名前を忘れた私が思い出す為には、彼らとの繋がりが必要だそうです

藤一

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満足するまで付き合って下さいね♡※

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「アルケーさんッ!ちょ、ちょっと待って下さいッ!わ、分かりました!着替えて来ますから!」

私が胸元を押さえて悲鳴に近い声を上げ懇願する。私の慌てぶりにアルケーさんは少し困った顔をするだけで、ボタンを外すという行為を止める気配は無い。

「オト、二番目のトマリギから貰った服を傷付けたくはないでしょう?私も同じトマリギとして、そんな事はしたくないんです。諦めて大人しくなさい」

ぴしゃりときつめの口調で言われ一瞬怯んでしまう。しかし、ここで流される訳にはいかない。王子から貰った物を人質に取るなんて、とアルケーさんを睨む。アルケーさんは何処吹く風、といった風だ。何か思い出したのか「あぁ」と呟く。

「いざとなれば、私の足を踏みつけるんでしたっけ・・。どうぞ。そうして下さって構いませんよ?」

にっこり笑い「さぁ、どうします?」と首を傾げる。か、完全に舐められている!ムッとしながら本当に踏んづけようかと考えあぐねていると、アルケーさんは私の両足の間に自分の右足を強引に割り入れて来た。

「え・・」

突然の事で何が起こったのかと思ったが、アルケーさんの片足を両足の間に入れられただけなのに、足元は不安定になるし足も閉じられないしで、下半身が無防備になってしまった。上半身は完全にはだけているし、こ、この状況は・・圧倒的にアルケーさんが有利。

「う、あの、此処・・玄関、ですよね・・。その、これ以上は・・」

私が途切れ途切れに言うと、アルケーさんが楽しそうに「ふふ」と笑う。

「私の雛の言う『これ以上』って、具体的にはどういった行為なのでしょうね。仰って下さいませんか?」

アルケーさんは私の耳朶を甘噛みする。くちくちと耳の窪みを舌でなぞられる。吐息と水音が脳内に直接響く。こんな状態で、口を開いても嬌声が漏れるだけだ。ぎゅっと唇を引き締めて声が漏れないように我慢する。

『ちゅ・・ちゅぶ・・ちゅ・・』

耳を丹念に舐められて、アルケーさんに快感を覚え込まされた私の身体は完全にスイッチが入ってしまう。身体の奥がじわじわと熱を帯び始めた。
私の知らない部分まで拓いて知っているアルケーさんは、私の身体が反応し始めた事に気付いたんだと思う。

「・・一番目のトマリギの私がきちんとお世話してあげますから、ね?この私に貴女の身体、全て預けて下さい」

アルケーさんにそう促され、身体の奥で燻り始めた熱に負けて黙り込んでしまう。私の無言を「OK」と判断したのか、はだけたシャツの間からアルケーさんの大きな手が入って来る。「んッ!」と大きく肩が震えた。それは・・思っていたより高いアルケーさんの体温の所為なのか、それとも、これから「される事」への予感、期待の所為なのか。

「ねぇ、オト・・。昨夜はオトの希望通りに手加減したでしょう?明日は予定も無い事ですし・・」

アルケーさんがそっと耳打ちする。

「オトの中に沢山沢山、出してあげますからね。私が満足するまで付き合って下さいね♡」

甘く囁かれただけなのに、お腹の奥が疼くのが分かった。耳の端を舌先でちろりと舐められ「ぁん゛ッ♡」とさっきよりずっと甘い反応をしてしまう。その嬌声が合図となり、やわやわと胸を揉まれ始める。下から持ち上げようにしたり、膨らみの柔らかさを確認するようにしたり・・彼の手の動きに合わせて「ん、ん・・」とくぐもった声が口から漏れ出る。
さっきまでは強引だったのに今、私の肌に触れるアルケーさんの手付きはもどかしい位に緩やかだ。徐々に不安や緊張が解されて行く。胸の先がつんっと立ち上がり始めたのが自分でも分かった。それをアルケーさんが見逃す訳無い。くっくっと指先で引っ張るように摘ままれる。

「あ゛ーー♡あぁッんッ♡」

ビリビリとした鋭い快感が胸の先から全身に走り、思わず大きな声を上げてしまう。
甘く強い刺激の余韻で、くたりと力が抜ける。腰を抱えられているお陰で倒れはしなかったが、アルケーさんに完全に身体を預けてしまう。
抵抗しなくなった私の頬に、アルケーさんは満足気に何度かキスをし、胸の頂を摘まんだまま指先で今度は優しくかりかりと引っ掻く。摘ままれるのとは違う感覚に、とろりと蜜が垂れて来るのが分かった。

「あッ♡ぁんッ♡ぁ゛ぁんッ♡」

アルケーさんは胸への刺激の間も、割り入れた足を秘所にぐりぐりと押し付けているし、下着が濡れてしまっている事も気付かれているかもしれない。

「良いんですか?こんな所でそんなに物欲しそうな顔をしても」

アルケーさんは耳元でくすくす笑いながら囁き、私の腰に巻き付いていた腕を外し、私に玄関の壁に背を預けるように促す。背中には壁、目の前にはアルケーさんで完全に挟まれた。逃げ場が無い。頭がぼうっとしてそのまま座り込んでしまいそうだったが、アルケーさんが下の下着の中に手を入れて来たので、背中がぐっとしなる。

「やッ!あ、だ、だめッ!そ、そこ、指、だめッ!だめぇ・・」

『くちゅり』という音が、私の足の間からはっきり聞こえた気がして、溶けかかっていた意識が羞恥でクリアになる。下着の中に差し込まれたアルケーさんの腕をぐっと握って押し留める。だが、そんなことをしても、既に花芽を捉えていたアルケーさんの指を止められる筈もなく・・。

「物欲しそうにしているのは・・此処も同じですね♡」

花芽の襞をアルケーさんの長い指でゆっくりと掻き混ぜられる。

「や、やだぁッ!これ以上、や、やだぁ・・あ゛あ゛ッ♡ぅあッんんッ♡んーーッ♡」

花芽をいじる指の動きが一気に早くなる。奥から漏れ出す蜜が、指の動きに合わせてぐちゅぐちゅくちゅといやらしい音を立てる。私の喘ぎ声と、アルケーさんの短い呼吸音が玄関に響く。

どうしよう・・玄関でイッてしまうかもしれない。アルケーさんは覆い被さるようにして私の弱い所を責め立てる。花芽の傍の入り口も指で押され刺激される。

「ひッ!ぁあ゛ッ♡」

一層、高い声を上げてしまう。その声色は期待を孕んでいる。
背の高い彼に囲われていると視界も匂いもアルケーさんしか感じられず、此処が何処なのか忘れてしまいそうになる。

『もう、挿れて下さい』

アルケーさんの胸元にしがみ付いて、そう口走ってしまいそうだ。アルケーさんはより一層、身体を密着させる。その所為で、彼の硬くなった「モノ」がお腹に触れた。服の上からでも分かる位、熱と質量を持っている。すっかり立ち上がっている屹立にくらりとし「・・はぁ♡」と息を漏らす。

『駄目なのに・・分かってるのに・・』

自制心だとか色々をかなぐり捨てて『挿れて』と言ってしまおうか。アルケーさんのシャツの胸元をぐっと掴んで俯いた時、玄関の靴が目に入った。ぽやぁとした意識のまま、靴を見詰める。あぁ、アルケーさんとミスティコさんの仕事用の靴だ。それに気付いた瞬間、愛撫によってどろどろに溶かされていた意識が、現実に引き戻される。
あ、危なかった!玄関で最後まで『シタ』ら、玄関を通るたびに、その時の事を思い出しそうな気がする。そんな事になったら日常生活に支障を来す。

「アルケーさんッ!や、やっ、ぱり、待ってッ!」

アルケーさんのシャツを掴んで抵抗する。アルケーさんは急に風向きが変わって面白くないのか「おや、どうしてですか?」とやや不機嫌そうな声で尋ねる。正面にアルケーさんが立ちはだかっていなければ、寝室までダッシュする、というカードを切っていたと思う。どうにかアルケーさんを押し退けようかとも思ったが、快楽の余韻がじくじくと残る身体では無理だろう。えぇいッ!最後の手段だッ!
私はがばッとアルケーさんに抱き着く。完全に上を向いていた「アレ」が押し潰される形になっては気の毒なので、その辺りは若干、考慮した。

「あの、あの、ですね。此処、じゃなくて、寝室に・・」
「もう少しで最後まで許してくれそうでしたのに・・」

なるべく可愛らしくお願いしたつもりだったが、アルケーさんには響かなかったらしい。残念そうに言うと、アルケーさんは下着に入れていた指をくいっと曲げた。くぷ・・と指先が蜜口に沈む。入り口にほんの少し異物が入っただけなのに、蜜を垂らしていた中は「もっと、もっと奥」とひくつく。だ、駄目だ。「気持ち良くなりたい」という感情に、脳内も身体も全て引っ張られる。このままじゃ、玄関で最後まで許してしまいそう・・。

「アル、ケーさん・・。寝室、で沢山、出してく、ださい。ベッドの、上で・・わ、わたしのこと、好き、にして、良い、ですから」

私の必死なお願い、というか懇願にアルケーさんはぴたりと指を止めた。拍子抜けする位、あっさりと私から身体を離す。身体は離した筈なのに、私の周りにはアルケーさん特有のお香みたいな香りが纏わり付く。アルケーさんは私の頬に両手を添えて、自分と視線を合わせると満足そうに微笑んだ。笑っている筈なのに、舌なめずりしているように私には見える。何故だろう。さっきの懇願は・・実は悪手だったのかもしれない。

「・・オトの許しも出たことですし・・オトのとても大切な所が私の形になる位、沢山しましょうね♡」

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