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黒牙の盗賊団
降参
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「おらおらどうしたぁ。そんなもんかよ!
逃げてばっかじゃ俺には勝てねえよ。
またさっきのぶち込んでみろよ。」
こいつ、うぜぇ戦い方しやがる。
いくら『超回復《ハイヒール》』のスキルがあるからってこうも捨て身で攻めてくるとは……
常時『超回復』を発動させ、ダメージを打ち消しながら音宮を捕らえようとするファングに対し、音宮は指を鳴らし衝撃波《ソニックブーム》で応戦し遠くへ弾き飛ばすが、ファングはまるでダメージを受けていない。
クソ!こんな戦い方を続けられたら消耗していくばかりだ。
それに、この衝撃波は近距離にいる相手にはそれなりの威力を発揮するが、敵が遠ければ遠いほど威力は低くなる。
音を発してからしか発動できない以上、技を出すタイミングを読まれてしまえば反撃を受けてしまう。
「くう~。効くぜぇ。何のスキルかわからねえが、お前のスキルが欲しくなってきた。せいぜい、盗られないようにあがいてみな!」
いつまでも衝撃波《ソニックブーム》を撃っていても埒が明かない。
一か八かだが、近接戦でやるしかないか。
いくら『超強化』を使われていようとも、反音響《エコーロケーション》で感知しながら戦えば対応できる筈だ。
突進してくるファングに対し、音宮は衝撃波を撃つのを止め体術で応戦する。
「俺を近付けるなんて何考えてんだ?
1分間俺に触れられ続けるとスキル奪われるんだぜ。
せっかく教えて貰ったのに、もう忘れちまったのかよ。」
「逆に言えば途中でお前を剥がせば問題ない。
戦闘中に1分間敵に触れ続けるなんてそれなりの力の差がなきゃ出来ない芸当だ。
だからお前はクロエのスキルを奪う時、油断させるために子供に変身していた。
ちがうか?」
「まあ、流石にわかっちまうよな。
そりゃそうだ。戦闘中に1分間相手に触れるっていう条件は結構ハードル高くてよ。
なんせ、こっちは片手使えねえのに相手の間合いに居なきゃいけないんだぜ。
やってられねえっての。
だから普段はクロエみてえに騙し討ちか相手をぼこぼこにした後にゆっくり奪う事にしてんだ。
だけど稀にお前みたいな面倒な相手がいる。
俺はこう見えて用意周到な性格でな…対策はしてるんだよ!」
ファングの腰に巻かれていたチェーンが突如として2人を囲むように動き、地面に円を描いた。
「『円状の鎖《サークルチェーン》』俺が魔力を流し続ける限り、この円から出た者をどこまでも自動追尾する鎖だ。
結界のような役割は出来ねえが、簡単に逃がしたりはしねえ。」
「そうか…お前たしか魔導具を幾つか持ってるんだったな。」
「使わねえから忘れてたろ。
まあ、そう使い勝手のいいもんばかりじゃねえって事だ。」
迂闊だったな。
これまで一切使ってこなかったから戦闘には役に立たないものだと思い込んでいた。
もう少し警戒しておくべきだったな…
「ーーーー!おいお前、それは一体何のつもりだ。」
ファングが戦いを再開しようとした瞬間、音宮は目の前で信じられない行動を始める。
「なにって……見てわからないか?降参だよ、降参。もう疲れた。」
両手を上げ降参のポーズをする音宮。
罠かとも考えたが戦う意思がない事が伝わって来る。
「疲れただと…一体何考えてやがる。別に俺はお前を生かしておく理由なんてねえ。この場で殺されるかも知れねえんだぞ。」
「だろうな。お前、なにか勘違いしてないか?
俺はこれ以上戦ったところで消耗するだけだし、勝ち目がないとまでは言わないが時間が掛かりそうだからこの辺で辞めるってだけの話だ。
俺の役目は十分果たした。後はあいつがやってくれるさ。」
「あいつ?………まさか!!」
異様な気配を感じ、振り返るが誰もいない。
気のせいか………
「どこ見てるの?こっちだよ。」
聞き覚えのある事が背後から聞こえたかと思えば、ファングの体は遥か彼方へと弾き飛ばされていた。
この威力………マズい!『超回復』が間に合わねえ。
攻撃を受けたと同時に『超回復』を発動するが回復速度を上回るダメージに襲われ完全に治す事が出来ない。
「お待たせ、思ったよりも平気そうで良かったよ。」
「馬鹿言うな。………それにしても、やっぱお前のそれ反則だよな。
獣人全員が使えるのか?」
「そう便利なものでもないけどね。
準備に時間かかるから一人の時はほぼ使えないし。
獣人特有ってわけでもないと思うけど少なくとも人間には出来ないかな。」
「へえ…あいつそろそろ起き上がるぞ。」
「言われなくても分かってるよ。」
音宮の目の前にはクロエの姿があった。
見た目にさほどの変化はないが、背後から尻尾が2本生えており体は白い光のオーラに包まれている。
「さてと、私のスキル返して貰わなきゃね。」
逃げてばっかじゃ俺には勝てねえよ。
またさっきのぶち込んでみろよ。」
こいつ、うぜぇ戦い方しやがる。
いくら『超回復《ハイヒール》』のスキルがあるからってこうも捨て身で攻めてくるとは……
常時『超回復』を発動させ、ダメージを打ち消しながら音宮を捕らえようとするファングに対し、音宮は指を鳴らし衝撃波《ソニックブーム》で応戦し遠くへ弾き飛ばすが、ファングはまるでダメージを受けていない。
クソ!こんな戦い方を続けられたら消耗していくばかりだ。
それに、この衝撃波は近距離にいる相手にはそれなりの威力を発揮するが、敵が遠ければ遠いほど威力は低くなる。
音を発してからしか発動できない以上、技を出すタイミングを読まれてしまえば反撃を受けてしまう。
「くう~。効くぜぇ。何のスキルかわからねえが、お前のスキルが欲しくなってきた。せいぜい、盗られないようにあがいてみな!」
いつまでも衝撃波《ソニックブーム》を撃っていても埒が明かない。
一か八かだが、近接戦でやるしかないか。
いくら『超強化』を使われていようとも、反音響《エコーロケーション》で感知しながら戦えば対応できる筈だ。
突進してくるファングに対し、音宮は衝撃波を撃つのを止め体術で応戦する。
「俺を近付けるなんて何考えてんだ?
1分間俺に触れられ続けるとスキル奪われるんだぜ。
せっかく教えて貰ったのに、もう忘れちまったのかよ。」
「逆に言えば途中でお前を剥がせば問題ない。
戦闘中に1分間敵に触れ続けるなんてそれなりの力の差がなきゃ出来ない芸当だ。
だからお前はクロエのスキルを奪う時、油断させるために子供に変身していた。
ちがうか?」
「まあ、流石にわかっちまうよな。
そりゃそうだ。戦闘中に1分間相手に触れるっていう条件は結構ハードル高くてよ。
なんせ、こっちは片手使えねえのに相手の間合いに居なきゃいけないんだぜ。
やってられねえっての。
だから普段はクロエみてえに騙し討ちか相手をぼこぼこにした後にゆっくり奪う事にしてんだ。
だけど稀にお前みたいな面倒な相手がいる。
俺はこう見えて用意周到な性格でな…対策はしてるんだよ!」
ファングの腰に巻かれていたチェーンが突如として2人を囲むように動き、地面に円を描いた。
「『円状の鎖《サークルチェーン》』俺が魔力を流し続ける限り、この円から出た者をどこまでも自動追尾する鎖だ。
結界のような役割は出来ねえが、簡単に逃がしたりはしねえ。」
「そうか…お前たしか魔導具を幾つか持ってるんだったな。」
「使わねえから忘れてたろ。
まあ、そう使い勝手のいいもんばかりじゃねえって事だ。」
迂闊だったな。
これまで一切使ってこなかったから戦闘には役に立たないものだと思い込んでいた。
もう少し警戒しておくべきだったな…
「ーーーー!おいお前、それは一体何のつもりだ。」
ファングが戦いを再開しようとした瞬間、音宮は目の前で信じられない行動を始める。
「なにって……見てわからないか?降参だよ、降参。もう疲れた。」
両手を上げ降参のポーズをする音宮。
罠かとも考えたが戦う意思がない事が伝わって来る。
「疲れただと…一体何考えてやがる。別に俺はお前を生かしておく理由なんてねえ。この場で殺されるかも知れねえんだぞ。」
「だろうな。お前、なにか勘違いしてないか?
俺はこれ以上戦ったところで消耗するだけだし、勝ち目がないとまでは言わないが時間が掛かりそうだからこの辺で辞めるってだけの話だ。
俺の役目は十分果たした。後はあいつがやってくれるさ。」
「あいつ?………まさか!!」
異様な気配を感じ、振り返るが誰もいない。
気のせいか………
「どこ見てるの?こっちだよ。」
聞き覚えのある事が背後から聞こえたかと思えば、ファングの体は遥か彼方へと弾き飛ばされていた。
この威力………マズい!『超回復』が間に合わねえ。
攻撃を受けたと同時に『超回復』を発動するが回復速度を上回るダメージに襲われ完全に治す事が出来ない。
「お待たせ、思ったよりも平気そうで良かったよ。」
「馬鹿言うな。………それにしても、やっぱお前のそれ反則だよな。
獣人全員が使えるのか?」
「そう便利なものでもないけどね。
準備に時間かかるから一人の時はほぼ使えないし。
獣人特有ってわけでもないと思うけど少なくとも人間には出来ないかな。」
「へえ…あいつそろそろ起き上がるぞ。」
「言われなくても分かってるよ。」
音宮の目の前にはクロエの姿があった。
見た目にさほどの変化はないが、背後から尻尾が2本生えており体は白い光のオーラに包まれている。
「さてと、私のスキル返して貰わなきゃね。」
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