋の隅で離れて正座をして座っているドルーネ様が恨めしそうに呻いている。
そして、首から、
『私は、女性に妄りに抱き着こうとしました』
と書かれて札を下げていた。
「ワ、ワイも混ぜてぇぇ」
か細い啜り泣きが聞こえる。
「ご主人様、タブレットを出してください」
「う、うん」
どうやらシロも無視をする方向で行くらしい。
とりあえず、私はシロの言われた通りタブレットを取り出し、電源を入れて立ち上げる。
左右から神様達が興味津々に覗き込む。
立ち上がったタブレットにはお馴染みのアプリアイコンが並んでいる。
「ご主人様、少々失礼します」
すると、シロが短い前足で画面のアイコンの無い所を長押しする。
すると、その場所から新しいアプリのアイコンが出て来た。
「え、ダウンロード無しでなんか出て来た」
「コレは、ご主人様のスキルの一つですので、外部からの干渉は有りません」
「そ、そうなんだ」
アプリアイコンを見てみると、籐編みの買い物籠からシロに似たリスが顔を出している。
「ご主人様、コレをタップして下さい」
「う、うん」
私はシロの言われた通り、そのアプリをタップする。
すると、タブレットの画面に慣れ親しんだ通販サイトのような画面が表示された。
「前に利用していた通販サイトに似ている」
「出来るだけ、ご主人様の使いやすいようになっております。使用方法は、ほぼ以前使用していたモノと同じでございます」
「あー、助かる~」
変に新しいアプリって時々使い勝手が分からない事が多々あるからなぁ・・・・。
「それでは、まず、小金貨3枚をチャージしましょう」
「どうやって?」
「小金貨3枚をタブレットに翳して下さい」
「うん」
リュックの中から国王様から貰ったお金から小金貨3枚を取り出し、タブレットに翳すとタブレットの画面に小銭の投入口が映し出された。
「これ、直接お金入れてタブレット壊れない?」
「壊れません。さ、どうぞ」
「う、うん」
シロに促され、小金貨を投入口に入れると、チャリンと音がなり、画面に『30.000チャージ完了』と表示された。
「おお!!」
「今後必要な物を購入しましょう」
「うん!」
「何を買うのか決めたのか?」
「はい。出来たら、手元に欲しいと思っていた物があったので、まずはそれを」
「欲しい物?」
「はい。コレです!!」
私は、目的の物を検索し、画面にソレを映し、パルアドルフ様達に見せる。
「???鞄?」
「背負うタイプの鞄に見えるけど、紅音はコレが欲しかったのかい?」
「大っきい鞄ですね」
「マジックバックの類か?」
「ソレにしては、デカすぎるだろう」
「あんまり可愛く無いかもー」
「見ーせーてぇぇぇ」
私が見せた商品に神様の反応は様々だ。
それは、赤色でスクエア型の四角い大容量のリュックだった。中央に大きく白の十字紋の模様がついていた。
「ご主人様、これは、」
「防災サバイバルリュックだよ」
「防災サバイバルリュック??」
そう、私が最初に選んだのは防災リュックだった。
「これは、地震とか自然災害が起きた時、もしくは、万が一遭難した時に必要な物も備えたリュックだよ」
「なんでコレを?」
「必要な物が纏めて入ってお得だからです」
「はい???」
私の答えにレイ様は目を丸くする。
「このリュックには災害に遭った時に必要な防具や避難した避難所で使う寝具や防寒具。食料や水、衛生用品。ライトなんかの照明器具やサバイバル用品も入っているんです。
しかも、この防災リュックは女性が使うことを考慮されて女性に嬉しい物が入っていて、実は前から欲しいと思っていた商品なんです」
「あら?買うのは初めてなの?」
「このメーカー、一個、21,000円、小金貨2枚と銀貨1枚するから、前は高額で買えなかったんです」
以前は薄給で15,000円以上の買い物は、お財布的にキツすぎた。
それに、本当にいるかと聞かれると、使い所を迷い買うのを躊躇してしまって、手を出せずにいた。
だが、
「衣食住が不安定な今の状況の私には必要なアイテムだと思うんです」
今の私は家無し、戸籍なしの状態だ。
「だが、紅音には金が有るのだから、それを使えば、衣食住はどうとでもなるはず、」
レニックス様の言いたい事は分かる。
だけど、
「そうなんですけど、私はまだ、この世界に来て1日も経っていません。
正直、この世界の経済状況とか土地や家の相場とかまだまだ分かりません。そんな状態でお金を使いまくるとあっという間に破産してしまいますよ」
「紅音ちゃん、結構しっかりしているのね。今まであまり居なかったタイプね」
「うむ、」
ロディ様とレニックス様が感心した様に呟く。
「ありがとうございます」
ドルーネ様のおかげで莫大な曾祖叔父様遺産をこの異世界でも使えるようになったが、湯水のように使ってはこの異世界で50年過ごす前に底をつく。
元の世界へ戻れたとしても、無一文になるのは避けたかった。
「ご主人様、その防災サバイバルリュックをご購入されますか?」
「うん」
「では、購入に進んで下さい。やり方は、ご主人様の使用していたモノと同じでございます」
「うん」
目当てだった防災サバイバルリュックの購入を進める。
購入ボタンをクリックし、決済に移る。そして、
「うわ!?」
ちゃぶ台の真ん中に魔法陣のような物が光を帯び浮かび、先程、タブレットで見ていた防災サバイバルリュックがちゃぶ台の上に現れた。
「おお!!」
ちゃぶ台の上に乗った防災サバイバルリュックは暖かみのある赤地に白い大きな十字紋。思った以上に大きく心なしか頼り甲斐のある姿に見えた。
早速、リュックの蓋を開け、説明書を取り出す。
中身は、4日分のレトルトの食料と保存水。ウォータータンクに簡易食器。
寝具のエアーマットに枕。防寒シートに雨具のカッパやサンダル。電池に手回しの充電器と懐中電灯。防災マニュアル本。
歯ブラシセットやウエットティッシュ、簡易トイレなどの衛生用品。
タオル、マスク、救急箱、ガムテープやドライバー。更に簡易マルチテント。カイロや軍手、ホイッスル、サバイバルナイフ、ライター、簡易調味料、固形燃料、簡易濾過器、小型片手鍋。女性用品などなど、沢山の防災グッズが詰め込まれていた。
流石、高級防災サバイバルリュック。
至れり尽くせりだ。
「紅音殿はコレから秘境にでも旅立つ気か?」
リュックの中身のラインナップを見てパルアドルフ様が半分呆れた様に呟いた。
「旅に出る気はないですが、あって困る物では無いので」
「それにしたって、用意周到では無いか?」
「備えあれば憂いなしです。レニックス様」
「うん。目先の欲では無く、ちゃんと先の事を考えていて、偉いね紅音」
「わわわわ!?」
そう言いながら、何故か私の頭を撫でるレイ様。
いきなりのイケメンの子供扱いは、心臓に悪い。
その時、
ジーーーー・・・・・。
「・・・・・・・・」
ジーーーー・・・・・。
「・・・・・・っ、」
背後から感じる視線が痛い。
チラ。
注がれる視線に堪えかねて、背後をチラ見すると、
「うぅううう・・・、無視、せんといてぇぇ・・・」
涙目でコチラを見るドルーネ様。
その場を動かず、大人しくに律儀に正座をするドルーネ様が段々と可哀想になって来た。
「・・・・・」
チラリとレイ様とパルアドルフ様に目配せすると、2人ともため息を吐きながら無言で頷いた。
うん。どうやら、許された、らしい。
「ドルーネ様、コチラで一緒に見ませんか?」
「!!!」
私がそう言うと、ドルーネ様はパッと笑顔になり、そそくさとちゃぶ台を囲んだ。
見た目は成人したイケメンなのに、まるで、イタズラを許された子供みたいでなんか、可愛い。
「おおきに、おおきに!!お嬢ちゃん!!」
「は、はぃ・・・」
うん。はしゃぐ小犬並みに眩しい笑顔のイケメンも心臓に悪い。
「ドルーネ、あまりはしゃぎ過ぎないように」
「は、はい!!レイガン兄や様!!」
優しい笑顔だが、目が笑っていないレイ様に釘を刺され、正座で姿勢を正し敬礼する。
「ご主人様、まだ他にも必要な物をお買い物はありませんか?まだまだ、お買い物出来ますよ?」
「紅音、他の物を見ても構わないか?」
「紅音ちゃん~、他のも見せて」
「紅音さん、紅音さん!」
正座をするドルーネ様をよそに、シロと共にタブレットを覗き込むアディーダ様はじめとする女性陣達。
「ぁ、この状態でも無視を決め込むのね」
女性陣のマイペースさに、思わず苦笑する紅音だった。
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