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カルチア森林
グレイウルフ
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グレイウルフの体内にスキルを打ち込む為には、直接やつの体に触れる必要があるがそもそも捕まえること自体難しい
現代における動物相手でさえ、肉体の能力では人間の方が数段劣る。
この世界のモンスターがそれより弱いとは思えない。
だが、このカルチア森林は駆け出しの冒険者が訓練で使う場所。
グレイウルフはこの世界において強いモンスターではない筈だ。
これは予測だが、何かしらの力で身体能力を上げることが可能なのだろう。
そうでなければ、人間がモンスターに敵う訳がない。
人間相手なら爆音で鼓膜を攻撃すれば多少の隙が出来るし、対応できるのだがモンスターの体の構造が分からないので安易に使うことが出来ない。
あの技はあまりにも目立ちすぎる。
こんな森の中で使ってしまえば、森中のモンスターがこちらに向かって来てしまう。
自分より動きが速い相手を捕まえて確実に攻撃を当てる方法か…思い付きはするが、正直やりたくない。
しかし、そうも言ってられない状況なのも理解している。
仕方ない…死ぬよりマシか。後の事はその時に考えよう。
音宮は人間にしてはそれなりに動ける方だ。
両親が武道を習っていたという事もあって、それなりに教えられている。
護身術程度であれば身に付けているレベルだ。
痺れを切らしたのか、じわじわと詰め寄って来ていたグレイウルフの内の1体が、とうとうこちらに向かって突進してきた。
そこりの2体も戦闘につられるように飛びかかってくる。
「ーー音宮くん!!」
安藤の目に映る光景は、音宮が回避する事も出来ず無残にも噛みつかれてしまっている。どうにか急所だけは守っているが、右腕と両足の計3か所に噛みつかれており今も離す様子様子はない。このまま噛み千切るつもりなのだろう。
「覚悟はしてたけど、やっぱ痛いな…でも、これで捕まえた。」
音宮は無事だった左手で右腕を噛んでいるグレイウルフ目掛けて掌底を放つ。
唯の掌底であれば少し痛がるくらいで大したダメージはないと思うが、音宮のスキル『音響』により、振動を増幅させる。
これにより内部から凄まじい衝撃を受けたグレイウルフは痙攣し、動かなくなった。
仲間が一人やられたからか、両足を噛んでいたグレイウルフが音宮から離れ、様子を様子を伺いながらジワジワと後退していく。
よし!いいぞ。そのまま退け。
正直、このまま戦っていたらこちらが負けるのは明白だ。
あの技では1体ずつしか倒せない。
その上、素の力では攻撃を当てれない為、必ず一撃は貰う羽目になる。
そんな事をしていれば負けてしまうに決まっている。
だが、奴らも所詮は獣。人間のように脳は発達していない。
この状況で自分たちが有利だという事には気づいてないだろう。
音宮は足を地面にドン!っと踏み込むとその音をスキルで増幅させるとグレイウルフたちはビクッと反応し、一目散に反対方向へと逃げ去って行った。
近くで大きい音を出すと動物は怖がると聞いたことがあったが、あいつらも同じでよかった。
「なにしてるの?」
音宮は、仕留めたグレイウルフを脱走前に購入していたナイフで必要そうな部位だけ切り分けていた。
「こいつは食べられるのかなって思って。
正直、食料が全くないからね。
今日一日なら大丈夫だけど何日も続くようなら知っておきたいし。
それに、王都でちょっとだけ食べられる魔物や食料について調べてたけど、こいつは干し肉とかでも使えるって書いてあったし、なんなら村で売れるかも知れないからね。持って行って損はないよ。」
音宮くん、よく考えてるなあ…
それに、あんな状況でも冷静に対処してやっつけちゃうなんて
私なんて今日一日足を引っ張ってばかり…
私ってなにが出来るんだろう。
夜が更けていく。
現代における動物相手でさえ、肉体の能力では人間の方が数段劣る。
この世界のモンスターがそれより弱いとは思えない。
だが、このカルチア森林は駆け出しの冒険者が訓練で使う場所。
グレイウルフはこの世界において強いモンスターではない筈だ。
これは予測だが、何かしらの力で身体能力を上げることが可能なのだろう。
そうでなければ、人間がモンスターに敵う訳がない。
人間相手なら爆音で鼓膜を攻撃すれば多少の隙が出来るし、対応できるのだがモンスターの体の構造が分からないので安易に使うことが出来ない。
あの技はあまりにも目立ちすぎる。
こんな森の中で使ってしまえば、森中のモンスターがこちらに向かって来てしまう。
自分より動きが速い相手を捕まえて確実に攻撃を当てる方法か…思い付きはするが、正直やりたくない。
しかし、そうも言ってられない状況なのも理解している。
仕方ない…死ぬよりマシか。後の事はその時に考えよう。
音宮は人間にしてはそれなりに動ける方だ。
両親が武道を習っていたという事もあって、それなりに教えられている。
護身術程度であれば身に付けているレベルだ。
痺れを切らしたのか、じわじわと詰め寄って来ていたグレイウルフの内の1体が、とうとうこちらに向かって突進してきた。
そこりの2体も戦闘につられるように飛びかかってくる。
「ーー音宮くん!!」
安藤の目に映る光景は、音宮が回避する事も出来ず無残にも噛みつかれてしまっている。どうにか急所だけは守っているが、右腕と両足の計3か所に噛みつかれており今も離す様子様子はない。このまま噛み千切るつもりなのだろう。
「覚悟はしてたけど、やっぱ痛いな…でも、これで捕まえた。」
音宮は無事だった左手で右腕を噛んでいるグレイウルフ目掛けて掌底を放つ。
唯の掌底であれば少し痛がるくらいで大したダメージはないと思うが、音宮のスキル『音響』により、振動を増幅させる。
これにより内部から凄まじい衝撃を受けたグレイウルフは痙攣し、動かなくなった。
仲間が一人やられたからか、両足を噛んでいたグレイウルフが音宮から離れ、様子を様子を伺いながらジワジワと後退していく。
よし!いいぞ。そのまま退け。
正直、このまま戦っていたらこちらが負けるのは明白だ。
あの技では1体ずつしか倒せない。
その上、素の力では攻撃を当てれない為、必ず一撃は貰う羽目になる。
そんな事をしていれば負けてしまうに決まっている。
だが、奴らも所詮は獣。人間のように脳は発達していない。
この状況で自分たちが有利だという事には気づいてないだろう。
音宮は足を地面にドン!っと踏み込むとその音をスキルで増幅させるとグレイウルフたちはビクッと反応し、一目散に反対方向へと逃げ去って行った。
近くで大きい音を出すと動物は怖がると聞いたことがあったが、あいつらも同じでよかった。
「なにしてるの?」
音宮は、仕留めたグレイウルフを脱走前に購入していたナイフで必要そうな部位だけ切り分けていた。
「こいつは食べられるのかなって思って。
正直、食料が全くないからね。
今日一日なら大丈夫だけど何日も続くようなら知っておきたいし。
それに、王都でちょっとだけ食べられる魔物や食料について調べてたけど、こいつは干し肉とかでも使えるって書いてあったし、なんなら村で売れるかも知れないからね。持って行って損はないよ。」
音宮くん、よく考えてるなあ…
それに、あんな状況でも冷静に対処してやっつけちゃうなんて
私なんて今日一日足を引っ張ってばかり…
私ってなにが出来るんだろう。
夜が更けていく。
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