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カルチア森林
対人戦
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この世界に来て、対人戦は初めてだ。
門番とのいざこざはあったが、あんなものは戦いではない。
あれはあまりにも一方的過ぎた。
崖下にいるフェルトを見下ろす。
冷たい目で、まるで獲物を狩るかの様に
「音宮くん…」
人が変わったかの様な音宮の姿に戸惑いながら、安藤は見守る事しか出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
兵士たちは弓矢を構える。
「殺すなよ。あくまで捕まえるだけだ。
極力怪我もさせるな。」
「怪我させたくないんだったら矢なんて撃つなよ。当たったら怪我すんだろうが。」
兵士の矢が音宮目掛けて放たれるが、そんなものが効くわけもない。
両手を合わせ手を叩くことで、音宮を中心としたバリアのように音が響き渡る。
矢は速度を落とし、音宮へと到達することなく地に落ちていった。
『音響』の真髄は音の響きによって起こる振動にある。
振動を防御する事は不可能に等しい。
「恐るな!相手は勇者だ。予測不能なスキルを持っていても不思議ではない。魔法部隊、準備は出来たか。」
フェルトの背後には、複数の魔道士が待機しており、何やら呪文を詠唱している。
「準備出来ました。撃ちます。
雷電の檻《プラズマプリズン》」
その瞬間、音宮・安藤・フェルトの3人を閉じ込める正方形の檻が発生する。
「これで逃げる事は出来ませんね。先に言っておきますが、この檻には触れない方がいい。魔道士数人で発動する雷属性の魔法。
この檻に触れたものはその身に電撃を浴びる事になります。先程も言いましたが、怪我をさせたくはない。大人しく投降していただければ魔法は解除します。」
魔法を発動した魔道士は檻の外にいる。
こういう時は術者を倒せば解除されるというのがテンプレだがそれも対策済み。だがあまい。
「投降なんてする訳がないだろう。
外にいる術者を倒してしまえばそれで解除される。簡単な話だ。」
「魔術師と対峙する時は術者を倒せば解決するという考えは間違えではありません。中にはそれでも解除されない魔法もありますが、確かにこの魔法は解除される部類のものです。ただし、中に閉じ込められている貴方にそれが出来ますか?不可能です。」
「自分の物差しで人を測るなよ。
予測不能な相手と対峙する場合は常に最悪のケースを想定して動くんだ。
そうしないと、いざって時に何も出来なくなるぞ。まあ、ゲームで習った事だけどな。」
ゲームでオンライン対戦をしていると、相手の行動を読む必要がある。
そうしなければ上位層には到達出来ない。
音宮が対戦に置いて重視している事は、最悪の状況を想定してそうならないように操作する事だった。
もちろん、追い込まれている時は一か八かの賭けに出る必要がある事も理解している。
だが、そうならばいよう常に安定択を取るのが音宮響のプレースタイルだった。
それは、自信が戦う時でも変わらない。
操作するキャラがゲーム内から自身の肉体に変わっただけ。思考回路まで変える必要はない。
「げーむ?それが何かはわかりませんが、貴方にこの魔法を破る手段があると…そう言いたいのですね?」
「ああ」
「そうですか…確かに音宮様のスキルは不明だ。私には理解できない何かを仕掛けてくるのかも知れない。ですが、それを聞いて私がさせると思いますか?いざという時、対応できるように中に残っているのですよ。」
「はっ!冗談言うなよ。お前がこの中に残ってる本当の理由を言ってやろうか?この魔法にはもう一つ欠点がある。…この魔法、そう長く続けられないだろう。でなきゃお前が中に残る意味がない。口ぶりからして、お前達はこの魔法を破られる事はないと思い込んでいた。だったら、俺たちを閉じ込めたまま援軍が到着するまで拘束しておけば良い。中に仲間が残る理由がないんだよ。お前がここにいる理由は相手の戦意を無くすため。お前は隊長と言っていた。それなりの実力者だろう。逃亡している奴がそんなのと正面から対峙する事になれば、大抵の人間は降伏して自ら捕まりにくるからな。」
「…そこまでわかっていましたか。確かに『雷電の檻』は長時間拘束には向いていません。ですが、それでも数刻は持ちます。それまで私相手に耐え切れるとでも?」
雰囲気が変わり、フェルトがついに臨戦体制に入った。向かい合っているだけでわかる程の強力なプレッシャーを感じる。
さあ、ここから初の対人戦だ。
敵の実力は未知数。
隊長と呼ばれてるんだ。
それなりの実力者だろう。
初戦の相手としてはハードルが高い気もするが仕方ない。
2人の戦いが幕を開ける。
門番とのいざこざはあったが、あんなものは戦いではない。
あれはあまりにも一方的過ぎた。
崖下にいるフェルトを見下ろす。
冷たい目で、まるで獲物を狩るかの様に
「音宮くん…」
人が変わったかの様な音宮の姿に戸惑いながら、安藤は見守る事しか出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
兵士たちは弓矢を構える。
「殺すなよ。あくまで捕まえるだけだ。
極力怪我もさせるな。」
「怪我させたくないんだったら矢なんて撃つなよ。当たったら怪我すんだろうが。」
兵士の矢が音宮目掛けて放たれるが、そんなものが効くわけもない。
両手を合わせ手を叩くことで、音宮を中心としたバリアのように音が響き渡る。
矢は速度を落とし、音宮へと到達することなく地に落ちていった。
『音響』の真髄は音の響きによって起こる振動にある。
振動を防御する事は不可能に等しい。
「恐るな!相手は勇者だ。予測不能なスキルを持っていても不思議ではない。魔法部隊、準備は出来たか。」
フェルトの背後には、複数の魔道士が待機しており、何やら呪文を詠唱している。
「準備出来ました。撃ちます。
雷電の檻《プラズマプリズン》」
その瞬間、音宮・安藤・フェルトの3人を閉じ込める正方形の檻が発生する。
「これで逃げる事は出来ませんね。先に言っておきますが、この檻には触れない方がいい。魔道士数人で発動する雷属性の魔法。
この檻に触れたものはその身に電撃を浴びる事になります。先程も言いましたが、怪我をさせたくはない。大人しく投降していただければ魔法は解除します。」
魔法を発動した魔道士は檻の外にいる。
こういう時は術者を倒せば解除されるというのがテンプレだがそれも対策済み。だがあまい。
「投降なんてする訳がないだろう。
外にいる術者を倒してしまえばそれで解除される。簡単な話だ。」
「魔術師と対峙する時は術者を倒せば解決するという考えは間違えではありません。中にはそれでも解除されない魔法もありますが、確かにこの魔法は解除される部類のものです。ただし、中に閉じ込められている貴方にそれが出来ますか?不可能です。」
「自分の物差しで人を測るなよ。
予測不能な相手と対峙する場合は常に最悪のケースを想定して動くんだ。
そうしないと、いざって時に何も出来なくなるぞ。まあ、ゲームで習った事だけどな。」
ゲームでオンライン対戦をしていると、相手の行動を読む必要がある。
そうしなければ上位層には到達出来ない。
音宮が対戦に置いて重視している事は、最悪の状況を想定してそうならないように操作する事だった。
もちろん、追い込まれている時は一か八かの賭けに出る必要がある事も理解している。
だが、そうならばいよう常に安定択を取るのが音宮響のプレースタイルだった。
それは、自信が戦う時でも変わらない。
操作するキャラがゲーム内から自身の肉体に変わっただけ。思考回路まで変える必要はない。
「げーむ?それが何かはわかりませんが、貴方にこの魔法を破る手段があると…そう言いたいのですね?」
「ああ」
「そうですか…確かに音宮様のスキルは不明だ。私には理解できない何かを仕掛けてくるのかも知れない。ですが、それを聞いて私がさせると思いますか?いざという時、対応できるように中に残っているのですよ。」
「はっ!冗談言うなよ。お前がこの中に残ってる本当の理由を言ってやろうか?この魔法にはもう一つ欠点がある。…この魔法、そう長く続けられないだろう。でなきゃお前が中に残る意味がない。口ぶりからして、お前達はこの魔法を破られる事はないと思い込んでいた。だったら、俺たちを閉じ込めたまま援軍が到着するまで拘束しておけば良い。中に仲間が残る理由がないんだよ。お前がここにいる理由は相手の戦意を無くすため。お前は隊長と言っていた。それなりの実力者だろう。逃亡している奴がそんなのと正面から対峙する事になれば、大抵の人間は降伏して自ら捕まりにくるからな。」
「…そこまでわかっていましたか。確かに『雷電の檻』は長時間拘束には向いていません。ですが、それでも数刻は持ちます。それまで私相手に耐え切れるとでも?」
雰囲気が変わり、フェルトがついに臨戦体制に入った。向かい合っているだけでわかる程の強力なプレッシャーを感じる。
さあ、ここから初の対人戦だ。
敵の実力は未知数。
隊長と呼ばれてるんだ。
それなりの実力者だろう。
初戦の相手としてはハードルが高い気もするが仕方ない。
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