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リスランダからの脱出
幕引き
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ーー此処は…なぜ俺はこんなところにいる?
あの女は何処だ…いた。近くに男も居るな。
「おい、小僧!あの男が音宮か。」
「え…ああ!奏!俺だよ!真琴だ!
寧々嶋真琴。ほら、同じクラスだっただろ!
お前今までなにしてたんだよ。
みんな心配してたんだぜ~。」
「あの男って奏の知り合いだったの?」
「まあ、知ってると言えば知ってるけど…
はあ…ったくこんなところでクラスメイトの会うとか面倒くさい事しやがったな。」
音宮の逃走プランはクラスメイトに見つかる事なく進むのが大前提だった。
そうしなければ、自分だけが逃げて楽をしようとした事がバレてしまう。
それは避けなければならない。
なぜなら、音宮は世間体を人一倍気にする人間だからだ。
少し離れたところで寧々島が大きく手を振っている。
状況を理解できていないのだろう。
「仙術の修行は?もう終わったの?」
「俺が入ってからどのくらい時間が過ぎてるんだ?
途方もない時間、霧の中を歩いたらお前が危なかったんで急いで転移してきた。
だから、修行が終わったかなんてさっぱりわからない。」
「そんなパターン初めて聞いたわよ。
相手は魔導具まで持ち出してきてる。
仙術なしで勝てるような相手じゃないわ。」
「そんなこと言われても知るかよ。お前、仙術使えるんだろ?
あいつ何とか出来ないのか?」
「さっき魔力を使いすぎたから無理。それに奏の修行の邪魔にならないよう、この辺りに結界張っちゃっててそれにも魔力使っちゃってる。」
肝心な時に使えない奴だな…やっと出られたと思ったらいきなりピンチだな。
さて…どうするか。
「おい!何してんだよ!一緒に帰ろうぜ。」
寧々島が手を振りながら距離を詰めてくる。
こいつは本当にアホだな。
何も知らない人生も気楽で良さそうだ。
「悪いけど、王国には戻れないよ。
そうだな…向こうの男性に俺を追わないよう説得し得てくれるなら考えない事もないけど…」
「お前、何言ってんだよ。まあ…そんくらい良いけど。」
ギルの名を叫びながら説得に向かう寧々島。
「よし、今の内だ。あいつは扱いやすい馬鹿だ。
ろくに頭も使わず、他人に言われたことを実行に移す。
あの兵士の足止めを頼んでいるからこの隙に逃げるぞ。」
「ーーダメよ!そんなの全く意味ないわ。今すぐ引き返すよう言って!」
「何言ってるんだ?仮にも勇者だぞ。そんな簡単にやられるわけないだろう。
少しくらい時間を稼いでくれるはずだ。」
「そういう事じゃない。彼らがなぜあの子を連れてきたか考えてたけど、やっと意味が分かったわ。王国は、あの子を殺すつもりよ!」
この女はいきなり何を言い出すんだ。
いくら王国とは言え、勇者がいなければ魔王の討伐が出来ないじゃないか……まさか…感じていた違和感の正体がわかった気がする。だとすると……寧々島!
慌てて、寧々島をこちらへ呼び戻そうと思ったが振り返った音宮の目に映ったのはギルの腕が寧々島の体を貫通している姿だった。
「な……んで……」
「…まったく、邪魔してんじゃねえよ。お前の任務はこいつらを見つかる事だけだ。
それさえ済めば用済み。後は仲間の指揮を上げるため、魔王軍に殺された哀れな勇者として名を残してくれ。」
倒れ込んだ寧々島が音宮の方を向きながら手を伸ばす。
しかし、その手が届くことはなく寧々島は何も分からないまま死んでいった。
「どうした?目の前で友達が死んでいく姿は思ったよりもショックだったか?」
ギルが音宮へと近寄り、頭をぺちぺちと叩いて来る。
「…別に友達だった訳ではないが、会話くらいはしたことがある。
お調子者なところがあるが、基本的には良い奴だったよ。
…はは…ショックねえ……確かにそう言われればそうかもな。
ショックだよ……クラスメイトが死んでも全く心が痛まない自分に。」
ーーしまった!不用意に近づき過ぎた…
音宮が掌を腹部に押し付ける。
ーーこれは…クロエと同じ掌底か!
掌から霊力が浸透し、ギルの体内を破壊する。
クソが!クロエのは掠っただけだったが、今のは急所に貰った。
肉体へのダメージが深刻だ。
「汚ねえ手段使いやがるぜ。まさか、悲しんでるふりして、俺をわざと自分の方へと近寄らせるとはな。それになにが仙術使えねえだよ。クロエと同じこと出来てんじゃねえか。」
「霧の中からクロエを見つけれた時点で俺はなんらかの感知スキルを得たことは理解していた。ただ、それが仙術かどうかがわからなかっただけだ。決して嘘はついていない。」
「へ!お友達はどうなんだよ。
目の前で死んだんだぜ。なんか思う事あるだろ。」
「別に…確かに最初は驚いたが、よくよく考えたらお前ら側についてる方が悪いからな。そんな事よりも、確認したいことがある…これは大事な事だ。絶対に答えてもらうぞ。……この世界に魔王軍は本当に存在するのか…過去、元の世界に帰った人物は存在するのか?」
あの女は何処だ…いた。近くに男も居るな。
「おい、小僧!あの男が音宮か。」
「え…ああ!奏!俺だよ!真琴だ!
寧々嶋真琴。ほら、同じクラスだっただろ!
お前今までなにしてたんだよ。
みんな心配してたんだぜ~。」
「あの男って奏の知り合いだったの?」
「まあ、知ってると言えば知ってるけど…
はあ…ったくこんなところでクラスメイトの会うとか面倒くさい事しやがったな。」
音宮の逃走プランはクラスメイトに見つかる事なく進むのが大前提だった。
そうしなければ、自分だけが逃げて楽をしようとした事がバレてしまう。
それは避けなければならない。
なぜなら、音宮は世間体を人一倍気にする人間だからだ。
少し離れたところで寧々島が大きく手を振っている。
状況を理解できていないのだろう。
「仙術の修行は?もう終わったの?」
「俺が入ってからどのくらい時間が過ぎてるんだ?
途方もない時間、霧の中を歩いたらお前が危なかったんで急いで転移してきた。
だから、修行が終わったかなんてさっぱりわからない。」
「そんなパターン初めて聞いたわよ。
相手は魔導具まで持ち出してきてる。
仙術なしで勝てるような相手じゃないわ。」
「そんなこと言われても知るかよ。お前、仙術使えるんだろ?
あいつ何とか出来ないのか?」
「さっき魔力を使いすぎたから無理。それに奏の修行の邪魔にならないよう、この辺りに結界張っちゃっててそれにも魔力使っちゃってる。」
肝心な時に使えない奴だな…やっと出られたと思ったらいきなりピンチだな。
さて…どうするか。
「おい!何してんだよ!一緒に帰ろうぜ。」
寧々島が手を振りながら距離を詰めてくる。
こいつは本当にアホだな。
何も知らない人生も気楽で良さそうだ。
「悪いけど、王国には戻れないよ。
そうだな…向こうの男性に俺を追わないよう説得し得てくれるなら考えない事もないけど…」
「お前、何言ってんだよ。まあ…そんくらい良いけど。」
ギルの名を叫びながら説得に向かう寧々島。
「よし、今の内だ。あいつは扱いやすい馬鹿だ。
ろくに頭も使わず、他人に言われたことを実行に移す。
あの兵士の足止めを頼んでいるからこの隙に逃げるぞ。」
「ーーダメよ!そんなの全く意味ないわ。今すぐ引き返すよう言って!」
「何言ってるんだ?仮にも勇者だぞ。そんな簡単にやられるわけないだろう。
少しくらい時間を稼いでくれるはずだ。」
「そういう事じゃない。彼らがなぜあの子を連れてきたか考えてたけど、やっと意味が分かったわ。王国は、あの子を殺すつもりよ!」
この女はいきなり何を言い出すんだ。
いくら王国とは言え、勇者がいなければ魔王の討伐が出来ないじゃないか……まさか…感じていた違和感の正体がわかった気がする。だとすると……寧々島!
慌てて、寧々島をこちらへ呼び戻そうと思ったが振り返った音宮の目に映ったのはギルの腕が寧々島の体を貫通している姿だった。
「な……んで……」
「…まったく、邪魔してんじゃねえよ。お前の任務はこいつらを見つかる事だけだ。
それさえ済めば用済み。後は仲間の指揮を上げるため、魔王軍に殺された哀れな勇者として名を残してくれ。」
倒れ込んだ寧々島が音宮の方を向きながら手を伸ばす。
しかし、その手が届くことはなく寧々島は何も分からないまま死んでいった。
「どうした?目の前で友達が死んでいく姿は思ったよりもショックだったか?」
ギルが音宮へと近寄り、頭をぺちぺちと叩いて来る。
「…別に友達だった訳ではないが、会話くらいはしたことがある。
お調子者なところがあるが、基本的には良い奴だったよ。
…はは…ショックねえ……確かにそう言われればそうかもな。
ショックだよ……クラスメイトが死んでも全く心が痛まない自分に。」
ーーしまった!不用意に近づき過ぎた…
音宮が掌を腹部に押し付ける。
ーーこれは…クロエと同じ掌底か!
掌から霊力が浸透し、ギルの体内を破壊する。
クソが!クロエのは掠っただけだったが、今のは急所に貰った。
肉体へのダメージが深刻だ。
「汚ねえ手段使いやがるぜ。まさか、悲しんでるふりして、俺をわざと自分の方へと近寄らせるとはな。それになにが仙術使えねえだよ。クロエと同じこと出来てんじゃねえか。」
「霧の中からクロエを見つけれた時点で俺はなんらかの感知スキルを得たことは理解していた。ただ、それが仙術かどうかがわからなかっただけだ。決して嘘はついていない。」
「へ!お友達はどうなんだよ。
目の前で死んだんだぜ。なんか思う事あるだろ。」
「別に…確かに最初は驚いたが、よくよく考えたらお前ら側についてる方が悪いからな。そんな事よりも、確認したいことがある…これは大事な事だ。絶対に答えてもらうぞ。……この世界に魔王軍は本当に存在するのか…過去、元の世界に帰った人物は存在するのか?」
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