24 / 60
それぞれの行方
ロドルフ
しおりを挟む
安藤は森の中で出会ったおじさん(名前はロドルフ・ヘルムというらしい)の家にいた。
どうしてこうなったかというと、安藤がその場から動こうとしなかった為、訳アリだと感じだロドルフは取り敢えず、自身が住んでいる村まで案内する事にした。
村に着いたロドルフは宿に案内し、泊めようと思ったのだが安藤が金を持っていない事が発覚。
仕方なく宿に泊める事を諦めたロドルフは自身の家に連れて帰った。
見捨てるという手段もあるが、ロドルフには安藤と同じくらいの年の娘、アニーがいる。
しかも安藤はなにか思い悩んでいる様子だ。
そんな少女を見捨てる事など出来なかった。
「ほらよ。飯だ、食え。」
テーブルの上にはシチューとパンのようなものが置かれた。
食欲など湧いてこないと思っていたが、体は正直だ。
食事を置かれた途端、急にお腹が空き目の前のご飯を食べたくなる。
「どうした?早く食え。」
「…私、お金持ってません。ロドルフさんにお返し出来るものがありません。」
「あのなぁ…お前さんくらいの娘がそんな事気にするんじゃない。
それに、お前が食べないんだったらその食事は捨てる事になる。
いいから黙って食べろ。腹減ってんだろ。」
スプーンを手に取りシチューを一口頬張る。
「美味しい…」
バクバクと食事をする安藤の姿をロドルフは優しく見守っていた。
「ごちそうさまでした…」
「おう、美味かったか俺の料理は。」
「はい、とってもおいしかったです。」
「そうか、それはなりよりだ。
俺はこの辺で肉屋をやってる。
自分で森に行って狙った獲物を捌いて売ってるからそんじょそこらの肉屋とは拘りが違うってもんだ。
女房と娘もいたんだがな…仕事仕事で家に帰ってこない俺に愛想尽かしたのか、数年前に書置きだけ残して出ていきやがったから、今は1人自由気ままに生活してるってわけさ。
この家には余っている部屋が幾つかある。
行くところがないんだったら自由に使ってくれて構わない。」
「そんな!これ以上ご迷惑をかける訳には…直ぐにでも出ていきます。」
「馬鹿野郎!そんな事してみろ。お前が出てってどっかで野垂れ死にでもしたら俺の目覚めが悪くなるじゃねえか。いいから黙って今日は泊まれ。なにもタダで住ませようってわけじゃねえよ。店に人手が足りねえんだ。当然、手伝って貰うぜ。」
ロドルフはそういうと、食器を片付けにキッチンへと向かった。
「2階にある部屋は自由に使ってくれて構わない。
風呂は1階にある。入る時はドアの前に木の板置いとけよ。俺の娘が使ってたやつだ。それが置いてある時は俺は部屋に小一時間程籠るから安心しろ。
服は娘の奴を使え。お前さんが着てる服は目立ちすぎる。」
「ロドルフさん…私が何者か気にならないんですか?」
「見当はついてる。さっき村在住の兵士から知らせがあったからな。
ドニー村を滅ぼした勇者が2名逃亡してるんだと。男女のペアらしい。
男は右手の両足に傷跡があり、女は見慣れない服装をしている。
だが、お前さんは1人だ。俺の聞いた話だと2人組らしいからな。
それに、俺は自分の目で見たモノしか信じないようにしている。
お前がどこの誰であろうと関係ねえよ。
ほら、おしゃべりはこれまでだ。
明日から仕事をして貰う。今日はもう寝ろ。」
これ以上の会話は無駄と言わんばかりに話を打ち切り、ロドルフは自室へと入っていった。
安藤はロドルフの言葉に甘え、風呂に入り眠りにつく。
どうしてこうなったかというと、安藤がその場から動こうとしなかった為、訳アリだと感じだロドルフは取り敢えず、自身が住んでいる村まで案内する事にした。
村に着いたロドルフは宿に案内し、泊めようと思ったのだが安藤が金を持っていない事が発覚。
仕方なく宿に泊める事を諦めたロドルフは自身の家に連れて帰った。
見捨てるという手段もあるが、ロドルフには安藤と同じくらいの年の娘、アニーがいる。
しかも安藤はなにか思い悩んでいる様子だ。
そんな少女を見捨てる事など出来なかった。
「ほらよ。飯だ、食え。」
テーブルの上にはシチューとパンのようなものが置かれた。
食欲など湧いてこないと思っていたが、体は正直だ。
食事を置かれた途端、急にお腹が空き目の前のご飯を食べたくなる。
「どうした?早く食え。」
「…私、お金持ってません。ロドルフさんにお返し出来るものがありません。」
「あのなぁ…お前さんくらいの娘がそんな事気にするんじゃない。
それに、お前が食べないんだったらその食事は捨てる事になる。
いいから黙って食べろ。腹減ってんだろ。」
スプーンを手に取りシチューを一口頬張る。
「美味しい…」
バクバクと食事をする安藤の姿をロドルフは優しく見守っていた。
「ごちそうさまでした…」
「おう、美味かったか俺の料理は。」
「はい、とってもおいしかったです。」
「そうか、それはなりよりだ。
俺はこの辺で肉屋をやってる。
自分で森に行って狙った獲物を捌いて売ってるからそんじょそこらの肉屋とは拘りが違うってもんだ。
女房と娘もいたんだがな…仕事仕事で家に帰ってこない俺に愛想尽かしたのか、数年前に書置きだけ残して出ていきやがったから、今は1人自由気ままに生活してるってわけさ。
この家には余っている部屋が幾つかある。
行くところがないんだったら自由に使ってくれて構わない。」
「そんな!これ以上ご迷惑をかける訳には…直ぐにでも出ていきます。」
「馬鹿野郎!そんな事してみろ。お前が出てってどっかで野垂れ死にでもしたら俺の目覚めが悪くなるじゃねえか。いいから黙って今日は泊まれ。なにもタダで住ませようってわけじゃねえよ。店に人手が足りねえんだ。当然、手伝って貰うぜ。」
ロドルフはそういうと、食器を片付けにキッチンへと向かった。
「2階にある部屋は自由に使ってくれて構わない。
風呂は1階にある。入る時はドアの前に木の板置いとけよ。俺の娘が使ってたやつだ。それが置いてある時は俺は部屋に小一時間程籠るから安心しろ。
服は娘の奴を使え。お前さんが着てる服は目立ちすぎる。」
「ロドルフさん…私が何者か気にならないんですか?」
「見当はついてる。さっき村在住の兵士から知らせがあったからな。
ドニー村を滅ぼした勇者が2名逃亡してるんだと。男女のペアらしい。
男は右手の両足に傷跡があり、女は見慣れない服装をしている。
だが、お前さんは1人だ。俺の聞いた話だと2人組らしいからな。
それに、俺は自分の目で見たモノしか信じないようにしている。
お前がどこの誰であろうと関係ねえよ。
ほら、おしゃべりはこれまでだ。
明日から仕事をして貰う。今日はもう寝ろ。」
これ以上の会話は無駄と言わんばかりに話を打ち切り、ロドルフは自室へと入っていった。
安藤はロドルフの言葉に甘え、風呂に入り眠りにつく。
0
お気に入りに追加
613
あなたにおすすめの小説
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
彼女の浮気相手からNTRビデオレターが送られてきたから全力で反撃しますが、今さら許してくれと言われてももう遅い
うぱー
恋愛
彼女の浮気相手からハメ撮りを送られてきたことにより、浮気されていた事実を知る。
浮気相手はサークルの女性にモテまくりの先輩だった。
裏切られていた悲しみと憎しみを糧に社会的制裁を徹底的に加えて復讐することを誓う。
■一行あらすじ
浮気相手と彼女を地獄に落とすために頑張る話です(●´艸`)ィヒヒ
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前。でも……。二人が自分たちの間違いを後で思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになる。
のんびりとゆっくり
恋愛
俺は島森海定(しまもりうみさだ)。高校一年生。
俺は先輩に恋人を寝取られた。
ラブラブな二人。
小学校六年生から続いた恋が終わり、俺は心が壊れていく。
そして、雪が激しさを増す中、公園のベンチに座り、このまま雪に埋もれてもいいという気持ちになっていると……。
前世の記憶が俺の中に流れ込んできた。
前世でも俺は先輩に恋人を寝取られ、心が壊れる寸前になっていた。
その後、少しずつ立ち直っていき、高校二年生を迎える。
春の始業式の日、俺は素敵な女性に出会った。
俺は彼女のことが好きになる。
しかし、彼女とはつり合わないのでは、という意識が強く、想いを伝えることはできない。
つらくて苦しくて悲しい気持ちが俺の心の中であふれていく。
今世ではこのようなことは繰り返したくない。
今世に意識が戻ってくると、俺は強くそう思った。
既に前世と同じように、恋人を先輩に寝取られてしまっている。
しかし、その後は、前世とは違う人生にしていきたい。
俺はこれからの人生を幸せな人生にするべく、自分磨きを一生懸命行い始めた。
一方で、俺を寝取った先輩と、その相手で俺の恋人だった女性の仲は、少しずつ壊れていく。そして、今世での高校二年生の春の始業式の日、俺は今世でも素敵な女性に出会った。
その女性が好きになった俺は、想いを伝えて恋人どうしになり。結婚して幸せになりたい。
俺の新しい人生が始まろうとしている。
この作品は、「カクヨム」様でも投稿を行っております。
「カクヨム」様では。「俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。」という題名で投稿を行っております。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる