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第1章

第五話 隠された能力

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心地いい風が吹く草原……ほのかな草の香り……このまま寝てしまいたい……。


「だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!レフリアさんヘルプミー!!!」

「剣を振って当てて終わりよ!!」

「そんな簡単に言わないでー!!!」

今俺はレフリアとともに訓練場に来たのだが。剣が決まったら早速実践、初心者に対して優しさのかけらもクソもない。

「早くー!帰って見たい番組あるんだからー!!」

「だったら尚更助けてくれよー!!」

このままでは拉致があかないという思った俺は勇気を振り絞って剣をアリアントに……

バキン!

「……ん?」

なんか折れたような音がしたなー……

見たくないと思っていたが好奇心が勝ってしまい……

俺は折れた剣を地面に落とし、アリアントの大きな目を見ると…

「いや、あの…いくら実践でも食べたりしないですよね?」

俺は笑顔で、

「その牙しまってください…」

ギュラァァァァ!!!!


「もう勘弁してくださぁぁぁぁぁぁい!!!」

俺がアリアントに手を突き出した瞬間、俺の手のひらが燃えるように熱くなった。

「あっちぃぃぃぃぃ!!!」

俺が暑さに悶えている激しい轟音の後にズシン!と重い音が草原に響いた。

音のした方を見ると、そこには真っ黒に焦げたアリアントが横たわっていた。

俺は無言でレフリアの方を見ると、

レフリアはまるでもうすぐ世界が滅びてしまうかのような驚いた目をして、

「あの…もう一回できる?」

俺も今の状況がわかっていない。

「わからんけど、またあの熱い思いしなくちゃなんねぇの?めちゃくちゃ暑かったんだが…」

「いいから、やれそうならやって!」

「あーもうわかったよ!やればいいんだろやれば!」

俺はふたたび手のひらを突き出した。そのとたん、先ほどは目をつぶっていて見えなかったが、今の目の前の状況を俺ははっきりと見た。

「お、俺の手が…燃えてる……?」

そういえばさっきより全然熱くないな……。

するとレフリアが俺の燃える手を凝視して、

「まさか初心者がこの能力を身につけれるなんて…!」

「そんなにすごいのか?この能力。」

「さっきの見てなかったの!?そのスキルは『爆炎』、またの名を『バーストフレイム』最高職しか身につけられない伝説の能力よ!」

「……まじで?」

俺は感動に打ち震えた。

「まじかよ…!」俺に…こんな力が……!」

するとレフリアが深刻そうな顔で、

「でもその能力は大きな代償を伴うわ…。」

「大きな代償…?」

「そうよ。強大な力にはその分の代償がつきものよ。」

「そ、その代償とは?」

俺は唾を飲んで恐る恐る聞いた。

「それは…『寿命』よ…。」

「……嘘だろ?」

「嘘じゃないわ。その威力によって失う寿命が多いのよ…」

俺は先ほどその能力を使ったことを思い出す。

「じゃあさっきの威力だったらどれくらい寿命が減った?」

「おそらく……一ヶ月くらいね。」

「あれ?そこまで長くなかった……。」

なんだ一ヶ月かと安心する俺を見てレフリアは、

「何安心してるの?私のレベルになれば一ヶ月ってことよ?」

「え?じゃあ俺みたいに初心者だったら?」

「2年くらいね。」

「先言えや!!!!」

一瞬で寿命を2年も使ってしまった。

「俺の貴重な人生が……」

絶望している俺を見てレフリアは、

「そこまで落ち込まなくても大丈夫よ!レベルが高ければ高いほど失う寿命は最小限に抑えられるわ!」

「つまりレベルを上げていけば全身全霊を出しても、そこまで寿命が減らないと…?」

「まぁそういうことになるわね!」

俺に隠された能力、失われる寿命…

「なんとも勇者っぽくなってきたじゃねぇか!」

俺は勢いよく立ち上がり、

「よし!レフリア!俺のレベル上げに付き合ってくれ!早くレベル上げてあの能力使いこなせるようになりたいんだ!」

するとレフリアは、

「それはいいけど、今はもう夜よ?」

「まじで?」

すると俺の腹から唸るような音がなった。

「そう言えばこの世界に来てから何も食べていないわね。今日は私が奢るから食堂に行くわよ!」

「まじで!?やったー!!腹減って死にそうだわ!」

そして俺らは訓練をする終えて、食堂へと向かうのであった…。






「………あれ?思ったけど俺どこで寝ればいいの?」

「あ、そういえば考えてなかったわね。」

「ひどい。」

「うーん。じゃあ私の家に来なさい!ちょうど部屋が余っていたからしばらくはそこを貸してあげるわ!」

「レフリアさんまじ天使。」

そんなことを喋りながら食堂へ入ろうとすると、

「おや?そこにいるのはレフリアじゃないか。」

声のする方を見ると、そこにはいかにも大貴族のような格好をした男が守護兵を引き連れて立っていた。

誰だ?と聞こうとレフリアの方を見ると、レフリアはまるでその男を恐れるような目で見ていた。

「レ、『レイヴィス』……!」

この世界の住人は難しい名前ばっかだな。

するとレイヴィスが俺の方を見て、

「これはこれは、レフリアのガールフレンドかな?」

「か、からかうんじゃないわよ…。」

相変わらず怯えたままの目でレイヴィスを見ていたレフリアに目を向け、レイヴィスがある一言を言った。

「まぁ、『裏切り者』のお前に彼氏なんぞできるはずがないからな……。」

「……え?『裏切り者?』…?」


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