名前を忘れた私が思い出す為には、彼らとの繋がりが必要だそうです

藤一

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・・今からでも構いませんよ?※

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・・建物の中も外も静かだ。多分、神殿なり学校なりに皆が行った後の時間なんだろう。この辺り一帯、私達以外、誰も居ないんじゃないかという位静かだ。でも、この部屋の中は「ぐちゅぐちゅ、ぬちゅ」という重たくていやらしい音と、私の短い吐息だけで満たされている。

「あッ♡ふぁ・・うぅ、あぁ♡」

快感を逃そうとシーツを掴みながら思う。朝からこんな事、だ、駄目なのに。頭では分かってるのに身体が夜の事をしっかり覚えていて、また気持ち良くなりたがってる。
私から零れた蜜を纏ったアルケーさんの屹立したもので、花芽と誘う様に震えている入り口をぐりぐりと満遍なく擦られる。

「あぁ、ほら、オトの足の間に有る此処、指で触らなくても分かる位、ぷっくり膨らんでますね。後から私にしっかり見せて下さいね」
「うぅ・・ヤダぁ、み、見せら、れま、せん。あ゛あぅ♡」

私が嫌がると背後から「ふっ」と息が掛かり、胸の先がきゅっと摘ままれカリカリ引っ掻かれる。強すぎる位の快感に脚がピンっと伸び、私の中がどんどん蜜を溢れさせる。
お互いの粘膜を淫らに擦り合わせていると、背筋から爪先に向けて気持ち良いのがぞわそわと溜まって来る。挿入られてもないのに・・軽くイッちゃう・・。
アルケーさんの腕は緩んでいるから、身体を起こしてベッドから逃げ出す事も可能だが頭の中が「快感」に占領されて動けない。

「あんッ♡あんッ♡や゛ぁッ♡」
「・・ほら、オト、足を少し、上げて」

耳元でアルケーさんに言われるまま、片足を少し浮かせる。足を広げると「ぬちゃ」と言う粘度の高い卑猥な音が聞こえ、濡れた太ももが少しヒヤッとした。自分がどれだけ濡らしていたのか分かって恥ずかしくなる。そんな恥ずかしさもアルケーさんからの与えられる刺激で、あっと言う間に快感に塗り替えられる。

ぐぷぅ、ぐ・・ぐちゅう・・

淫らな音を立てて、アルケーさんのものがぐぷぐぷと私の中に入って来る。昨晩とは違い強引に分け入るというよりは、少しずつ腰を突きあげ、中をぬちぬちと丁寧に味わう様な腰の動きだ。

「あ゛んッ!あ゛ーー、あぁん♡♡き、きもち、いい♡い゛い゛♡」

前戯で焦らされていたので挿入られただけで軽くイッてしまった。はぁはぁと短い息継ぎをしながら、勝手に身体がぐーっとしなりアルケーさんの屹立したものが抜けそうになる。

「あぁ、オト、逃げないで下さいね」

アルケーさんが低く呟くと同時に、私の腰とお腹をぐっと押さえつけた。その所為で、私の中のより深い所に彼のものが埋まる。私のお腹の裏辺りに有る行き止まりをアルケーさんの先端でこつこつと突かれている感覚が有る。アルケーさんは私の弱い所を覚えてしまっているんだ。自分の弱い所を暴かれている、そんな事も「気持ち良い」に変換される。

「あ、アルケーさん、そこ、だめぇッ!そ、そんな事したら・・あ゛!あぁん♡また、イッちゃうからぁ♡」

頭を左右に振って「止めて」と言う意思表示をするが、背後でアルケーさんの低い笑い声が聞こえた。

「オトの『ダメ』とか『いや』は違う意味だと、私は理解してますからね♡」

ぬるりと私の中から異物が抜け「あッ!」と思った瞬間、アルケーさんが覆い被さって来た。彼の銀色の髪がさらさらと降って来る。琥珀色の瞳と銀色の髪、褐色の肌が私の視界を占領する。周りの静寂も相まって、この世界に二人しか居ないみたいだ。
アルケーさんは私の膝に手を置くと左右に割り開いて、一気に挿入って来た。さっきとは違う角度で中を刺激され、目の前が一瞬チカチカする。

「やぁ、ん・・ぁ、あッ♡やだぁ、あー・・♡♡イッちゃう、イ、イク・・♡」

二人が繋がった場所から、ぐちゅぐちゅとはしたない水音がする。耳をふさぎたくなる様な音だ。私を組み敷いたアルケーさんから「ふーッふーッ」と荒い息が降って来る。普段の穏やかなアルケーさんからは想像出来ない位、荒々しい息遣い。きっと彼も限界が近いんだ・・。アルケーさんの首に腕を回してぎゅうと抱き着くと、私の中を好き勝手に暴れていた屹立がムクッと質量を増したのが分かった。密着した彼の耳元に囁く。

「あ、アルケーさん・・あ゛ッ!あんッ♡いっしょに・・♡」

息も絶え絶えな私のお願いを正確に理解したらしいアルケーさんは腰の動きを激しくした。自分と私を追い立てるみたいに早く深くなる。どちゅ、どちゅ、と子宮の入り口を抉られ、その度に「ん゛ッ♡あ゛ん゛ッ♡」と低く啼いてしまう。アルケーさんが「くぅッ」と喉の奥から呻き声を上げた。

「ッ!出しますよッ♡」

私がこくこく頷くのと同時に、自分の奥に温かいものが勢いよく放たれたのが分かった。アルケーさんから出された白濁を飲み込む様にびくっびくっとお腹の奥が震える。喉を反らせて溜息の様な喘ぎ声が漏れる。

「あ゛ぁー・・ん゛♡♡」

うなじ、指先、爪先から寒気にも似たものが抜けて行き、身体がふにゃりと緩む。私に覆い被さっているアルケーさんも私の肩先に顔を寄せ、少し荒い息をしている。労わる様にアルケーさんの身体にそっと触れると、うっすら汗ばんでいてさっきまでの激しい行為を思い出させる。アルケーさんは私の額に掛かった髪を指先で払って、優しく口付けた。

「・・朝から、その・・無理をさせました。すいません」

アルケーさんが私の目を真っ直ぐ見詰め、申し訳無さそうにする。私は返答に困る。こ、こういう時、どう言えば正解なんだろうか?「気にしないで」?「気持ち良かった」?「お互い様」?
少し悩んでから、私の正直な気持ちを伝える事にした。

「・・いえ、あ、あの・・その、また、し、し、しましょうね」

私が顔を赤くしながらそう答えると、アルケーさんから笑みが零れる。私の少し赤くなった耳元にアルケーさんは唇を寄せ柔らかく囁く。

「えぇ、勿論。・・今からでも構いませんよ?」

アルケーさんは続けて「どうします?」と私の瞳を覗き込んだ。お互いの目を見合わせ、二人同時にくすりと笑う。二人の笑い声が合図になって私はアルケーさんの首に腕を絡ませ口付けをした。
アルケーさんの体温を感じながら、目を閉じる。こうやって、二人で笑い合ってキスをすると・・身体も心も繋がったみたいで・・凄く満たされた気持ちになる。・・あぁ、今、本当に幸せかもしれない。私はそのまま意識を手放した。


結局、次に目が覚めたのがお昼も大幅に過ぎた頃で、隣にアルケーさんは姿は無い。多分、神殿に行ったんだろう。

「うぅ・・アルケーさん、お仕事、大丈夫だと良いんだけど・・」

アルケーさんの残り香が濃く残るシーツに裸で包まって呟く。素肌に感じるシーツの感触が夜と朝の行為を思い出させて顔に熱が集まって来た。アルケーさんの熱っぽい声色を思い返すときゅっと胸が疼く。とろりと自分の中から蜜を零してしまった様な気がする。
駄目だ。身体が「快感」を覚えていて、また気持ち良くなりたがっている。乱れたベッドに独りで居るのは宜しくない。

「はぁ・・駄目だ。起きよう」

名残惜しい様な恥ずかしい様な、複雑な思いを抱えながらもぞもぞ起き上がる。下着やら部屋着やらは枕元に置いて有った。これってアルケーさんが置いてくれたんだよね・・。身支度を整えベッドから下りると膝ががくがくするし、太もも辺りは筋肉痛の様に怠い。セックスで筋肉痛とか、運動不足過ぎる・・。苦笑いしながら、太ももの辺りをとんとんと軽く叩く。

リビングに行くと、いつも通りのアルケーさんが居た。ダイニングテーブルに書類を広げてメモをしていた。服装からして多分、神殿には行ったんだと思う。私に気付くと微笑んで、隣に座る様に促す。

「あぁ、オト。おはようございます。どうぞこちらへ」
「は、はい・・お邪魔、します」

アルケーさんの隣に腰掛けると、彼の香りがふわりと流れて来て妙に意識してしまう。でも、隣のアルケーさんはいつも通りだ。昨日、身体を繋げたのは夢だったんじゃないか、っていう位いつも通りだ。私だけドキドキして、不公平と言うか何と言うか。
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