名前を忘れた私が思い出す為には、彼らとの繋がりが必要だそうです

藤一

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番外編:春を呼ぶ王子2

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エナに非が有るわけでは無いのに、怒りにも似た低い声が口から出る。完全に八つ当たりだ。

「・・その話、何時位から出ているんだ」
「えー・・とね、一ヶ月くらい前から薄っすら出てたみたいよ」
「・・今日の俺の仕事は全部断れ。どうしても決裁が必要な物はお前の裁量に任せる」

俺はそう言うと掛けて有った上着を取って部屋を出た。後ろからエナが「ハルくんッ!!」と止めた様な気もするが、そんな事はどうでも良い。

この時間、父は何処に居るか。城の廊下を歩きながら考える。少なくとも昨日今日は海外からの重要な客人は来ていなかった筈だ。恐らく・・執務室か貴族への対応で会議室か。衛兵や使用人が慌てて道を開ける。彼らに父の居所を聞いても良かったのだろうが、感情が高ぶって俺の足が先へ先へと進む。
会議室に何時もより多い衛兵達が待機していた。自分の心臓がうるさい。緊張なのか歓喜なのか自分の身体が震えているのが分かった。
間違いない。あそこだ。しかも今だ。俺の売り時が来たのだ!

「王はこちらか」
「確かに此方ですが・・今は非常に重要な話し合いが持たれておりまして・・」
「責めは幾らでも受ける。入らせて貰うぞ」

衛兵達が止めるのを無視して「失礼します」と重たい扉を開け放ち中入ると、そこには両親に兄、宰相。テーブルを挟んで真っ白い老人と、グレーの髪の男。白い老人は祭祀の際に見た事が有る。神殿の最高責任者だ。もう一人の男は見た事は無いし、神殿での位も分からない。しかし何処の家の者なのかは一目瞭然だ。オオトリの子孫だ。
母と兄達は俺が押し入った事に驚くが、父と宰相、神殿側の二人は煩わしそうな表情になった。

「・・お前を呼んだ覚えは無いが。今はお前に構っている暇は無い。下がれ」

父が冷たく言い放つ。

「『オオトリ召喚』の件で急ぎの用が有り参りました。約束も許しも無いまま、馳せ参じました事に関しましては、幾らでも処罰を受ける所存です」

母が立ち上がり「下がりなさい。貴方には関係の無い話です」と強い口調で俺に言う。

「いいえ。私に関係のある話です。この千載一遇の機会を逃せば私は一生後悔するでしょう」

母が何か俺に言い掛ける前に大司教が口を開いた。真っ白で何の力も無さそうなのに声は信じられない位、力と言うか張りが有った。

「ほぉ・・『一生後悔』ですか。王族の皆様は祝福を受けた一族、大変長寿。それなのに、後悔を伴侶して一生を過ごされるとは。第5王子は大変お若い。そんな若人が後悔を共にして一生を費やす。あぁ大変、嘆かわしい。その重要なお話、この大司教が伺いましょう」

大司教の芝居掛った言葉に母は周りの目を気にせず老人を睨みつける。普通の神官なら縮み上がりそうだが、彼は全然気にならない様だ。隣のオオトリの子孫も知らん顔をしている。

「『オオトリの召喚』が行われると聞きました。もし、召喚に成功しましたら・・」

一旦言葉を区切り深呼吸する。一字一句が此処に居る全員に伝わる様、念や想いを込める。

「私を『トマリギ』にしていただきたい」

俺がそう言い切ると母はバッと顔を覆った。父が何か母に話し掛けている。そんな両親の様子に胸が痛むし苦いものが込み上げる。しかし、賽は投げられた。後戻りは出来ない。
大司教は角ばった指でテーブルをトンと叩いた。たったそれだけの動作なのに、会議室にやたら大きな音が響く。

「・・第5王子は神殿と王家の間の取り決めをご存じで?」
「勿論。それを理解した上でのお願いです。非常に不躾な希望だとは承知しております」

俺がそう言うと、大司教は隣のオオトリの子孫に目配せした。どうやら交渉の相手が交代する様だ。
オオトリの子孫は「直接お目に掛かるのは初めてですね。私、東の副司祭を仰せつかっております、オロニウス家の者です」と自己紹介した。こんなにはっきりしたオロニウス家のグレー髪が神殿に上がるなんて普通はあり得ない。一体、どんな男なんだ。名門に有りがちな尊大なヤツなのか嫌味な野郎なのか全く分からない。だが、どうせ俺に切れるカードは限られている。俺は改めて東の副司祭に自分の希望を伝える。

「東の副司祭、私の希望としてはオオトリが女性であった場合、トマリギにしていただきたい、これ一点のみ。もしオオトリが私を気に入らなければ、無理は言わない。その時は潔く諦める所存だ」
「・・第5王子は現在お付き合いされている方や結婚を約束された方はおりませんね?」

東の副司祭はそう言うと、俺ではなく両親や兄の方へ視線を向けた。父と兄が目を合わせ頷く。

「・・承知しました。ところで、王子はオオトリがどういった人物かご存じですか?」

東の副司祭は眼鏡を直しながら俺に尋ねた。さすがオオトリの子孫と言うべきかこの中では一番下っ端だが、物怖じする素振りが一切無い。

「異世界から、気まぐれにこちらに渡って来る異世界人だと聞いている」
「えぇ、その通りです。異世界からやって来て異世界・・つまりは元の場所に還る人物です」

副司祭の紫の瞳が俺の様子を観察する様に細められた。その射貫く様な視線に居心地の悪さを覚える。

「この世界に残る可能性もほんの僅かですが有ります。ただ、ほとんどの場合、ある日突然、煙の様に消えて無くなります。存在が消えるのです」

副司祭の口調はまるで子供にものを教える時のようだ。そんな事、俺だって歴史書を読んで知っている。

「あぁ、知っている」

少しイラつきながら、そう言うと副司祭は「ご存じでしたか。失礼致しました」と軽く頭を下げた。大司教が副司祭の態度を注意するかの様に大きく咳払いをする。するとグレー髪は肩を竦めた。

「しかし、第5王子・・知っていると理解しているは違います。少なくとも王妃は理解しているから、王子の愚行を止めようとしているのでは?」
「・・東の副司祭、先程から言い過ぎじゃて。言葉に気を付けよ」

大司教が白い髭を撫で付けながら言い、腰を上げ俺と両親に向かって頭を下げた。

「うちの者が失礼な事を申しました。しかし、ご理解いただきたい。一時こちらに渡って来る鳥と交わる。それは戯れではございません。良くお考え下さい。・・私達神殿のトマリギは命を賭ける覚悟がございます」

大司教の「命を賭ける覚悟」と言う言葉に頭を殴られた様な衝撃を覚える。
大叔父の様に感情に惑わされなければ、オオトリと交わる事は「最適な身の処し方」という位の認識だった。それは少なくとも間違いでは無い。しかし神殿側は違った。
俺が大司教の言葉に何も答えられず押し黙っていると母がここぞとばかりに口を開く。

「分かったでしょう?お前が考えているよりずっと複雑な問題なのです。トマリギになりたいなんて・・貴方には無理です。覚悟が無いんですから」

無理?覚悟が無い?いや、そんな事は無い筈だ。神殿側の覚悟を見せられた位で諦めたくはない。今からだって覚悟を決めてやる。ようやく自分で見付けた俺が『行きたい道』なんだ。

「・・私はこのまま引き下がるつもりはありません」

母の眉が吊り上がる。それに反比例するかの様に大司教が「ほぉ」と感嘆の溜息を漏らす。

「・・これはこれは。大変、真っ直ぐで素直な王子ですな。私は良い『トマリギ』の素質が有ると思うが東の副司祭、お前はどう思う?」

オロニウス家の男はこめかみに指を当てて首を振る。

「お言葉ですが、止まり木は真っ直ぐ過ぎても、硬すぎても、鳥は休みづらい物でしょう」
「お前は青いのぅ。もう少し『寛容』を学んだ方が良かろう。王妃様、この件、この老いぼれに預からせて貰えませんか?老い先短い私に免じてお願いしたい」

大司教はそう言い、彼の枯れ枝の様な体躯が立ち上がる。すると辺りがしんと静まる。大司教は母の方へ身体を向け丁寧に頭を下げる。さすがの母も大司教の「お願い」を無下にする訳には行かない。何も言えず悔しそうな顔をしている。大司教は、母が反対して来ない事を確認すると、今度は俺の方へ顔を向ける。

「さて・・第5王子。私はトマリギの選定は東の副司祭に一切任せております。『覚悟を決めた』なら、この者の指示に従っていただきますぞ。東の副司祭は『オオトリ』について誰よりも知っております故」

大司教が言うには、オロニウス家が先祖代々収集して来た「オオトリ」の資料を受け継ぐ資格が有る位、研究熱心らしい。おそらく最上級の誉め言葉だと思うが、東の副司祭は大司教の言葉に感動するでもなく面白くなさそうにこちらにちらりと視線を向ける。

「・・先程、大司教も申し上げましたが・・私が不適格とみなした場合は潔く諦めていただきます」
「勿論。東の副司祭がそう判断するした場合は従おう」
「そのお言葉、ゆめゆめお忘れなきように。宜しいでしょうか?」

東の副司祭はそう言うと、父の方へ視線を向けた。父は黙って頷く。父の了承を得ると、副司祭は自分の手元に有った書類を一枚抜き取った。そんなやり取りを黙って見ていた母が力無く訴える。

「・・副司祭・・これは我儘で・・人に気を遣う生活なんてした事の無い愚息。オオトリの機嫌を損ねてしまうでしょう。大人になり切れてない・・だからこんな気の迷いを・・」

東の副司祭と俺が口を開く前に父が母を厳しい声でぴしゃりと止めた。

「もうお止めなさい。神殿と王家との決定事項だ。・・それに・・彼の『覚悟』を『気の迷い』と思い違いをしているようだが、非礼にも程が有る」

母が言う通りだ。俺は我儘で人に気を遣えない男だ。周りからの助けが有って、ようやく自分の意志を貫き通せた。それ位、大人になり切れてない。全部、全部・・母の言う通りだ。
だから、この選択が無駄にならない様に俺は・・謝罪しなければならないし感謝もしなければならない。

「どうかお許し下さい。・・そして・・ありがとうございます。」

俺はそう言うと、両親、兄と宰相。大司教と東の副司祭に頭を下げた。
母は目を赤くしている。
長くは掛ったが「好きな道を行って良い」と周りから言われる時期が過ぎたのだ。これからはおそらく「自分の選んだ道でしょう?」と言われるようになる。

「これ、東の副司祭、王子に色々、お伝えしなければならない事が有るのでは?」
「これにほとんど書いて有りますが・・」
「お前には『トマリギの選定』を一切、任せておる。しかし、紙一枚で済ますのは如何なものか」

東の副司祭が机の上に置かれた紙きれを見詰めたまま、ぐっと黙り込む。

「すいませんが、二人の為に別室をお願い出来ませんかな。トマリギ候補には色々勉強して貰わなければ」

大司教が手を上げそう言うと、宰相が鈴を鳴らし外に控えていた衛兵達を呼びつけた。すぐ近くの小さい部屋が用意された。
渋々、副司祭は案内に従う。部屋を出て行く俺達に大司教が呑気な声で「後は若いお二人にお任せして」と言いながら見送る。扉が閉まってしまうと、隣の副司祭が「白狸が」が苦々しそうに呟く。他の神官と違って祭祀で見掛けた事の無い東の副司祭だが相当に口が悪い様だ。

「これ、読んどいて下さい」

用意された部屋へ行く前に一枚の紙を押し付けられた。ちらっと眼を通すとオオトリの歴史らしきものが書いてあった。

「別室をご用意いただきましたが、私がお伝えしたい事は一つです。先程、説明が有りましたように、私はトマリギの選定を一任されております。オオトリを害する様な事が有れば、問答無用でオオトリから王子を引き剥がします。覚えておいて下さい」

副司祭の言葉は何処か怒気を含んでいる。その声色はまるで・・。

「・・東の副司祭がオオトリの事を敬っているのは良く分かった。だからこそ・・自分自身が『トマリギ』になろうと言う考えは無いのか?」

俺の口にした疑問に、東の副司祭が俺に掴み掛ろうと身体が動き掛ける。しかし、思い直したのか代わりに副司祭は自身の神官服を皺になる位に握り締めた。眼鏡の奥の紫の瞳が俺の事を睨めつける。

「・・王子は大変想像力の豊かな方、なのですね。えぇ至極良い事です」

東の副司祭はそう吐き捨てると、俺に背を向けて「すいません、気分がすぐれないので、此処で失礼します」と衛兵達を押し退けるようにして去って行った。神官服をなびかせる後姿を見ていると、オオトリの力、影響力を凄さを感じた。オオトリと会った事も無いし、召喚前だと言うのに、副司祭のオオトリに対するあの「執着」。

・・オオトリは良く渡り鳥に例えられる。気まぐれにやって来て、季節が変わると元の世界に戻るのだと。もしかしたら、大叔父はトマリギではなく「鳥籠」になりたかったのかもしれない。あの温室は墓標ではなく、美しい「鳥籠」だったのではないか。


・・
・・・・
・・・・・・

それからしばらくして、俺はオオトリと出会う事になる。
初めて「オオトリ」を見た時は、がっかりと言うか・・想像した鳥の姿とは大きく違っていた事に驚いた。クジャクが現れると想像していたら、スズメが出て来た感じだ。
しかし、オオトリと言葉を交わし、触れ合った瞬間、何かが大きく変わった。俺の中の感情が揺さ振られて、そこから作り変えられる。そんな気分になった。

・・アレは、一番最初のトマリギに「北の副司祭」を選んだ。祭祀で登城する機会の多い神官だから、俺も会った事は有る。
・・北の副司祭は・・オオトリが羽の下に隠している体躯や、触れた時どんな声で啼くのか、何もかも全て暴いたんだろうか?
そういう考えに支配される日が増えた。少しでも考え始めると、どろどろした考えが溢れ出して止まらなくなる。身体の奥深い部分が「求めて」痺れる。
・・俺はまだ、この場に居ない女の事を思って、自身の屹立を慰める事しか出来ない。

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