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ドニー村
料理
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トントントンとリズム良く食材を刻む音。
なんだかいい匂いがする…
音宮はなんだか懐かしい匂いで目を覚ました。
ここは…
当たりを見渡す限り、何処かの家だという事だけがわかる。
木造で建てられた一部屋しかない家。
よく見るゲームの住宅そのまんまだ。
匂いのする方向を見てみると見知った人物が目に映る。
「あ!音宮くん起きたんだ…よかった~。体調は大丈夫?もう少し寝てていいよ。
簡単な料理くらいなら私でも作れるから。少しだけ待っててね。」
「ああ…だいぶ楽になったよ。安藤さんが運んでくれたの?」
「うん。でも私じゃ上手く運ぶこと出来なくて音宮君の服とか一杯汚しちゃったけど…ごめんね。」
たしかに言われてみると服のいたるところに泥が付いている。
だが、元々グレイウルフやフェルトとの戦闘で破れていたので大して気にはならない。
それに、安藤の服は音宮以上に汚れている。
安藤は音宮と違って制服のままだ。
動きづらい中、精一杯頑張ってくれたのだろう。
流石にそんな人間を攻める事は出来ない。
「この家はどうしたの?」
「うん、地図に書いてあったドニー村に着いたんだけど誰も居なくて…勝手に入るのは悪いと思ったんだけど音宮くんも辛そうだったし勝手に入っちゃった。」
まさかの不法侵入。安藤がそんな事をするとは…
だが、話を聞く限りこの村に到着して数時間経っている。
その間に村人が誰一人いないというのは変な話だ。
なにか不穏な気配を感じるが、考えても分からない。
それに先程よりは楽になったが、完全に治ったわけではない。
きつい事には変わらないので安藤の言葉に甘えて、音宮は再度眠りにつくことにした。
「安藤さんって結構料理作れたんだね。」
暫くして目が覚めると料理が出来上がっていた。
安藤は、他人の家の物を勝手に使うのは…とは思ったが、昨日からまともに食事を摂っていなかった事もあっていい加減ちゃんとした物が食べたいという気持ちが勝り、調理道具や調味料を勝手に使い料理をした。
2人が持っている食材といえば、森林で倒したグレイウルフの肉とそこら辺で採れた山菜や果実などだ。
一応、音宮が王都で見た図鑑に載っていた物だけを選んでいるので食べられる筈の物だ。
「出来るって程じゃないから期待しないで欲しいけど…一応、たまにお手伝いくらいならしてるから。」
目の前にあるものは昨日同様、焼いた肉と山菜を合わせて炒めたもの、果実の盛り合わせだ。
欲を言えば米を食べたい。
そんな気持ちが湧いて来るがないものは仕方がないので考えないことにする。
「いただきます。」
家にあったフォークで肉を食べる。
正直、あまり期待していなかったのだが、その予想はいい意味で裏切られた。
「うまっーー」
「本当!よかった~」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方その頃、カルチア森林ではフェルト率いる王国騎士団が目を覚ましていた。
「隊長!奴らの後を追いましょう。今なら間に合います。」
「ダメだ。今晩中にはリスランダに戻らなければ他の任務に支障が出る。悔しい気持ちは理解出来る。だが、我々の仕事は国民を護ることだ。逃亡者を追う事ではない。」
「ですが…」
「安心しろ。通信魔法で状況を伝えたら後任者を用意して貰える事になった。我々は帰還し、体を癒したのち次の任務へ向かう。」
「しかし…フェルト隊長の後任が務まる者など…それに、他の部隊が出るくらいなら近い場所にいる我々が追跡するべきかと。」
「騎士団は常に人数不足。勇者2人相手にそう構っていられる訳ではない。いるんだよ。俺以上に強く、たった1人でこの部隊以上の戦力を持ち合わせている人が。」
「まさか…あの人が⁉︎」
「ああ、後任者は我らが騎士団の団長、セルジール・スクライド様だ。王国最強のあの人が仇を取ってくれるんだと。」
なんだかいい匂いがする…
音宮はなんだか懐かしい匂いで目を覚ました。
ここは…
当たりを見渡す限り、何処かの家だという事だけがわかる。
木造で建てられた一部屋しかない家。
よく見るゲームの住宅そのまんまだ。
匂いのする方向を見てみると見知った人物が目に映る。
「あ!音宮くん起きたんだ…よかった~。体調は大丈夫?もう少し寝てていいよ。
簡単な料理くらいなら私でも作れるから。少しだけ待っててね。」
「ああ…だいぶ楽になったよ。安藤さんが運んでくれたの?」
「うん。でも私じゃ上手く運ぶこと出来なくて音宮君の服とか一杯汚しちゃったけど…ごめんね。」
たしかに言われてみると服のいたるところに泥が付いている。
だが、元々グレイウルフやフェルトとの戦闘で破れていたので大して気にはならない。
それに、安藤の服は音宮以上に汚れている。
安藤は音宮と違って制服のままだ。
動きづらい中、精一杯頑張ってくれたのだろう。
流石にそんな人間を攻める事は出来ない。
「この家はどうしたの?」
「うん、地図に書いてあったドニー村に着いたんだけど誰も居なくて…勝手に入るのは悪いと思ったんだけど音宮くんも辛そうだったし勝手に入っちゃった。」
まさかの不法侵入。安藤がそんな事をするとは…
だが、話を聞く限りこの村に到着して数時間経っている。
その間に村人が誰一人いないというのは変な話だ。
なにか不穏な気配を感じるが、考えても分からない。
それに先程よりは楽になったが、完全に治ったわけではない。
きつい事には変わらないので安藤の言葉に甘えて、音宮は再度眠りにつくことにした。
「安藤さんって結構料理作れたんだね。」
暫くして目が覚めると料理が出来上がっていた。
安藤は、他人の家の物を勝手に使うのは…とは思ったが、昨日からまともに食事を摂っていなかった事もあっていい加減ちゃんとした物が食べたいという気持ちが勝り、調理道具や調味料を勝手に使い料理をした。
2人が持っている食材といえば、森林で倒したグレイウルフの肉とそこら辺で採れた山菜や果実などだ。
一応、音宮が王都で見た図鑑に載っていた物だけを選んでいるので食べられる筈の物だ。
「出来るって程じゃないから期待しないで欲しいけど…一応、たまにお手伝いくらいならしてるから。」
目の前にあるものは昨日同様、焼いた肉と山菜を合わせて炒めたもの、果実の盛り合わせだ。
欲を言えば米を食べたい。
そんな気持ちが湧いて来るがないものは仕方がないので考えないことにする。
「いただきます。」
家にあったフォークで肉を食べる。
正直、あまり期待していなかったのだが、その予想はいい意味で裏切られた。
「うまっーー」
「本当!よかった~」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方その頃、カルチア森林ではフェルト率いる王国騎士団が目を覚ましていた。
「隊長!奴らの後を追いましょう。今なら間に合います。」
「ダメだ。今晩中にはリスランダに戻らなければ他の任務に支障が出る。悔しい気持ちは理解出来る。だが、我々の仕事は国民を護ることだ。逃亡者を追う事ではない。」
「ですが…」
「安心しろ。通信魔法で状況を伝えたら後任者を用意して貰える事になった。我々は帰還し、体を癒したのち次の任務へ向かう。」
「しかし…フェルト隊長の後任が務まる者など…それに、他の部隊が出るくらいなら近い場所にいる我々が追跡するべきかと。」
「騎士団は常に人数不足。勇者2人相手にそう構っていられる訳ではない。いるんだよ。俺以上に強く、たった1人でこの部隊以上の戦力を持ち合わせている人が。」
「まさか…あの人が⁉︎」
「ああ、後任者は我らが騎士団の団長、セルジール・スクライド様だ。王国最強のあの人が仇を取ってくれるんだと。」
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