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黒牙の盗賊団
反逆
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経済大国オスヴィン
この地では蛇河が着々と国内を手中に収めている。
王も兵士も門番も、王宮を訪ねてきた者達は軒並み彼の毒蛇の毒をその身に注入され、中毒症状に陥っていた。
「この国の兵士たちは弱っちいなぁ~。
誰も僕の相手にならない。
僕がちょっとスキル使ったらみんな簡単にやられちゃうんだもん。
毒にそれなりの耐性がある人たちはまだ僕の言いなりになってくれないけど、それも時間の問題でしょ。
なんせ国王がやられちゃってるんだからね。
実質僕がこの国の王さ!
なあ、君もそう思うだろ?」
「……………」
「だんまりか。
君もいい加減僕の毒を受け入れなよ。
そしてらみんなと一緒になれて楽なのに。
まあ、別にそのままでも僕は構わないんだけどね。」
王宮では、蛇河が王座に座っている。
近くに脇谷の姿もあるが彼は生気のない虚な目をしていた。
脇谷は蛇河の言葉になんの反応もせず、王の間を出ると屋敷の外が騒がしい事に気がつく。
誰かが騒いでいる様子だ。
「おい!外が騒がしいぞ!なにがあった!」
その音に気付いたのか王の間にいた蛇川が近くの兵士に話しかける。
「はっ!少々お待ち下さい。
…どうやら、何者かが抗議をしに来たそうで。
商人街から奴隷を無償で勇者が奪ったようだが、国王は何をお考えかとの事です。
如何しますか?」
まだ、この王国で僕に逆らうやつがいたのか。
「適当に追い返せ!…そうだ!
拒むようであれば、そいつの店の商品をすべて頂いた後、国外追放にしよう。
見せしめで死刑にしてもいいなあ。
うん、そうしよう。」
「はっ!では、その者の財産をすべて奪った後、死刑に処します。」
この国はもうだめだ。
僕は何で蛇川なんかに付いてきたんだろうか。
学校では少し根暗で嫌味な奴ではあったが、他人に危害を加えるようなことは絶対にしない奴だった。
それが、どうして…
「なんだい?脇谷くん。
なにかこの僕に言いたいことでも。
君が生きているのは、この世界に来る前からの友人だったってだけだからね。
僕の気まぐれ一つで君の命もなくなるんだよ。
君を殺さないのはこの僕の優しさってわけ。
わかったら、僕に逆らうことなく大人しくしててよね。」
駄目だ。僕では彼を止めることは出来ない。
誰か…蛇川くんを止めてくれ。
脇谷が蛇河から逃げる様に自室に戻ろうとしたその時、王の間の壁が破壊される。
「誰だ!こんなところで暴れている奴は!
ここは王の間だぞ!それを分かっているのか!」
破壊された扉の向こうから3人の人影が現れる。
「アーロイド、兵士たちの状態はどうなっていますか?」
「はい。どうやらまともな思考回路ではない様に思われます。
これは…毒の様なものですかね。
どうやら中毒症状に陥っている様です。
解除方法は今のところ見つかりません。」
「わかりました。
毒系統のスキルは大抵、使用者本人が解毒できるパターンがあるので彼を拘束出来れば問題ないでしょう。
マリアーネ、準備は出来ていますか?」
「はい。当初の予定通り、準備完了しております。
必要とあらば、緊急時の対応も可能です。」
「それはなにより。
では、悪者退治と行きましょうか。
頂いた賃金分の働きはキッチリと行うように。
手を抜くことはこの私が許しませんよ。」
「「はい!!」」
3人が蛇河に向かって行く。
「おい!僕が誰だかわかってるのか!僕は勇者だぞ!」
「ええ、知っていますよ。
それがどうかしましたか?」
「は?僕はお前らの為にこの世界を救うように頼まれて来たんだ。
お前らが僕たち勇者に歯向かっていいはずがないだろう!
それに、国王だって僕がしたことになにも文句を言ってないんだ。
お前たちがやってる事は国家転覆だぞ!
それでもいいのか!」
「はあ…一体何を言っているのかと思えば、今の勇者はそんな事も知らないのですね。
まあ、王国兵たちが教えてくれる筈もないですが少し考えればわかるものを…
いいですか?勇者とは我々の世界ではただ別世界から来た迷惑な人間に他ならないのです。
国王たちが習わしとして数年に一度召喚し、ある程度利用したら処分する。
発現するスキルが強力なだけに、最小限の訓練で利用できる使い捨ての兵士みたいなものです。
別に貴方たちに対する敬意なんてものを持ち合わせている人はいませんよ。
それに、国家転覆といいますが、ここオスヴィンでは国王などただの飾りに過ぎません。
この国では、一番金を稼いだものこそが権力を得ることが出来る。
王は国営を任されただけ。
ただの職業に過ぎないのですよ。」
「なにを…言っているんだ…俺は勇者だぞ!選ばれた人間なんだ。
…そうか!わかったぞ。お前ら魔王の手先だな!俺は騙されないぞ!
おい!脇谷!協力しろ。
あいつらの動きを止めるんだ!」
「えっ…ああ…うん。」
脇谷がスキル『停止』を発動する。
効果は一定範囲の相手の動きを止めるものだ。
そして、脇谷自身は気付いていないが、このスキルの真髄は相手のスキルを停止する事が出来る点にある。
蛇川の毒の効果を受けなかったのは、『停止』のスキルが所有者の身の危険を感じ取り、自動的に発動したからである。
「ほう…これは…動けませんね。」
「へへへ…勇者である僕たちに逆らうからこうなるんだ。
僕の可愛いペットたち、出ておいで。
ご飯の時間だよ。」
蛇河の背後から無数の蛇が現れる。
大きさこそ大した事はないが、その数は数百を越え、王の間は蛇で埋め尽くされた。
この地では蛇河が着々と国内を手中に収めている。
王も兵士も門番も、王宮を訪ねてきた者達は軒並み彼の毒蛇の毒をその身に注入され、中毒症状に陥っていた。
「この国の兵士たちは弱っちいなぁ~。
誰も僕の相手にならない。
僕がちょっとスキル使ったらみんな簡単にやられちゃうんだもん。
毒にそれなりの耐性がある人たちはまだ僕の言いなりになってくれないけど、それも時間の問題でしょ。
なんせ国王がやられちゃってるんだからね。
実質僕がこの国の王さ!
なあ、君もそう思うだろ?」
「……………」
「だんまりか。
君もいい加減僕の毒を受け入れなよ。
そしてらみんなと一緒になれて楽なのに。
まあ、別にそのままでも僕は構わないんだけどね。」
王宮では、蛇河が王座に座っている。
近くに脇谷の姿もあるが彼は生気のない虚な目をしていた。
脇谷は蛇河の言葉になんの反応もせず、王の間を出ると屋敷の外が騒がしい事に気がつく。
誰かが騒いでいる様子だ。
「おい!外が騒がしいぞ!なにがあった!」
その音に気付いたのか王の間にいた蛇川が近くの兵士に話しかける。
「はっ!少々お待ち下さい。
…どうやら、何者かが抗議をしに来たそうで。
商人街から奴隷を無償で勇者が奪ったようだが、国王は何をお考えかとの事です。
如何しますか?」
まだ、この王国で僕に逆らうやつがいたのか。
「適当に追い返せ!…そうだ!
拒むようであれば、そいつの店の商品をすべて頂いた後、国外追放にしよう。
見せしめで死刑にしてもいいなあ。
うん、そうしよう。」
「はっ!では、その者の財産をすべて奪った後、死刑に処します。」
この国はもうだめだ。
僕は何で蛇川なんかに付いてきたんだろうか。
学校では少し根暗で嫌味な奴ではあったが、他人に危害を加えるようなことは絶対にしない奴だった。
それが、どうして…
「なんだい?脇谷くん。
なにかこの僕に言いたいことでも。
君が生きているのは、この世界に来る前からの友人だったってだけだからね。
僕の気まぐれ一つで君の命もなくなるんだよ。
君を殺さないのはこの僕の優しさってわけ。
わかったら、僕に逆らうことなく大人しくしててよね。」
駄目だ。僕では彼を止めることは出来ない。
誰か…蛇川くんを止めてくれ。
脇谷が蛇河から逃げる様に自室に戻ろうとしたその時、王の間の壁が破壊される。
「誰だ!こんなところで暴れている奴は!
ここは王の間だぞ!それを分かっているのか!」
破壊された扉の向こうから3人の人影が現れる。
「アーロイド、兵士たちの状態はどうなっていますか?」
「はい。どうやらまともな思考回路ではない様に思われます。
これは…毒の様なものですかね。
どうやら中毒症状に陥っている様です。
解除方法は今のところ見つかりません。」
「わかりました。
毒系統のスキルは大抵、使用者本人が解毒できるパターンがあるので彼を拘束出来れば問題ないでしょう。
マリアーネ、準備は出来ていますか?」
「はい。当初の予定通り、準備完了しております。
必要とあらば、緊急時の対応も可能です。」
「それはなにより。
では、悪者退治と行きましょうか。
頂いた賃金分の働きはキッチリと行うように。
手を抜くことはこの私が許しませんよ。」
「「はい!!」」
3人が蛇河に向かって行く。
「おい!僕が誰だかわかってるのか!僕は勇者だぞ!」
「ええ、知っていますよ。
それがどうかしましたか?」
「は?僕はお前らの為にこの世界を救うように頼まれて来たんだ。
お前らが僕たち勇者に歯向かっていいはずがないだろう!
それに、国王だって僕がしたことになにも文句を言ってないんだ。
お前たちがやってる事は国家転覆だぞ!
それでもいいのか!」
「はあ…一体何を言っているのかと思えば、今の勇者はそんな事も知らないのですね。
まあ、王国兵たちが教えてくれる筈もないですが少し考えればわかるものを…
いいですか?勇者とは我々の世界ではただ別世界から来た迷惑な人間に他ならないのです。
国王たちが習わしとして数年に一度召喚し、ある程度利用したら処分する。
発現するスキルが強力なだけに、最小限の訓練で利用できる使い捨ての兵士みたいなものです。
別に貴方たちに対する敬意なんてものを持ち合わせている人はいませんよ。
それに、国家転覆といいますが、ここオスヴィンでは国王などただの飾りに過ぎません。
この国では、一番金を稼いだものこそが権力を得ることが出来る。
王は国営を任されただけ。
ただの職業に過ぎないのですよ。」
「なにを…言っているんだ…俺は勇者だぞ!選ばれた人間なんだ。
…そうか!わかったぞ。お前ら魔王の手先だな!俺は騙されないぞ!
おい!脇谷!協力しろ。
あいつらの動きを止めるんだ!」
「えっ…ああ…うん。」
脇谷がスキル『停止』を発動する。
効果は一定範囲の相手の動きを止めるものだ。
そして、脇谷自身は気付いていないが、このスキルの真髄は相手のスキルを停止する事が出来る点にある。
蛇川の毒の効果を受けなかったのは、『停止』のスキルが所有者の身の危険を感じ取り、自動的に発動したからである。
「ほう…これは…動けませんね。」
「へへへ…勇者である僕たちに逆らうからこうなるんだ。
僕の可愛いペットたち、出ておいで。
ご飯の時間だよ。」
蛇河の背後から無数の蛇が現れる。
大きさこそ大した事はないが、その数は数百を越え、王の間は蛇で埋め尽くされた。
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