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それぞれの行方
クラスメイトの現状①
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その場所で行われている行為は、見るに堪えないものであった。
血塗れの男性達に、意識がない女性たち。
女性の体中には男性の体液が纏わりついており、男女問わず一糸纏わぬ姿になっていた。
「ハハハ!この世界は最高だなぁ。
力こそが正義!強けりゃ何やっても良いんだからな。
おら、イくぜ!しっかり受け止めな。」
女性も初めの頃は激しく拒絶していたが、もはや抵抗の意志すらない。
「はぁ…こいつも飽きたな。」
そう言うと、女性の頭をいとも簡単に握りつぶした。
「次は運動がしてぇなぁ。」
男がツカツカと歩いて行くとその先にいる男性人は辞めてくれと懇願するが、その言葉を聞く様子はない。
「お前で良いや。ありがたく思えよ。
俺のサンドバックになれるんだから。」
拳を一度振り抜く。
ただそれだけで、男性は粉々に弾け散ってしまった。
「使えねえ…おい、猿山!もっと女とサンドバックを調達して来い!何のためにお前を仲間に入れてやったと思ってんだ!」
「はっ…ハイ!今行きますよ~へへへ、極上の女連れてきま~す。」
「拳一!あんま殺し過ぎんなよ。
俺の分も残してんだろうなあ。」
「なあに、街中の人間を全部従わせちゃいいだけの事だ。
俺たちにはその力がある。足りなくなるなんて事はねえよ。
これも決得、お前のお陰だぜぇ。
お前のスキル『決闘』がある限り、俺と不破が負けることはねえ。
これからも仲良くしようぜぇ。俺たちは仲間なんだからな。」」
「うん、ありがとう。これからもよろしくね。」
「ハハハ、だいぶ素直になったじゃねえの。最初っから俺の言う事を聞いてりゃ痛い目みなくて済んだのになぁ。」
決得健太《けっとくけんた》、彼は学校でも特に目立つ生徒ではなかったが、不条理な事が嫌いな人間だった。
父親が警察官だという事もあり、正義感は人一倍強い方だったと思う。
不良である鬼頭たちと対立する事もあったが、柔道を嗜んでいる決得が負ける事はなかった。この世界に来るまでは。
あれは、班決めを行う前の日の出来事だ。
「よう、決得。お前、明日の班決め誰と組むか決めてるのかよ。」
就寝前、割り当てられた部屋に戻ろうと歩いていた時、不意に鬼頭から話しかけられた。
「まだ正式には決めていないけど多田君の班に入れて貰えないかって考えてる。
彼は音宮君を探しに行きたいみたいだったし、僕も気になってるから力になりたいって思ってるから…それがどうかしたのかい?」
「いや…なあ、俺の班に入らねえか。聖の奴がリーダーに選ばれっちまったからよ。人数が足りねえんだ。」
「なんで僕が君なんかの班に…お断りだ。」
「いいのか?班はどうせ最低でも4人は必要なんだ。お前が入らないっていうなら他のクラスメイトが入ることになる。余ったやつが入るんだろうが、いったい誰になるかなぁ。女子だったら最高だな。誰も見てないから好き放題ヤれる。」
「………なにが言いたい。」
「お前、俺の事嫌いなんだろ?こんな世界だ。なにするかわかんねえぜ。
誰も俺を止めるやつはいねえ。そんな奴を野放しにしていいのかと思ってよ。」
「確かにお前の言う通りだが、お前はそれを黙っていた方が得だったんじゃないのか。わざわざお前を止めたがってる俺を誘う理由がわからん。」
「な~に、張り合いがねえとつまらねえと思ってよ。そんだけだ。」
「………いいだろう。お前の班に入ってやる。
ただし、俺の目が黒い内はお前の隙にはさせないぞ!」
「交渉成立だな。」
正義感故にまんまと鬼頭に騙されてしまった。
彼の目的は決得のスキル、ただそれだけだ。
『決闘《デュエル》』は相手を強制的にタイマン勝負へと持ち込む。
そこには逃げる事や仲間が手助けに入ることも許されない。
鬼頭の『鬼化《デモンモード》』と不破の『破壊《デストラクション》』は攻撃力に特化したスキルだ。
くしくも、決得のスキルは2人と相性が良すぎたのだ。
はじめの頃は『決闘』を使う事に抵抗していた決得も、腕を折られ、指を一つずつ破壊されていく内に心が壊れてしまった。
あの時、鬼頭について行ったことがそもそもの間違いだったのだ。
僕はもうダメだ。目の前の光景に慣れてしまっているどころか、おこぼれで女を抱いてしまった。鬼頭と一緒にいる事で、心が壊れてしまったみたいだ。僕はもう彼らと一緒に堕ちていくしかないのだ。例えその先が地獄だと分かっていたとしても…
独裁国家デストリオンでは、不穏な動きが起きていた。
血塗れの男性達に、意識がない女性たち。
女性の体中には男性の体液が纏わりついており、男女問わず一糸纏わぬ姿になっていた。
「ハハハ!この世界は最高だなぁ。
力こそが正義!強けりゃ何やっても良いんだからな。
おら、イくぜ!しっかり受け止めな。」
女性も初めの頃は激しく拒絶していたが、もはや抵抗の意志すらない。
「はぁ…こいつも飽きたな。」
そう言うと、女性の頭をいとも簡単に握りつぶした。
「次は運動がしてぇなぁ。」
男がツカツカと歩いて行くとその先にいる男性人は辞めてくれと懇願するが、その言葉を聞く様子はない。
「お前で良いや。ありがたく思えよ。
俺のサンドバックになれるんだから。」
拳を一度振り抜く。
ただそれだけで、男性は粉々に弾け散ってしまった。
「使えねえ…おい、猿山!もっと女とサンドバックを調達して来い!何のためにお前を仲間に入れてやったと思ってんだ!」
「はっ…ハイ!今行きますよ~へへへ、極上の女連れてきま~す。」
「拳一!あんま殺し過ぎんなよ。
俺の分も残してんだろうなあ。」
「なあに、街中の人間を全部従わせちゃいいだけの事だ。
俺たちにはその力がある。足りなくなるなんて事はねえよ。
これも決得、お前のお陰だぜぇ。
お前のスキル『決闘』がある限り、俺と不破が負けることはねえ。
これからも仲良くしようぜぇ。俺たちは仲間なんだからな。」」
「うん、ありがとう。これからもよろしくね。」
「ハハハ、だいぶ素直になったじゃねえの。最初っから俺の言う事を聞いてりゃ痛い目みなくて済んだのになぁ。」
決得健太《けっとくけんた》、彼は学校でも特に目立つ生徒ではなかったが、不条理な事が嫌いな人間だった。
父親が警察官だという事もあり、正義感は人一倍強い方だったと思う。
不良である鬼頭たちと対立する事もあったが、柔道を嗜んでいる決得が負ける事はなかった。この世界に来るまでは。
あれは、班決めを行う前の日の出来事だ。
「よう、決得。お前、明日の班決め誰と組むか決めてるのかよ。」
就寝前、割り当てられた部屋に戻ろうと歩いていた時、不意に鬼頭から話しかけられた。
「まだ正式には決めていないけど多田君の班に入れて貰えないかって考えてる。
彼は音宮君を探しに行きたいみたいだったし、僕も気になってるから力になりたいって思ってるから…それがどうかしたのかい?」
「いや…なあ、俺の班に入らねえか。聖の奴がリーダーに選ばれっちまったからよ。人数が足りねえんだ。」
「なんで僕が君なんかの班に…お断りだ。」
「いいのか?班はどうせ最低でも4人は必要なんだ。お前が入らないっていうなら他のクラスメイトが入ることになる。余ったやつが入るんだろうが、いったい誰になるかなぁ。女子だったら最高だな。誰も見てないから好き放題ヤれる。」
「………なにが言いたい。」
「お前、俺の事嫌いなんだろ?こんな世界だ。なにするかわかんねえぜ。
誰も俺を止めるやつはいねえ。そんな奴を野放しにしていいのかと思ってよ。」
「確かにお前の言う通りだが、お前はそれを黙っていた方が得だったんじゃないのか。わざわざお前を止めたがってる俺を誘う理由がわからん。」
「な~に、張り合いがねえとつまらねえと思ってよ。そんだけだ。」
「………いいだろう。お前の班に入ってやる。
ただし、俺の目が黒い内はお前の隙にはさせないぞ!」
「交渉成立だな。」
正義感故にまんまと鬼頭に騙されてしまった。
彼の目的は決得のスキル、ただそれだけだ。
『決闘《デュエル》』は相手を強制的にタイマン勝負へと持ち込む。
そこには逃げる事や仲間が手助けに入ることも許されない。
鬼頭の『鬼化《デモンモード》』と不破の『破壊《デストラクション》』は攻撃力に特化したスキルだ。
くしくも、決得のスキルは2人と相性が良すぎたのだ。
はじめの頃は『決闘』を使う事に抵抗していた決得も、腕を折られ、指を一つずつ破壊されていく内に心が壊れてしまった。
あの時、鬼頭について行ったことがそもそもの間違いだったのだ。
僕はもうダメだ。目の前の光景に慣れてしまっているどころか、おこぼれで女を抱いてしまった。鬼頭と一緒にいる事で、心が壊れてしまったみたいだ。僕はもう彼らと一緒に堕ちていくしかないのだ。例えその先が地獄だと分かっていたとしても…
独裁国家デストリオンでは、不穏な動きが起きていた。
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