59 / 60
リスランダからの脱出
勇者の過ち
しおりを挟む
「わお!思ったより簡単に終わったわね。
それにしても…響、なんでそんなに苛ついてるの?」
「うるさい。
色々と考えてるところなんだよ。」
「もお~、私にまで八つ当たりしないでよ。
なんでそんなに怒ってるの~」
決着は意外にも一撃で終わった。
音宮に切られたギルが起き上がってくる様子もない。
「クロエ、お前は知ってたのか?
この国に魔王軍がいないって事。」
「まあね。ってか、この世界で旅してる人なら誰でも気付くと思うけど…
まあ、そんな人は全員犯罪者扱いされるんだけどね。
言っておくけど犯罪者=良い人って訳じゃないからね。
普通に何らかの罪犯して追われてる人が殆どだし気付いても誰も魔王軍なんて興味ないから放置されてる。
居ても居なくてもどうでも良いんだよ。
私だって国を追われたのは別の理由。
居ないことに気付いたのは旅をしてからだから。
それに他にも各国の権力者たちなら知ってるはずよ。
そこのギルみたいに。」
「目的は?」
「さあ?
昔は本当に居たみたいなんだけど、それこそ勇者って人が倒しちゃったみたいでね。
その後から魔王軍なんて無くなったんじゃないかな。
建物は壊す、食糧や装備品は国持ち、建物の被害額も相当あったのに肝心の勇者はそんなの気にも留めず街中の女と遊び放題。
挙げ句の果てには子供を作るだけ作って何処か別の世界に消えていったそうよ。
それの被害額が大きくて税金上げてなんとかしてたみたいなんだけど…これ以上は私でもわからないわ。」
「勇者はどうなった?
話を聞く限り国王が帰したという訳では無さそうだが…」
「勝手に消えてったみたい。
自分の意思で帰れたんじゃないの?
でも、数年後この世界に勇者が置いてった子供たちが再度召喚する事に成功したみたい。
結果的には自分の子供に殺されちゃうんだけどね。
その時使われたのが今も続いてる勇者召喚の術って話。
勇者に関しての話は絵本にもなってて、私たちは小さい頃から勇者は悪い人って聞いて生きて来たわ。」
なんとなくだが王国騎士団が俺を消そうとしている理由がわかった。
真偽は定かではないが、過去の勇者の行いのせいで俺たちがとばっちりを受けている事は確かだ。
まあ、そんな事は実際俺にとってはどうでもいい。
別に魔王軍が居なかろうと、この世界の人々から怨まれていようとそんな事は気にしない。
俺が一番腹を立てているのは魔王軍が居ないってところだ。
クソ…!魔王がいなけりゃ俺たちは……
「ねえ?響が勇者って事は知ってるけど、何をそんなに怒ってるの?
魔王がいないって喜びはしても、怒る要素ないと思うんだけど…
むしろラッキーじゃん。
響、戦う気無さそうだったし。」
「馬鹿か。
俺は戦うつもりはないが魔王には居て貰わないと困る。
魔王がいないと俺はどうやって元の世界に帰ったらいいんだ?
これじゃあ俺の、クラスメイトに魔王倒して貰って俺だけ楽するって作戦が台無しだ!
これがイラつかずにいられるか。」
元の世界に帰る手立てを失ってしまった。
もとより、魔王を倒したからといって、元の世界に戻れる保証もなかったのだが、それでも賭けるには十分価値のあるものだった。
それが魔王討伐だ。
しかし、肝心の魔王がいないとなれば俺たちは一体何をしたら元の世界に帰る事が出来る。
国王は知ってるかも知れないが当てにはならない。
なんせ勇者に怨みを持ち、影では殺そうとしている奴らだ。
そんな奴がわざわざ元の世界に帰れる方法など調べる訳もない。
振り出しに戻るどころか、後退しちまってるじゃねえかよ…
元の世界に帰る手段を考えてる音宮に対し、クロエは別の事で不思議に思っていた
「ねえ、これっていつ解除されるの?」
怒りで周りが見えなくなっていた。
確かな手応えと倒れていく姿からつい倒したものと思い込んでしまい、肝心なことを見失っていた。
おかしいだろ。
倒せばスキルは解除される。
これはファング戦で実証済みだ。
だが、このフィールドは解除されず、二人が話してる間もそのままであった。
つまりーーーー
「ほっとかれると寂しいじゃねえの。
俺も混ぜてくれやぁ。」
ギル・オーガイは生きている。
それにしても…響、なんでそんなに苛ついてるの?」
「うるさい。
色々と考えてるところなんだよ。」
「もお~、私にまで八つ当たりしないでよ。
なんでそんなに怒ってるの~」
決着は意外にも一撃で終わった。
音宮に切られたギルが起き上がってくる様子もない。
「クロエ、お前は知ってたのか?
この国に魔王軍がいないって事。」
「まあね。ってか、この世界で旅してる人なら誰でも気付くと思うけど…
まあ、そんな人は全員犯罪者扱いされるんだけどね。
言っておくけど犯罪者=良い人って訳じゃないからね。
普通に何らかの罪犯して追われてる人が殆どだし気付いても誰も魔王軍なんて興味ないから放置されてる。
居ても居なくてもどうでも良いんだよ。
私だって国を追われたのは別の理由。
居ないことに気付いたのは旅をしてからだから。
それに他にも各国の権力者たちなら知ってるはずよ。
そこのギルみたいに。」
「目的は?」
「さあ?
昔は本当に居たみたいなんだけど、それこそ勇者って人が倒しちゃったみたいでね。
その後から魔王軍なんて無くなったんじゃないかな。
建物は壊す、食糧や装備品は国持ち、建物の被害額も相当あったのに肝心の勇者はそんなの気にも留めず街中の女と遊び放題。
挙げ句の果てには子供を作るだけ作って何処か別の世界に消えていったそうよ。
それの被害額が大きくて税金上げてなんとかしてたみたいなんだけど…これ以上は私でもわからないわ。」
「勇者はどうなった?
話を聞く限り国王が帰したという訳では無さそうだが…」
「勝手に消えてったみたい。
自分の意思で帰れたんじゃないの?
でも、数年後この世界に勇者が置いてった子供たちが再度召喚する事に成功したみたい。
結果的には自分の子供に殺されちゃうんだけどね。
その時使われたのが今も続いてる勇者召喚の術って話。
勇者に関しての話は絵本にもなってて、私たちは小さい頃から勇者は悪い人って聞いて生きて来たわ。」
なんとなくだが王国騎士団が俺を消そうとしている理由がわかった。
真偽は定かではないが、過去の勇者の行いのせいで俺たちがとばっちりを受けている事は確かだ。
まあ、そんな事は実際俺にとってはどうでもいい。
別に魔王軍が居なかろうと、この世界の人々から怨まれていようとそんな事は気にしない。
俺が一番腹を立てているのは魔王軍が居ないってところだ。
クソ…!魔王がいなけりゃ俺たちは……
「ねえ?響が勇者って事は知ってるけど、何をそんなに怒ってるの?
魔王がいないって喜びはしても、怒る要素ないと思うんだけど…
むしろラッキーじゃん。
響、戦う気無さそうだったし。」
「馬鹿か。
俺は戦うつもりはないが魔王には居て貰わないと困る。
魔王がいないと俺はどうやって元の世界に帰ったらいいんだ?
これじゃあ俺の、クラスメイトに魔王倒して貰って俺だけ楽するって作戦が台無しだ!
これがイラつかずにいられるか。」
元の世界に帰る手立てを失ってしまった。
もとより、魔王を倒したからといって、元の世界に戻れる保証もなかったのだが、それでも賭けるには十分価値のあるものだった。
それが魔王討伐だ。
しかし、肝心の魔王がいないとなれば俺たちは一体何をしたら元の世界に帰る事が出来る。
国王は知ってるかも知れないが当てにはならない。
なんせ勇者に怨みを持ち、影では殺そうとしている奴らだ。
そんな奴がわざわざ元の世界に帰れる方法など調べる訳もない。
振り出しに戻るどころか、後退しちまってるじゃねえかよ…
元の世界に帰る手段を考えてる音宮に対し、クロエは別の事で不思議に思っていた
「ねえ、これっていつ解除されるの?」
怒りで周りが見えなくなっていた。
確かな手応えと倒れていく姿からつい倒したものと思い込んでしまい、肝心なことを見失っていた。
おかしいだろ。
倒せばスキルは解除される。
これはファング戦で実証済みだ。
だが、このフィールドは解除されず、二人が話してる間もそのままであった。
つまりーーーー
「ほっとかれると寂しいじゃねえの。
俺も混ぜてくれやぁ。」
ギル・オーガイは生きている。
0
お気に入りに追加
614
あなたにおすすめの小説
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~
十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。
転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです
狼蝶
恋愛
転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?
学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる