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リスランダからの脱出
自然を感じる
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寧々島真琴とギル・オーガイは音宮に後を追っていた。
「おい!小僧。お前本当に使えねえなぁ。
全然音宮に追いつけねえじゃねえか。
その『千里眼』ってやつ、本当に見えてんのか?」
「小僧じゃない!俺は勇者だぞ!
場所はわかってるけど、奏のやつがこっちに気づいてるのか逃げるんだよ。
それになんか猫耳の女の人までいるし。」
猫耳の女だと…報告にはなかったやつだな。
まあいい、楽しみが増えたってもんだぜ。
「場所がわかってるなら、さっさと案内しな。相手は徒歩だろうが。馬に乗ってる俺達が追いつけないわけねえ。」
「それはそうだけど、仕方ねえだろ。
俺はまだ上手く乗れないんだ。」
「知ったことか。」
「ちょっと待てよ!おい!」
2人は徐々にだが、音宮へと近付いて行く。
◇◇◇◇◇◇◇
一方、音宮達は既にオルゲネスト山脈の麓へと辿り着いていた。
ここがオルゲネスト山脈か…
何やら、今までに来た場所とは違う歪な空気を感じる。
麓から既に霧が発生しており、先が見えない。これではただ登るにしても一苦労だ。
「じゃあ、奏。行って来て。」
「はぁ、お前来ないのかよ。」
「うん。仙術の修業は一人でやるしかないの。この山を一人で登り切れたら覚えられるんじゃないかなぁ。」
「曖昧だな。お前の時はどうだったんだ。」
「私はこの山じゃなかったからな。
比較的楽だった分、いろんな山で同じ事したよ。厳しければ厳しいほど、自然を感じ取る事が出来るからね。こればっかりは自分で身につけて貰わないと。」
「そういうものか…まあいい。
登るだけでいいのか?」
「うん。ていうか、自然を感じ取れたらいいから別に登らなくてもいいよ。
まあ、一つだけアドバイスするとしたら死なないでね。」
「自然を感じ取る…ね。
わかった。死なない様に頑張ってみるよ。」
音宮は霧の中へと進んでいく。
「本当に気をつけてね。
自然の力に呑み込まれたら最後。
二度と帰ってくる事は出来ない。
だから修業は山奥でやる事が義務付けられている。
遺体の手間を省く為に…ね。
さてと、私はこっちを迎え撃つとしますか。
久しぶりに張り切っちゃおうかな。」
◇◇◇◇◇◇◇
霧が深い。何も見えないな。
慎重に進まなければ、落ちてしまいそうな感覚だ。
モンスターの鳴き声が聞こえる。
この場で襲われたらひとたまりもないな。
なんせ俺のスキルは見えない事には発動出来ないから。
ただひたすら、進み続ける。
クロエからアドバイスを貰ったがいまいち意味がわからなかった。
自然を感じ取るとは一体どういう事だ。
普通に考えるなら、周囲の空気を感じろとかそういう意味だと思うが、そんな簡単なものではないだろう。
一体どこへ向かっているのだろう。
何もわからないまま、ただただ先へと進んでいく。
◇◇◇◇◇◇
一方、奴隷商国オスヴィンでも事件が起こっていた。
「また、あの勇者とかいう奴らが奴隷を奪っていきやがった。」
「こっちもだ。しかもその殆どが性奴隷と来たもんだ。一体何考えてやがる。」
「出来れば自ら出頭する意思を見せて欲しかったのですが…仕方ないですね。皆さん、心配する必要はありませんよ。私が取り戻しに行きましょう。なあに、彼らは小心者です。
商品も傷ついてないでしょう。ここは商人の国。それがどういう意味かわからせて来ますね。」
「リムガルド様が出向いて下さるのですか?
それは心強い!おい!みんな早く用意しろ!」
一人の商人が叫ぶと、一斉に店の中へと入り何かをリムガルドの元へと持っていく。
「リムガルド様。お受け取り下さい。
我々からの感謝の気持ちです。」
「これはこれは。ありがとうございます。」
袋を手渡され、開けるとそこには大量の金貨が入っていた。
「やはり、これが一番ですね。
無償の奉仕には、信頼と責任が生まれない。
金銭を挟む事により、より良い関係が築けるというものです。何事もお金が一番。
ましてや、タダで奪おうなどとは、我々商人を侮っているとしか思えない愚行。
代金はその身で払って貰うことにしましょうか。」
リムガルドが民衆を掻き分け、勇者のいる王宮へと向かって行く。
「アーロイド、勇者の情報は。」
「人数は4名。スキルは『調教師』、『行動支配』、『停止』、『精神操作』です。」
「なるほど…精神攻撃や遠距離がメインか。
問題ない。マリアーネを呼べ。
3人でやるぞ。」
「はっ!」
返事をすると、アーロイドと呼ばれた人間は姿を消した。
リムガルド・ルナパルト
攻撃力 D-
防御力 C
魔力 C
敏捷力 S+
運 SS
専用スキル『組織運営《マネジメント》』
商人スキル『鑑定《かんてい》』
商人スキル『薬品調合』
兵士スキル『盾術』
兵士スキル『騎術』
「おい!小僧。お前本当に使えねえなぁ。
全然音宮に追いつけねえじゃねえか。
その『千里眼』ってやつ、本当に見えてんのか?」
「小僧じゃない!俺は勇者だぞ!
場所はわかってるけど、奏のやつがこっちに気づいてるのか逃げるんだよ。
それになんか猫耳の女の人までいるし。」
猫耳の女だと…報告にはなかったやつだな。
まあいい、楽しみが増えたってもんだぜ。
「場所がわかってるなら、さっさと案内しな。相手は徒歩だろうが。馬に乗ってる俺達が追いつけないわけねえ。」
「それはそうだけど、仕方ねえだろ。
俺はまだ上手く乗れないんだ。」
「知ったことか。」
「ちょっと待てよ!おい!」
2人は徐々にだが、音宮へと近付いて行く。
◇◇◇◇◇◇◇
一方、音宮達は既にオルゲネスト山脈の麓へと辿り着いていた。
ここがオルゲネスト山脈か…
何やら、今までに来た場所とは違う歪な空気を感じる。
麓から既に霧が発生しており、先が見えない。これではただ登るにしても一苦労だ。
「じゃあ、奏。行って来て。」
「はぁ、お前来ないのかよ。」
「うん。仙術の修業は一人でやるしかないの。この山を一人で登り切れたら覚えられるんじゃないかなぁ。」
「曖昧だな。お前の時はどうだったんだ。」
「私はこの山じゃなかったからな。
比較的楽だった分、いろんな山で同じ事したよ。厳しければ厳しいほど、自然を感じ取る事が出来るからね。こればっかりは自分で身につけて貰わないと。」
「そういうものか…まあいい。
登るだけでいいのか?」
「うん。ていうか、自然を感じ取れたらいいから別に登らなくてもいいよ。
まあ、一つだけアドバイスするとしたら死なないでね。」
「自然を感じ取る…ね。
わかった。死なない様に頑張ってみるよ。」
音宮は霧の中へと進んでいく。
「本当に気をつけてね。
自然の力に呑み込まれたら最後。
二度と帰ってくる事は出来ない。
だから修業は山奥でやる事が義務付けられている。
遺体の手間を省く為に…ね。
さてと、私はこっちを迎え撃つとしますか。
久しぶりに張り切っちゃおうかな。」
◇◇◇◇◇◇◇
霧が深い。何も見えないな。
慎重に進まなければ、落ちてしまいそうな感覚だ。
モンスターの鳴き声が聞こえる。
この場で襲われたらひとたまりもないな。
なんせ俺のスキルは見えない事には発動出来ないから。
ただひたすら、進み続ける。
クロエからアドバイスを貰ったがいまいち意味がわからなかった。
自然を感じ取るとは一体どういう事だ。
普通に考えるなら、周囲の空気を感じろとかそういう意味だと思うが、そんな簡単なものではないだろう。
一体どこへ向かっているのだろう。
何もわからないまま、ただただ先へと進んでいく。
◇◇◇◇◇◇
一方、奴隷商国オスヴィンでも事件が起こっていた。
「また、あの勇者とかいう奴らが奴隷を奪っていきやがった。」
「こっちもだ。しかもその殆どが性奴隷と来たもんだ。一体何考えてやがる。」
「出来れば自ら出頭する意思を見せて欲しかったのですが…仕方ないですね。皆さん、心配する必要はありませんよ。私が取り戻しに行きましょう。なあに、彼らは小心者です。
商品も傷ついてないでしょう。ここは商人の国。それがどういう意味かわからせて来ますね。」
「リムガルド様が出向いて下さるのですか?
それは心強い!おい!みんな早く用意しろ!」
一人の商人が叫ぶと、一斉に店の中へと入り何かをリムガルドの元へと持っていく。
「リムガルド様。お受け取り下さい。
我々からの感謝の気持ちです。」
「これはこれは。ありがとうございます。」
袋を手渡され、開けるとそこには大量の金貨が入っていた。
「やはり、これが一番ですね。
無償の奉仕には、信頼と責任が生まれない。
金銭を挟む事により、より良い関係が築けるというものです。何事もお金が一番。
ましてや、タダで奪おうなどとは、我々商人を侮っているとしか思えない愚行。
代金はその身で払って貰うことにしましょうか。」
リムガルドが民衆を掻き分け、勇者のいる王宮へと向かって行く。
「アーロイド、勇者の情報は。」
「人数は4名。スキルは『調教師』、『行動支配』、『停止』、『精神操作』です。」
「なるほど…精神攻撃や遠距離がメインか。
問題ない。マリアーネを呼べ。
3人でやるぞ。」
「はっ!」
返事をすると、アーロイドと呼ばれた人間は姿を消した。
リムガルド・ルナパルト
攻撃力 D-
防御力 C
魔力 C
敏捷力 S+
運 SS
専用スキル『組織運営《マネジメント》』
商人スキル『鑑定《かんてい》』
商人スキル『薬品調合』
兵士スキル『盾術』
兵士スキル『騎術』
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