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デルトナ村
メリット
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久しぶりに一人になった気がする。
安藤と別れた音宮は現在、真夜中の森を彷徨っていた。
この国に居るといつまで経っても兵士達が追ってくる。いい加減近くの国に逃亡する必要があるな。だが、最初に向かおうとしていたハーベスティアが駄目になったのはイタい。
正直、あの国には興味があった。性格には魔術大国というものに。兵士に追われている時、奴らは火や風などの魔法を使っていた。こちらの情報を伝達しているのもおそらく魔法だろう。ステータスの項目には魔力というものが載っている以上、俺にも魔法は使えるものと見て間違いない筈だ。先を見据えると戦う為に手数は多いに越した事はない。
覚えられるのであれば覚えたかのだが…
地図に載っている大国を眺める。
どの国に行ってもそれなりのメリットはある。
独裁国家デストリオン、情報収集の段階で聞いた話では評判は著しく悪く、誰もあの国の人間とは関わりたくないと言った感じだった。
だが、逆に捉えればリスランダ王国からの刺客も送り込み難いという状況下に置ける可能性もある。まあ、戦うしか取り柄のない馬鹿の相手をする方が嫌なのでこの国には近寄りたくない。魔術大国ハーベスティアは今行きたい国候補ナンバーワンだが、王国兵に先回りされている可能性があるのでアウト。
巨大要塞アラスカル帝国
ここは規律もガッチガチに国らしく、大陸一のセキュリティを持っているらしい。そんな場所に俺が入れる訳もないので却下。
宗教大国ロマリス
宗教を勧めてくる人間に碌な奴はいない。
この国は絶対に立ち寄らないと決めている。
となると、残りの3国から選ぶ事になる。
冒険大国レゼスター、ここは冒険者の国らしく皆自由気ままな暮らしを送っているとの事だ。様々な職業の人間が集まっているらしいので、目ぼしいスキルを伝授して貰える可能性があるかも知れない。
闇黒地帯ダリウエル王国、情報はあまりないが、周囲一体に地域が闇に覆われていて、日が出ることがない場所にある国だ。
闇のある場所は身を隠しやすくなるので、環境的にはありの国だ。
商業大国オスヴィン、商売が盛んな国で最も大きなものが奴隷商売。魔物に亜人、更には人間までも売り物にしている国だ。一先ず、金を稼ぐならこの国に行くべきだろう。大抵の事は金で見逃して貰える国でもあるらしい。
この中なら、やはりオスヴィンにするか。
やはり金がない事にはどうにもならない事が多い。貯蓄は多いに越した事はないのだ。
それに奴隷商売可能であれば、俺のスキルは役に立つ。
なんせモンスターを無傷で捕まえられるのだから、何体でも出品できる。
よし、行き先が決まった。
出発するか。
音宮は一人森の深部へと進んでいく。
◇◇◇◇◇◇◇
リスランダ王国、王の間
「なに?勇者達を待てしても取り逃しただと…いい加減説得しろ。別にやましい事はしていないのだ。話し合えば何とかなろう。
大抵の事は王である私が叶えてやる。」
「承知しました。ですが、今回安藤桜の前にビビアン・グレモアナが現れたそうです。
彼女が相手となると部隊長1人では心許ない。
騎士団の半数程を追手に割く必要がありますが、いかがしましょうか?」
「なに!あのビビアンが勇者と一緒にいただと!…構わん。勇者は必ず捕まえて来い。」
「かしこまりました!」
セルジールが王の間から立ち去ろうとする。
「セルジールよ。…事故で亡くなってしまったものは仕方がないと思わないか?」
「…事故ならば仕方ありませんね。人間誰にでもミスはあります。」
「そうだな。ありがとう。
まあ、頑張ってくれたまえ。」
セルジールが王の間を閉め、立ち去って行った。
「彼に任せて良かったのでしょうか?
命じてくだされば私が向かったと言うのに」
「構わん。奴とて実力は貴様と同等かそれ以上だ。下手な真似はせんよ。
それにしてもビビアンが接触して来るとは…
一刻も早く処分しなくてはいけないな」
「懐かしいですね。彼女ですか。
変に勘が鋭いからあんな結果で国を追われる羽目に合ってしまう。彼女は余計なことを知りすぎた。」
「全くだ。勇者は貴重な駒。
そう簡単に奴に渡すものか。
イグニードよ。貴様の兵から誰か送り出せる者はおらんか?
セルジールのところに紛れ込ませよう。」
「それならば勇者を使うと言うのは如何でしょう?目の前で自分の友人が死に行く様を見せしめれば、下手に王国に逆らう事もしなくなるでしょうし。」
「それはいい案だな。よし、そうしよう。
となれば適任は…コイツだな。
使えはするが戦力としては微妙だ。
捨て置いても問題ないだろう。」
そう言いながら、王が見ていた紙には寧々島真琴《ねねしままこと》の名前が書かれていた。
寧々島真琴
攻撃力 D
防御力 C-
魔力 A+
敏捷力 B
運 A
専用スキル『千里眼』
千里先にいようとも、特定の相手を瞬時に見つける事ができる能力。
偵察に置いて彼に右に出るものはいない。
とうとう、蕪木高校3年1組から初めてに死者が出ようとしていた。
安藤と別れた音宮は現在、真夜中の森を彷徨っていた。
この国に居るといつまで経っても兵士達が追ってくる。いい加減近くの国に逃亡する必要があるな。だが、最初に向かおうとしていたハーベスティアが駄目になったのはイタい。
正直、あの国には興味があった。性格には魔術大国というものに。兵士に追われている時、奴らは火や風などの魔法を使っていた。こちらの情報を伝達しているのもおそらく魔法だろう。ステータスの項目には魔力というものが載っている以上、俺にも魔法は使えるものと見て間違いない筈だ。先を見据えると戦う為に手数は多いに越した事はない。
覚えられるのであれば覚えたかのだが…
地図に載っている大国を眺める。
どの国に行ってもそれなりのメリットはある。
独裁国家デストリオン、情報収集の段階で聞いた話では評判は著しく悪く、誰もあの国の人間とは関わりたくないと言った感じだった。
だが、逆に捉えればリスランダ王国からの刺客も送り込み難いという状況下に置ける可能性もある。まあ、戦うしか取り柄のない馬鹿の相手をする方が嫌なのでこの国には近寄りたくない。魔術大国ハーベスティアは今行きたい国候補ナンバーワンだが、王国兵に先回りされている可能性があるのでアウト。
巨大要塞アラスカル帝国
ここは規律もガッチガチに国らしく、大陸一のセキュリティを持っているらしい。そんな場所に俺が入れる訳もないので却下。
宗教大国ロマリス
宗教を勧めてくる人間に碌な奴はいない。
この国は絶対に立ち寄らないと決めている。
となると、残りの3国から選ぶ事になる。
冒険大国レゼスター、ここは冒険者の国らしく皆自由気ままな暮らしを送っているとの事だ。様々な職業の人間が集まっているらしいので、目ぼしいスキルを伝授して貰える可能性があるかも知れない。
闇黒地帯ダリウエル王国、情報はあまりないが、周囲一体に地域が闇に覆われていて、日が出ることがない場所にある国だ。
闇のある場所は身を隠しやすくなるので、環境的にはありの国だ。
商業大国オスヴィン、商売が盛んな国で最も大きなものが奴隷商売。魔物に亜人、更には人間までも売り物にしている国だ。一先ず、金を稼ぐならこの国に行くべきだろう。大抵の事は金で見逃して貰える国でもあるらしい。
この中なら、やはりオスヴィンにするか。
やはり金がない事にはどうにもならない事が多い。貯蓄は多いに越した事はないのだ。
それに奴隷商売可能であれば、俺のスキルは役に立つ。
なんせモンスターを無傷で捕まえられるのだから、何体でも出品できる。
よし、行き先が決まった。
出発するか。
音宮は一人森の深部へと進んでいく。
◇◇◇◇◇◇◇
リスランダ王国、王の間
「なに?勇者達を待てしても取り逃しただと…いい加減説得しろ。別にやましい事はしていないのだ。話し合えば何とかなろう。
大抵の事は王である私が叶えてやる。」
「承知しました。ですが、今回安藤桜の前にビビアン・グレモアナが現れたそうです。
彼女が相手となると部隊長1人では心許ない。
騎士団の半数程を追手に割く必要がありますが、いかがしましょうか?」
「なに!あのビビアンが勇者と一緒にいただと!…構わん。勇者は必ず捕まえて来い。」
「かしこまりました!」
セルジールが王の間から立ち去ろうとする。
「セルジールよ。…事故で亡くなってしまったものは仕方がないと思わないか?」
「…事故ならば仕方ありませんね。人間誰にでもミスはあります。」
「そうだな。ありがとう。
まあ、頑張ってくれたまえ。」
セルジールが王の間を閉め、立ち去って行った。
「彼に任せて良かったのでしょうか?
命じてくだされば私が向かったと言うのに」
「構わん。奴とて実力は貴様と同等かそれ以上だ。下手な真似はせんよ。
それにしてもビビアンが接触して来るとは…
一刻も早く処分しなくてはいけないな」
「懐かしいですね。彼女ですか。
変に勘が鋭いからあんな結果で国を追われる羽目に合ってしまう。彼女は余計なことを知りすぎた。」
「全くだ。勇者は貴重な駒。
そう簡単に奴に渡すものか。
イグニードよ。貴様の兵から誰か送り出せる者はおらんか?
セルジールのところに紛れ込ませよう。」
「それならば勇者を使うと言うのは如何でしょう?目の前で自分の友人が死に行く様を見せしめれば、下手に王国に逆らう事もしなくなるでしょうし。」
「それはいい案だな。よし、そうしよう。
となれば適任は…コイツだな。
使えはするが戦力としては微妙だ。
捨て置いても問題ないだろう。」
そう言いながら、王が見ていた紙には寧々島真琴《ねねしままこと》の名前が書かれていた。
寧々島真琴
攻撃力 D
防御力 C-
魔力 A+
敏捷力 B
運 A
専用スキル『千里眼』
千里先にいようとも、特定の相手を瞬時に見つける事ができる能力。
偵察に置いて彼に右に出るものはいない。
とうとう、蕪木高校3年1組から初めてに死者が出ようとしていた。
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