77 / 126
私をとんでもなく煽るんですよ
しおりを挟むアルケーさんに「いけません」という言葉にひやりとする。恥ずかしさよりも急に不安になった。
「・・あのー、アルケーさん。もしかして私、えっと・・とんでもなく非常識な事を、その、口走ってしまったんでしょうか?」
きっと私は不安そうな表情になっていたんだろう。アルケーさんが「・・あッ」と呟き、私の方へ手を伸ばして私の手を安心させる様にきゅっと握った。
「・・すいません、その、悪い意味でオトに言ったんじゃないんです・・」
向かい合うアルケーさんは「どう説明すれば良いんでしょうか」と呟き、次の言葉を考えあぐねている。
「あぁ、そうですね・・オトのその可愛い『おねだり』は、その、こちらの世界では余り使われない言葉なので・・驚いたと言うか・・刺激が強いと言うか・・」
アルケーさんの語尾がごにょごにょと小さくなる。
そ、そうなんだ!こっちでは言わないんだ!そりゃ、驚くに決まっている。えっと、じゃあこっちでは、あぁいう時、何て言ってるんだろう?それとも何も言わないんだろうか?聞いてみたい気もしたが、アルケーさんが恥ずかしそうに顔を伏せているので聞くに聞けない。
普段は私が散々、辱めを受ける側なので、こうやって恥じらうアルケーさんを見ていると新鮮で弄りたくなってしまう。色々踏み込んで聞いてみたくなるが、そんなの完全にセクハラだ。諸々詳しく聞いてみたかったが、またの機会にした方が良さそうだ。若干、残念な気持ちになりながらアルケーさんの手にもう片方の手を重ねた。
「えっと・・気を付けます・・。その言葉、言わない様に気を付けますね・・」
私がそう言うと、アルケーさんは顔を上げて安心した様に微笑んだ。そして、私の手を離すと立ち上がり私の隣の椅子にゆっくり腰掛けた。
「ふふ、少し安心しました」
ん?何で隣に?わざわざ隣に移動して来たのは気になるが、「安心した」と言い笑顔のアルケーさんにつられて私も頬が緩む。
えーっと・・思わぬ所から、とんでもない『モノ』が飛んで来たが私が気を付ければ良い話らしい。言われた時はかなり恥ずかしかったけど、早めにアルケーさんに指摘して貰えて良かった・・んだろう。多分。
私が隣のアルケーさんと微笑み合い和やかな雰囲気になっていると、アルケーさんが笑みを深めながら身体を寄せ、ある『提案』をして来た。
「・・他のトマリギ前では駄目ですけど、私には・・これからも沢山言って下さって良いんですよ。私には、オトの可愛らしい『おねだり』をして下さいね♡」
アルケーさんは内緒話でもする様に私の耳元で囁く。アルケーさんの指が、提案に対して強張った私の頬をするりと撫で意味有り気に首筋を爪先で引っ掻いた。
「・・あの、アルケーさんには、た、た、沢山・・するんですか?」
「えぇ、他のトマリギに言わない分、沢山。ね?約束して下さるでしょう?」
アルケーさんは甘える様に『沢山言って』と要求する。そ、それって・・簡単に約束してはいけない様な気が。私は愛想笑いをして胡麻化そうとするが、アルケーさんは急かす様に首を傾げ「ね?」と呟く。その様子は犬がお座りをして上目遣いでこちらの様子を伺っている時とそっくりだ。しかし、私は素直に頷く事が出来ない。私が「Yes」の態度を見せない所為なのか彼の瞳が意地悪く細められ、私たちの周りの空気が少し冷たくなる。
「・・ねぇ、オト・・『はい』は?」
いつもよりワントーン低い声でアルケーさんが言う。迫る様な声色にぎくりとしてアルケーさんと視線を合わせる。アルケーさんは私と目が合うとにやりと口角を上げた。
私が「まずい」と思って身を引くより早くアルケーさんの手が私の胸元に伸び、私の右胸の先をきゅっと摘まむ。「やッ!」と私が反応すると、アルケーさんはくにくにと服の上から胸の先を弄び始めた。
ちょ、ちょっと待って!食事中だったよね!私の馬鹿馬鹿!アルケーさんが隣に来た時に、もっと用心すべきだった!
彼から与えられる刺激に「ひゃッ」と情けない声を上げ肩が揺れてしまう。アルケーさんの指を自分の右胸の飾りから引き離そうとするが、左胸も同じ様に摘ままれ「あッ♡ん゛♡」と抵抗する力が腕から抜けてしまう。少し捏ねられただけなのに自分でも分かる位、胸の先が硬くなってしまっている。もしかしたら、お風呂場での余韻が残っていたのかも・・。
「おや?まだ返事を頂けないのですか?」
アルケーさんは芝居がかった口調でそういうとぴんと立ち上がった乳首を爪でカリカリと引っ掻く。
アルケーさんの馬鹿馬鹿馬鹿!こんな事されてまともに返事出来る訳ない!
「やッ!んん゛ッ♡」
むず痒い様な刺激に思わず高い声で啼いてしまう。アルケーさんの攻め方は私の弱い所を確実に突いて来る。泣きたい位に的確だ。止めて欲しいと続けて欲しいの間で、頭の中がぐらぐらする。本当なら立ち上がってアルケーさんの愛撫を振り払いたいけど、膝に力が入らない。それどころか、私の膝はふにゃりと行儀悪く開いてしまっている。さっきまでアルケーさんの方が乙女の様に恥じらっていたのに。な、何で今度は私が身体を差し出すみたいになってるんだろう?
「あ、あぅ・・あ、アル、ケーさん・・やぁ」
「はい、何でしょう?」
「ちょ、ちょっ、と、待っ、あんッ」
身体の方はアルケーさんから与えられる気持ち良さに浸食されてしまっているから、言葉だけでも何とか抵抗しようとする。しかし、上手く言葉を紡げない。アルケーさんは、快楽で私をじりじり追い詰める。アルケーさんの顔に視線を向け、意思を伝えようとするが完全に無視される。ぼんやりした頭でアルケーさんの瞳を見詰める。彼の琥珀色の瞳がキラキラ輝いている様に見える。獲物を観察する猫みたいだ。
「知ってましたか?貴女の『たくさん出して』は、私をとんでもなく煽るんですよ」
アルケーさんは優しく私にそう告げると「お仕置き」と言う様に、ぎゅっと胸の飾りを摘まみ上げた。強すぎる刺激に「や゛あ゛ぁッ!」と悲鳴に近い声を上げ腰が跳ねてしまう。お腹の奥からとろりと蜜が漏れ出すのが分かった。
も、もうヤダ・・。リビングでこんな風に乱れたくないってちょっと前にはっきり言ったのに。私がぐずぐずとすすり泣く様に「あ♡ぅん♡」と喘ぐとアルケーさんの手がふいに止まった。
お、終わったの?もしかして「止めて欲しい」と言う私の意思が伝わったのか、と思い広がっていた膝を何とか閉じ、乱れたスカートの裾を押さえアルケーさんの様子を伺う。アルケーさんは私の視線に気が付くと、穏やかな笑みを浮かべ右の手の平で私のお臍の下辺りをそっと押した。
「私は・・オトの此処、中に沢山、そうですね・・一滴残らず、出したい。ねぇ・・オト、良いでしょう?」
本当に・・私のトマリギはとんでもない事を言う。卑猥にも程が有る。
でも、でも・・懇願する様な声色に縋る様な瞳。こんなの「駄目」とか言える訳無い。完全にアルケーさんの策略に嵌っている。分かっているけど、私は小さく頷いてしまう。アルケーさんの周りの空気がふっと緩む。
「あぁ、本当は言葉で言って欲しいんですが、まぁ良いでしょう」
仕方無い、と言う風にアルケーさんは肩を竦め、悪さをしていた手を引いた。何処か表情は満足気だ。
私は尖った胸元を隠しながら「はぁはぁ」と息継ぎをする。う、うぅ・・酷い目に遭った。胸の飾りがじんじんする位立ち上がっている。多分、服の上からでも分かる位だと思う。下着と擦れると、お臍の奥が疼く。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる