名前を忘れた私が思い出す為には、彼らとの繋がりが必要だそうです

藤一

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私をとんでもなく煽るんですよ

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アルケーさんに「いけません」という言葉にひやりとする。恥ずかしさよりも急に不安になった。

「・・あのー、アルケーさん。もしかして私、えっと・・とんでもなく非常識な事を、その、口走ってしまったんでしょうか?」

きっと私は不安そうな表情になっていたんだろう。アルケーさんが「・・あッ」と呟き、私の方へ手を伸ばして私の手を安心させる様にきゅっと握った。

「・・すいません、その、悪い意味でオトに言ったんじゃないんです・・」

向かい合うアルケーさんは「どう説明すれば良いんでしょうか」と呟き、次の言葉を考えあぐねている。

「あぁ、そうですね・・オトのその可愛い『おねだり』は、その、こちらの世界では余り使われない言葉なので・・驚いたと言うか・・刺激が強いと言うか・・」

アルケーさんの語尾がごにょごにょと小さくなる。
そ、そうなんだ!こっちでは言わないんだ!そりゃ、驚くに決まっている。えっと、じゃあこっちでは、あぁいう時、何て言ってるんだろう?それとも何も言わないんだろうか?聞いてみたい気もしたが、アルケーさんが恥ずかしそうに顔を伏せているので聞くに聞けない。
普段は私が散々、辱めを受ける側なので、こうやって恥じらうアルケーさんを見ていると新鮮で弄りたくなってしまう。色々踏み込んで聞いてみたくなるが、そんなの完全にセクハラだ。諸々詳しく聞いてみたかったが、またの機会にした方が良さそうだ。若干、残念な気持ちになりながらアルケーさんの手にもう片方の手を重ねた。

「えっと・・気を付けます・・。その言葉、言わない様に気を付けますね・・」

私がそう言うと、アルケーさんは顔を上げて安心した様に微笑んだ。そして、私の手を離すと立ち上がり私の隣の椅子にゆっくり腰掛けた。

「ふふ、少し安心しました」

ん?何で隣に?わざわざ隣に移動して来たのは気になるが、「安心した」と言い笑顔のアルケーさんにつられて私も頬が緩む。
えーっと・・思わぬ所から、とんでもない『モノ』が飛んで来たが私が気を付ければ良い話らしい。言われた時はかなり恥ずかしかったけど、早めにアルケーさんに指摘して貰えて良かった・・んだろう。多分。
私が隣のアルケーさんと微笑み合い和やかな雰囲気になっていると、アルケーさんが笑みを深めながら身体を寄せ、ある『提案』をして来た。

「・・他のトマリギ前では駄目ですけど、私には・・これからも沢山言って下さって良いんですよ。私には、オトの可愛らしい『おねだり』をして下さいね♡」

アルケーさんは内緒話でもする様に私の耳元で囁く。アルケーさんの指が、提案に対して強張った私の頬をするりと撫で意味有り気に首筋を爪先で引っ掻いた。

「・・あの、アルケーさんには、た、た、沢山・・するんですか?」
「えぇ、他のトマリギに言わない分、沢山。ね?約束して下さるでしょう?」

アルケーさんは甘える様に『沢山言って』と要求する。そ、それって・・簡単に約束してはいけない様な気が。私は愛想笑いをして胡麻化そうとするが、アルケーさんは急かす様に首を傾げ「ね?」と呟く。その様子は犬がお座りをして上目遣いでこちらの様子を伺っている時とそっくりだ。しかし、私は素直に頷く事が出来ない。私が「Yes」の態度を見せない所為なのか彼の瞳が意地悪く細められ、私たちの周りの空気が少し冷たくなる。

「・・ねぇ、オト・・『はい』は?」

いつもよりワントーン低い声でアルケーさんが言う。迫る様な声色にぎくりとしてアルケーさんと視線を合わせる。アルケーさんは私と目が合うとにやりと口角を上げた。
私が「まずい」と思って身を引くより早くアルケーさんの手が私の胸元に伸び、私の右胸の先をきゅっと摘まむ。「やッ!」と私が反応すると、アルケーさんはくにくにと服の上から胸の先を弄び始めた。
ちょ、ちょっと待って!食事中だったよね!私の馬鹿馬鹿!アルケーさんが隣に来た時に、もっと用心すべきだった!
彼から与えられる刺激に「ひゃッ」と情けない声を上げ肩が揺れてしまう。アルケーさんの指を自分の右胸の飾りから引き離そうとするが、左胸も同じ様に摘ままれ「あッ♡ん゛♡」と抵抗する力が腕から抜けてしまう。少し捏ねられただけなのに自分でも分かる位、胸の先が硬くなってしまっている。もしかしたら、お風呂場での余韻が残っていたのかも・・。

「おや?まだ返事を頂けないのですか?」

アルケーさんは芝居がかった口調でそういうとぴんと立ち上がった乳首を爪でカリカリと引っ掻く。
アルケーさんの馬鹿馬鹿馬鹿!こんな事されてまともに返事出来る訳ない!

「やッ!んん゛ッ♡」

むず痒い様な刺激に思わず高い声で啼いてしまう。アルケーさんの攻め方は私の弱い所を確実に突いて来る。泣きたい位に的確だ。止めて欲しいと続けて欲しいの間で、頭の中がぐらぐらする。本当なら立ち上がってアルケーさんの愛撫を振り払いたいけど、膝に力が入らない。それどころか、私の膝はふにゃりと行儀悪く開いてしまっている。さっきまでアルケーさんの方が乙女の様に恥じらっていたのに。な、何で今度は私が身体を差し出すみたいになってるんだろう?

「あ、あぅ・・あ、アル、ケーさん・・やぁ」
「はい、何でしょう?」
「ちょ、ちょっ、と、待っ、あんッ」

身体の方はアルケーさんから与えられる気持ち良さに浸食されてしまっているから、言葉だけでも何とか抵抗しようとする。しかし、上手く言葉を紡げない。アルケーさんは、快楽で私をじりじり追い詰める。アルケーさんの顔に視線を向け、意思を伝えようとするが完全に無視される。ぼんやりした頭でアルケーさんの瞳を見詰める。彼の琥珀色の瞳がキラキラ輝いている様に見える。獲物を観察する猫みたいだ。

「知ってましたか?貴女の『たくさん出して』は、私をとんでもなく煽るんですよ」

アルケーさんは優しく私にそう告げると「お仕置き」と言う様に、ぎゅっと胸の飾りを摘まみ上げた。強すぎる刺激に「や゛あ゛ぁッ!」と悲鳴に近い声を上げ腰が跳ねてしまう。お腹の奥からとろりと蜜が漏れ出すのが分かった。
も、もうヤダ・・。リビングでこんな風に乱れたくないってちょっと前にはっきり言ったのに。私がぐずぐずとすすり泣く様に「あ♡ぅん♡」と喘ぐとアルケーさんの手がふいに止まった。
お、終わったの?もしかして「止めて欲しい」と言う私の意思が伝わったのか、と思い広がっていた膝を何とか閉じ、乱れたスカートの裾を押さえアルケーさんの様子を伺う。アルケーさんは私の視線に気が付くと、穏やかな笑みを浮かべ右の手の平で私のお臍の下辺りをそっと押した。

「私は・・オトの此処、中に沢山、そうですね・・一滴残らず、出したい。ねぇ・・オト、良いでしょう?」

本当に・・私のトマリギはとんでもない事を言う。卑猥にも程が有る。
でも、でも・・懇願する様な声色に縋る様な瞳。こんなの「駄目」とか言える訳無い。完全にアルケーさんの策略に嵌っている。分かっているけど、私は小さく頷いてしまう。アルケーさんの周りの空気がふっと緩む。

「あぁ、本当は言葉で言って欲しいんですが、まぁ良いでしょう」

仕方無い、と言う風にアルケーさんは肩を竦め、悪さをしていた手を引いた。何処か表情は満足気だ。
私は尖った胸元を隠しながら「はぁはぁ」と息継ぎをする。う、うぅ・・酷い目に遭った。胸の飾りがじんじんする位立ち上がっている。多分、服の上からでも分かる位だと思う。下着と擦れると、お臍の奥が疼く。
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